【独自】アラスカのズワイガニに異変「70億匹が消えた」…極寒の海で“史上初の禁漁”【もっと知りたい!】(2022年11月9日)

【独自】アラスカのズワイガニに異変「70億匹が消えた」…極寒の海で“史上初の禁漁”【もっと知りたい!】(2022年11月9日)

【独自】アラスカのズワイガニに異変「70億匹が消えた」…極寒の海で“史上初の禁漁”【もっと知りたい!】(2022年11月9日)

 これから年末にかけて需要が高まるズワイガニ。急きょ決まったアラスカ沖の禁漁が原因で、去年より2倍の高値になる恐れが出ています。
 
■最高級ブランド「極」 過去最高額“310万円”

 今シーズンもついに漁が解禁となった“冬の味覚の王様”ズワイガニ。各地で続々と水揚げが始まっています。

 福井県では、越前ガニの最高級ブランド「極(きわみ)」が過去最高額で競り落とされました。その額、なんと310万円です。

 築地にある海鮮料理店は、カニの香ばしいにおいに吸い寄せられた客で大繁盛しています。

 甲羅組 築地2号店・川口陸哉さん:「良いものを提供させてもらっているので、モノは間違いないですね」

■冷凍ズワイガニ 今年に入り“急激高騰”

 これからの年末年始にかけて、食卓を彩ることも多いズワイガニ。ところが今、その価格に異変が起きています。

 川口さん:「こちらのズワイガニは前が1500円だったんですけど、今ではお値段2000円になっています。あまり、もうけはないですね、正直」

 冷凍ズワイガニの平均価格は、燃料費の高騰や記録的な円安、ロシア産の輸入制限などによって、今年に入り急激に高騰。

 さらに、そこに追い打ちをかける事態が起きました。

 米・アラスカ州漁業狩猟局(先月10日):「(アラスカ州の)ベーリング海での今年のズワイガニ漁を禁止する」

 アラスカのズワイガニは身入りがよく、豊かな風味が特徴で、日本の輸入量のおよそ10%を占める一大産地です。一体、何があったのでしょうか?

■“世界一過酷”カニ漁師「70億匹が消えた」

 気温は常にマイナスを下回り、風速20メートルの風が吹き荒れる真冬のベーリング海。そこで行われるカニ漁は、“世界一過酷な仕事”とも呼ばれています。

 ベーリング海のカニ漁師・ガブリエルさん:「アラスカのズワイガニを日本に届けられないのは、とてもつらいです」

 過酷なベーリング海で、3代にわたってズワイガニ漁を続けるガブリエルさんを取材しました。

 ガブリエルさん:「去年実施された調査で、ズワイガニの数が90%も減っていたことが分かりました。ベーリング海でのカニの漁獲量は、州や連邦政府に厳しく管理されています。誰も、このような事態を予期していませんでした」

 CNNによると、2018年におよそ80億匹いたズワイガニは、去年には、およそ10億匹にまで激減。資源保護のため、今シーズンの漁は全面禁止となりました。

■極寒の海でカニ禁漁…経済損失“400億円超”

 ズワイガニが突如として姿を消した理由ははっきりとしていません。しかし、ガブリエルさんには、一つ気になることがあるといいます。

 ガブリエルさん:「2017年と2018年は海が異常に暖かく、氷が全くありませんでした。そのことがズワイガニの稚ガニが生息する海底の冷たい層に、何かしらの影響を及ぼしたのかもしれません」

 アラスカ州知事によれば、禁漁による経済損失は400億円超え。資源量の回復には数年かかるとみられていて、地元経済に深刻な影響が出ています。

 ガブリエルさん:「漁師だけでなく、船の修理業者やカニの加工業者、そして彼らの家族が路頭に迷っています。政府の支援プログラムが一刻も早く実現しなければ、残念ながらこの状況を乗り切ることができないでしょう」

■“希望の光”も…メスの稚ガニ 昨年比約40倍

 すでに値上がりしているズワイガニ。アラスカの禁漁は今後、価格にどう影響するのでしょうか?

 川口さん:「これからまた年末にかけて、値段が上がってくると思う。(去年まで1500円だったものが)2500円、3000円くらいになりそう。お客さんがこのお値段でも食べてくれるか心配」

 一方で、明るいニュースもあります。

 ベーリング海で2022年に行われた調査では、2021年に比べて、およそ40倍もの数のメスの稚ガニが見つかっています。

 ズワイガニに携わる人たちにとって希望の光となるかもしれません。

(「グッド!モーニング」2022年11月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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