英国 物価高騰で相次ぐ“ストライキ” 困窮市民を支える「フードバンク」も危機に…(2022年11月15日)
記録的な物価高が続くイギリスで、公共交通機関などでストが相次ぎ混乱が広がっている。さらに、困窮する市民を支える「フードバンク」にも危機が迫っている。
■年内に3分の1以上か…飲食店“経営破綻”
イギリスの記録的な物価高に、飲食業界で働く人々の悲鳴が聞かれる。
飲食店経営者:「余裕がなく、このままでは多くの店が破綻してしまいます」「事業を継続するためにやれることはすべてやってきましたが、今は助けが必要です」
飲食業界などの調査によると、インフレにより客足が減ることで、年内に3分の1以上の店が経営破綻に追い込まれるとみられている。
そのため、飲食・ホテル業界は声明で政府に減税を求めている。
■ゴミ収集も…各業界で“ストライキ”
インフレ率が10%を超えるイギリスでは、賃上げを求めるストライキの動きが各業界に広がっている。
現地メディアは6日、「看護師がクリスマス前にも全国規模で史上最大のストを実施する見込み」と報じた。
イギリス看護協会 パット・カレン会長:「何十万人もの看護師が『もうたくさんだ』と言ったのです。彼らは怒りを行動に移し、イギリス全土でストを実施する予定です」
鉄道業界では、夏ごろから断続的にストが行われていて、自転車通勤する市民の姿も見られる。
また、ゴミ収集の労働者もストを起こし、街中がゴミだらけという事態になった。
イギリス国民:「夜が明けたら一文無しさ。電気代、家賃、もろもろ払ったら何も残らない。もう沈みかけで、あっぷあっぷです」
■財政計画に“増税”…スナク首相“難航”
深刻な経済状況に、先月首相に就任したスナク氏は、経済の立て直しを最重要課題としている。
現地メディアによると、今週発表される財政計画には、増税が盛り込まれるという。
国民にも負担を求め、生活を守るという難しいかじ取りを就任早々、迫られている。
■市民困窮…女性31%「生理用品も買えない」
イギリス市民の生活はかつてないほど困窮している。
イギリスの慈善団体らの統計によると、基礎的な日用品さえも買えない状況に陥っている成人は、315万人に上るという。
また、イギリス在住者のうち25%がトイレットペーパー、せっけん、ボディソープなしで生活し、女性の31%が生理用品も買えないと回答したとう。
■節約で32%「消費期限過ぎ食品を口に…」
食べ物に関しても厳しい状況となっているようだ。
イギリス食品基準庁の調査によると、「節約を理由に消費期限を過ぎた食品を口にした」と答えた人が32%に上ったという。
また、「節電のために一時的に冷蔵庫や冷凍庫の電源を切った」と答えた人も18%いたということだ。
こうした状況に食品基準庁は、いずれも食中毒を引き起こす可能性があると警告している。
■中間層も「フードバンク」利用で食品不足
こうした食べ物を満足に手にすることができない人々に対し、手を差し伸べているのが「フードバンク」。
フードバンクとは、食品自体には問題はないものの、包装の破損や過剰在庫などの理由で流通できない食品を寄贈してもらい、困窮世帯に無償で提供するというものだ。
日本ではそれほど浸透していないが、イギリスには2500以上のフードバンクが存在している。
ちなみに、イギリスにあるマクドナルドは1463店舗ということで、いかにフードバンクが浸透しているかが分かる。
ところが、そのフードバンクでさえ危機を迎えているというのだ。
AP通信によると、フードバンクの利用者が低所得者層だけでなく、中間層にまで広がっているといい、イギリス最大のフードバンクを運営する慈善団体によると、利用者は5年前に比べて81%増加したという。
その結果、食品が不足する事態になっているという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年11月15日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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