「行列で死者も…」 “併合”地域からエストニアへ 命がけで脱出するウクライナ人(2022年11月16日)
9月30日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部ルハンシク州、ドネツク州と南部ザポリージャ州、ヘルソン州の4つの州を一方的に併合すると宣言しました。
「ロシア編入」を問う「住民投票」の結果、賛成が多数だったという主張です。
国際社会は、この編入を承認していません。
「併合宣言」の前後、いわゆるロシア化が進むことを恐れてこの地域から脱出を望む人が急増しました。
しかし、戦闘地域を越えてウクライナの他の地域へ逃げることは事実上不可能です。
そのため一度ロシア国内に入り、そこから第三国を目指す形を取らなければなりません。
■ロシアとエストニアの国境 命がけで逃げてきたウクライナ人
報告:醍醐穣
「エストニアの国境検問所です。
今ロシア側から入国しようとしているウクライナ人の親子が手続きを終えて、これから入国するところです」
避難する人たちの多くがまず目指すのは、ロシアと国境を接するエストニアやラトビアなどの西側諸国です。
ロシアから出国したウクライナ人親子:
「泊る場所を探すのも大変でした。
金銭的にも負担です。
子どもたちも疲れてずっと泣いています」
ロシアから出国したウクライナ人親子:
「ドネツクからロシアに入るのに12時間も待たされました。
ドネツクは”ロシアの一部”だといわれるところなのに」
この季節、日中の気温は5度前後。
雨が降れば更に気温は下がります。
【エストニア・ルマハー国境検問所責任者】
「ロシア側国境で6日も待たされた人や、行列の中で死者が出たという報告もあります。
1歳にもならない赤ん坊が高熱を出していました。
皆空腹で疲れていて、何日も寝ていませんでした。」
■エストニアのロシアに対する警戒
エストニアの内相は、10月はじめにロシア側国境にいた1000人以上のウクライナ人が、出国直前にトラックでどこかへ連行されたと明らかにしました。
エストニア レインサル外相
「(国境で避難するウクライナ人に対して)ロシアは何かしらの選別を行っている疑いがあります」
「私のメッセージは明快です。
プーチン大統領をどこで見たいか、刑務所かと尋ねられたら、私の答えは、『地獄で見たい』です」
エストニアの国境警備隊は、ロシアが国境の森林地帯を越えてウクライナ人をロシアに連れ戻そうとする場合などにも備えて、パトロールを強化してます。
■ルハンシク州から逃れた一家 いまの望みは…
「こんにちは」
ロシアとの国境近くの町で、ルハンシク州から避難してきた家族に話を聞くことができました。
母親のリディアさんと一人息子のウラジミールくんです。
現在は、エストニア政府が用意したホテルで夫と家族3人で暮らしています。
リディアさん:
「子どもに生活と学ぶ機会を与えるために国を出ました。
普通の暮らしをするために。
ちょうど私たちがエストニアとの国境を通過する時に、私たちの占領地域で住民投票を行うという発表がありました。
誰もが、住民投票が行われればほぼ100%賛成票になるのだと分かっていました」
リディアさん家族は夫の運転する車で、住み慣れた町を後にしました。
高齢の両親は長距離移動に耐えられないため、ルハンシクに残ったといいます。
リディアさん:
「私たちにとってはとても長い道のりとなりました。
とても長い時間をかけて移動することになりました」
ルハンシクを出発してからエストニア国境までの道中、警察に何度も車を止められ、長い時間をかけて調べられたといいます。
リディアさん:
「あとは国境。ただただ待たされました。
これは精神的に辛いです。
入国のOKが出たときに、やっと息ができた気がしました。
正直な気持ち、精神的にきつかったです。」
夫の仕事も見つかり、リディアさん家族はエストニアでの生活の基盤を整えつつあります。
リディアさん:
「家をみつけて11月1日から入居します。
今年はエストニアにいます。」
ウラジミールくんは、エストニアの学校にも通い始めました。
クラスメートには、同じくルハンシクから避難した生徒も通っているといいます。
Q:仕事は? 何になりたい?
ウラジミールくん
「まだ決めてない」
リディアさん:
「毎年、新しい夢ができるのよ」
「私はいつも、言語を学びなさいって言ってるの。
他の人のことを理解できるように」
リディアさんにこれからの希望を尋ねました。
リディアさん:
「でも今のところは、自分たちの生活を立ち上げること。
子どもが不利益を感じないようにすること。
でも一番の期待は、戦争が終わり、私たちが家に帰ることです。」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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