LGBTQや人種問題を扱う本の「禁書」運動が波紋 中間選挙前に分断を深めるアメリカ|TBS NEWS DIG
アメリカの中間選挙が明日に迫りました。人種や性的少数者をめぐる問題も争点の1つですが、それらのテーマを扱う本を教育現場から排除しようとする「禁書」の運動が共和党支持者らの間で広がっています。
記者
「こちらの会場では、教育現場から一部の書籍を排除する方針について、保護者を交えた議論がこれから始まります」
教育委員長
「性的に露骨な内容は学校にふさわしくなく、職員や評議員への攻撃も容認できないことを明言します」
議論が始まると、拍手とブーイングが飛び交います。この教育委員会では、住民から異議申し立てがあった書籍を、学校から排除するガイドラインを導入しようとしていました。排除する本の候補には人種問題やLGBTQ関連のほか「アンネの日記」も含まれ、全米から注目されました。
アメリカの図書協会などによると、学校や図書館の蔵書に対して今年出された異議申し立ては過去最多を記録。テキサス州では全米最多の803冊の書籍が禁じられました。
こうした動きは、共和党支持者を中心とした保守層の保護者だけでなく、共和党の政治家も巻き込んで「禁書」の運動として、組織的に進められているものです。
ターゲットの1つは「LGBTQ」関連の書籍で、排除されたうちの4割を占めています。
「嘘つき!」
この日の公聴会では「禁書」への反対意見が相次ぎました。
高校3年生 キャメロンさん
「5年生のときから自分がゲイであることを知っていました。でもその頃から、自分の気持ちや行動を抑え込むようになりました」
「禁書」反対の演説に立った高校3年生のキャメロンさん。ゲイである自分は、本によって助けられたと訴えました。
禁書に「反対」 キャメロンさん
「(図書館で)私と同じように感じている少年がたくさん登場する本を見つけたのです」
また、書籍排除についてこう指摘します。
禁書に「反対」 キャメロンさん
「間違いなく“消しゴム戦術”だと思います。親たちが子どもの心や頭の中から、私たちの存在を消したいだけだと思います」
その夜、別の教育委員会でも、200人以上の保護者が賛否双方の立場から意見を表明しました。
賛成
「勇気をもって立ち向かい、ありがとうございます。(禁書が)子どもたちを守るのです」
反対
「この案は憎悪的で差別的でごみのようなものです」
深夜まで続いた激しい議論。こうした「禁書」の運動は政治色を強めて、過激化しているという指摘もあります。
元図書館員 ベイカーさん
「これは本棚から、はずすよう送られてきた本のリストです」
元図書館員のベイカーさんは、いわゆる「禁書」のリストに異議をとなえました。しかし、上司の指示は強硬で、最後まで本の撤去に従わなかったベイカーさんは最終的に解雇されたといいます。
元図書館員 ベイカーさん
「私は本を殺すつもりはありません。それは違法だからです」
こうした「禁書」を民主党支持者の6割が懸念しているのに対し、共和党支持者は3割にすぎません。
禁じられた書籍を貸し出す図書館への脅迫も起きるなど、教育をめぐっても“アメリカの分断”は深まっています。
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