【報ステ】大規模デモも…中国がそれでも「ゼロコロナ」を辞めない理由(2022年11月23日)

【報ステ】大規模デモも…中国がそれでも「ゼロコロナ」を辞めない理由(2022年11月23日)

【報ステ】大規模デモも…中国がそれでも「ゼロコロナ」を辞めない理由(2022年11月23日)

『ゼロコロナ』政策を続ける中国で、感染が拡大しています。

首都・北京では、新規感染者が1486人と、2日連続で過去最多を更新しました。

香港を除く中国全土でも、22日に2万8883人の感染が確認されるなど、過去最多に迫る勢いです。

北京市の一部では、オフィスなどに入る際、24時間以内の陰性証明が必要で、毎日のPCR検査が当たり前のようになっています。

北京に駐在する記者も、10人単位の検査で、1人に陽性反応が出たため、突然、外出禁止となりました。

李志善記者:「自宅待機を突然、命じられたので、スーパーで食品を注文しました。玄関前に置かれています。中には、バナナとか野菜類とか、子どもの御菓子も入っています」「今、抗原検査のテスト中です。ちょっとドキドキします。これで陽性が出たら、隔離施設に収容されることになります」

結果は陰性。使用した検査キットをスタッフに渡します。しかし、これで終わりではありませんでした。

李志善記者:「抗原検査では陰性だったので、安心しても良いと言っています。この後、またPCR検査を受けることになります」

PCR検査でも陰性でした。それでも7日間の自宅隔離となります。

河南省鄭州市にあるアップルのiPhoneを製造する工場では、従業員による抗議デモが行われました。

抑え込もうとしているのは、中国で“白い人”と呼ばれる、警察官などの集団です。

この工場は、最大30万人が働くという、世界最大のiPhone工場。中国メディアによりますと、先月末、新型コロナの感染を恐れた従業員が大量に逃げだし、人手不足に陥りました。

以前は、4本の生産ラインを300人以上で動かしていましたが、今月に入り、その数はわずか30人に。

そのため、各地の工場からだけではなく、地方公務員までも動員して、工場を稼働させていました。

応援の従業員:「困難は一時的なものです。(Q.ずっとここで働くか)必要であれば、ずっと働き続けます」

しかし、感染拡大で行動制限が厳しくなり、労働環境などに不満がたまった従業員が、デモを起こしました。

アメリカは25日、1年で最大のセールとなる『ブラックフライデー』を迎えます。

その後の年末商戦も含め、iPhoneは主力商品の1つ。しかし、アメリカの家電量販大手は、中国のゼロコロナ政策の影響で、iPhoneのハイエンドモデルが品薄になるとの見通しを出しています。

習近平政権が諦めずに続けるゼロコロナ政策。3期目に入り、いったんは規制緩和など、政策転換の兆しがみえたかに思えましたが、感染者数が増えはじめ、再び厳しさを増しています。

国民は、どう感じているのでしょうか。

中国国民:「(Q.(検査が)面倒では)面倒ではありません。少し時間を作ってやるだけで、国の対策に協力するのは良いことです」「ゼロコロナ政策を徹底的に貫いて、予防策を取り、みんなで共にコロナに抵抗すべきです」「コロナがひどい状況なら、ゼロコロナ政策でも良いと思いますが、そうじゃない時は、店内飲食ができる対策を取れば良い。すべて一括禁止は良くないです。厳しく管理するのも良いけど、現状に合わせてやるべきです」

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◆自宅待機中の中国総局の李志善記者

(Q.大規模なデモや経済への影響も深刻になってきているようですが、それでも中国政府がゼロコロナ政策にこだわるのはなぜですか?)

これから冬を迎えて、感染者が増えていくのが分かっているなかで、ゼロコロナ政策をやめれば、今以上に批判や反発を受ける恐れもあります。

というのも、中国はこれまで「命が一番大事」「農村部の医療体制などがぜい弱なため、先進国のような政策を取ることができない」と強調してきました。

冬をじっと耐え忍んで、ゼロコロナ政策の正しさを証明したいという思いもあります。

また、ゼロコロナ政策をやり切るしかない状況でもあります。

中国は、人口や高齢者、基礎疾患を持った人も多く、やめてしまえば一気に感染が爆発して、これまでにない規模で死者が出てしまう懸念もあります。

◆感染制御学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授

中国は厳しい“封じ込め政策”を続けてきた結果、ほとんどの人が感染による免疫を獲得せず、社会が感染拡大を抑えこむ集団免疫を持たない状態を作ってしまいました。

今、ゼロコロナ政策をやめると、これまでにない感染急拡大になり、多くの高齢者などが亡くなる可能性があります。

◆自宅待機中の中国総局の李志善記者

(Q.ゼロコロナ政策を、国民はどう受け止めていますか?)

国民の多くは、ゼロコロナの意識が徹底されていて、浸透しています。

例えば先日「半年ぶりに死者が3人出た」という報道がありましたが、その時に「やっぱりコロナは怖い」という受け止めが広がりました。

ただ、ここにきて多少の変化が出ています。

それがカタールのサッカー・ワールドカップです。

中国はワールドカップに参加していませんが、スポンサーやカタールへかなりの投資をしていて、国営テレビで連日、宣伝・放送がされています。

今はバーなども開いていないので、皆で集まって一緒に応援することはできません。

こうしたなかで、画面では、サッカーを見ながら熱狂・歓喜、マスクをしないで抱き合って喜んでいる人たちの姿を見ています。

その一方で「私たちは3年間もこうした状況が続いている」と不満を溜めている側面もあります。

ただ、こうした不満を国も感じていて、これからゼロコロナ政策の出口をどうしていくか、非常に難しい課題と言えます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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