【報ステ】「成立を急いだか」旧統一教会“救済法案”実効性は…弁護士・被害者に聞く(2022年11月18日)

【報ステ】「成立を急いだか」旧統一教会“救済法案”実効性は…弁護士・被害者に聞く(2022年11月18日)

【報ステ】「成立を急いだか」旧統一教会“救済法案”実効性は…弁護士・被害者に聞く(2022年11月18日)

旧統一教会による被害者救済に向けて、政府は18日、悪質な勧誘による寄付を規制する“新法”の概要を示しました。

自民党・茂木幹事長:「実効的に被害者の救済、再発防止につながるものだと。こんなふうに私は考えています」

しかし、与野党の溝はまだ大きいようです。

立憲民主党・岡田幹事長:「問題はかなりありますので、そこはしっかり実務者間で詰めていきたい」

岸田総理が今国会での提出を目指すとした“新法”。与野党の隔たりが大きいのは3つあります。

1つ目は『寄付の上限規制』です。

立憲・維新の2党は「年収の4分の1まで」の上限を求めてきましたが、今回示された概要では、借金をしたり、住んでいる建物を売ってまでの寄付を要求することを禁止しています。

政府はこれを“事実上の上限規制”としていますが…。

立憲民主党・岡田幹事長:「『田んぼはダメですね』と言ったら『そういうことだ』と。借り入れと居住する建物等はダメと言っているにすぎないので、宝石・田んぼは処分して寄付しても規制の対象にならない」

2つ目は『家族による取り消し』です。

信者となった家族が、高額な献金を繰り返してしまう問題。今回、本人だけでなく、配偶者や扶養している子どもも、寄付を取り消せる場合があると盛り込みました。

ただ、あくまで返還請求できるのは、生活費や教育費などに充てる範囲とされていて「限定的になる」と指摘されています。

さっそく、実務者による協議でも指摘が相次ぎました。

立憲民主党・長妻政調会長:「“家族取り消し権”新設みたいな報道あるが、それは間違いです。今もできます。まず何よりも要件というのが、扶養を受けている家族でないとだめ。お子さん、奥さん等々。非常に限定されてしまいます」

両親が借金による献金を繰り返していて、今も奨学金の返済を抱える、元2世信者の佐藤海さん(仮名)は、この点についてこう話します。

佐藤海さん(仮名):「私は両親が現役信者で、両親の扶養には入っていない。世帯を分けているので、そうなると適用されないと思いました。完全にがっかりではないんですけど、まだ不十分だなと思いました」

そして最大の焦点となってきたのが『いわゆる“マインドコントロール”状態にある人の寄付を取り消せるかどうか』です。

与党側は、マインドコントロールを認定する難しさを強調しています。

自民党・茂木幹事長:「マインドコントロールは状況の認定、これが必要になってくる。状況の判断・認定は、私も様々な判例等を見てきたが、困難を伴う」

政府案では、寄付を求める宗教法人などが「霊感商法などで不安をあおったり、不安を抱いていることに乗じて、寄付をすることが必要不可欠であると告げる」ことが違反にあたると定義。これをもって、マインドコントロール状態の人も、一部は救済できると説明しています。

ただ、野党側は「必要不可欠」と盛り込むことで、救済される対象が狭くなってしまったと指摘します。

日本維新の会・音喜多政調会長:「『寄付することが必要不可欠なんです』なんて、悪質な団体は言わない。結局、新法をつくっても、やった感は出るけど、被害者救済につながらないとなってしまうのでは」

信者である元妻の1億円を超える高額献金で、家族が崩壊したという、橋田達夫さん(65)は、このままでは自分は救済されないと訴えます。

橋田達夫さん:「やっぱり僕を含めて、過去10年20年さかのぼって保障されることを望んでいた。被害はみんな違うと思うが、日々ずっと何年何十年と被害を受けている。それを救済するのが、救済法案という名目だと思います。僕は実際にね、農家じゃないですか。農家の田んぼを売った場合は、どうして生活したらいいんですか。(僕が)全く保障されないということは、他の人もほとんど保障されない。これは救済法案になっていないと思います」

***

新法の概要について、消費者庁の霊感商法対策検討会のメンバー・菅野志桜里弁護士は「良く言えばセカンドベスト。“ホップ・ステップ・ジャンプ”で言うと、“ジャンプ”まではいくことができなかった」と話しています。

今回で言うと、ホップは「寄付そのものの規制に踏み切った」、ステップは「家族にも一部、取り消し権を認めた」、ジャンプは「マインドコントロールの規制までいかなかった」ということです。

ジャンプまで行けなかった理由について、菅野弁護士はこう話します。

菅野弁護士:「対象をあらゆる法人と広くしたので、マインドコントロールの定義づけが難しくなっている。今国会での成立を急ぎすぎたため、時間が足りず、その規制まで至らなかったのではないか」

さらに、菅野弁護士は「救済法案が成立したとしても、それで終わらせず、3年程度の見直し規定を入れ、マインドコントロール規制についての有識者会議などを立ち上げ、広く検討すべき」と指摘しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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