尾身会長「人流より人数制限」の真意は?都との温度差は?記者解説(2022年1月19日)

尾身会長「人流より人数制限」の真意は?都との温度差は?記者解説(2022年1月19日)

尾身会長「人流より人数制限」の真意は?都との温度差は?記者解説(2022年1月19日)

全国の新型コロナウイルスの感染者は、初めて4万人を超え、4万1485人となり、2日連続で過去最多を更新しました。東京都や大阪府、北海道など、28の都道府県で過去最多となっています。そんななか、政府分科会の尾身会長は「“人流抑制”より“人数制限”」と発言しました。

(Q.この発言ですが、方針転換したということでしょうか)
経済部の平元真太郎記者:これまで厳しい行動制限を、国民にお願いすることが多かった尾身会長の発言には驚きました。ただ、方針の転換ということではないようです。背景にあるのは、自信と焦りです。自信という面では、新型コロナの特徴がわかってきたため、外出自粛まで求めなくても、感染が危機的状況になることはなさそうだという自信です。焦りという面では、先行指標として活用してきた人流抑制に意味を見出せなくなっていることです。第5波のときに、人出はあまり減っていないのに感染が急速に落ち着くということがありました。人流と感染の関連性に大きな疑問符が付きました。分科会のある関係者は「基本に戻るしかなくなっている」と、19日の尾身発言の苦しい背景を解説します。つまり、人流抑制を訴える根拠を失ってしまった。せめて会う人の数は減らしてほしいと、古典的なお願いをするしかなくなっているというのです。こうしたなかで、尾身会長は、医療のひっ迫を防ぐという目的のために『大人数の飲み会はやめましょう』という国民に理解されやすいお願いに集中するという作戦を取ったとみられます。

自治体の対応はどうなっているのでしょうか。東京都の案です。飲食への要請ですが、1テーブルに1グループ4人以内とします。『ワクチン・検査パッケージ』の名称は消えましたが、「対象者全員検査」で、全員陰性の場合、5人以上も可能とするといいます。

時短営業についてです。認証店の場合は、“選択制”です。お酒の提供をして、午後9時までの営業で、期間中、全面的に協力した場合、一日あたりの協力金が2万5000円。お酒の提供はせず、午後8時までの営業で、一日あたりの協力金が3万円からです。非認証店の場合、お酒の提供をせず、営業時間は午後8時までで、一日あたりの協力金が3万円からだといいます。
小池知事は「不要不急の外出を強くお願いする。特に夜間の繁華街など混雑する場所や時間を避けて行動してほしい」としています。

(Q.尾身会長の“人流抑制不要”とは、ずれているようにもみえますが、どうでしょうか)
都庁担当の油田隼武記者:ある都の幹部の話では、尾身会長の発言は、少し楽観的ではないかという見方を示していました。いま、9割がオミクロン株といわれていますが、逆に言えば、残りの1割はデルタ株の可能性が高いということです。東京都の19日の感染者は7000人でしたが、この1割というと、約700人。デルタ株で700人というと、決して楽観できるフェーズではありません。「尾身会長は何でそんな見方をしているのか」という幹部もいました。

(Q.困惑しているということでしょうか)
都庁担当の油田隼武記者:飲食店ヘは、もっと厳しい措置はできたけど、しなかったと言っていいです。都の幹部は、「今回の措置の目的は時間稼ぎ」という表現をしています。ワクチンの3回目接種や、経口薬を待つための時間稼ぎ的な意味合いがあると話しています。小池知事も「社会を止めない」と言っています。措置の厳しさが社会を止める場合もありますが、このまま感染が拡大していくと社会が止まってしまう。難しい局面のなかで、少しでも感染者数を抑えないといけないので“必要最小限”の措置を取ったというのが東京都の考えだと思います。

(Q.自治体側は困惑しているようですが、政府、専門家は、どう見ているのでしょうか)
経済部の平元真太郎記者:まん延防止等重点措置が出た場合、「政府としてはこういう方針です。実際、決めるのは、現場を知っている知事が決めてください」というのが政府のスタンスです。政府と専門家の間では、新型コロナがどういうものか特徴がわかってきている。政府、専門家では危機意識のレベルが統一されているように感じます。ただ、「データが少ない」として、具体的な提示はしてきません。情報やデータが、自治体側とうまく共有できていないと感じます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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