【検証】18平方メートルに300人どれだけ密集?…群衆事故起こす“3つのトリガー”とは(2022年11月1日)
韓国・梨泰院(イテウォン)での雑踏事故は死者が2人増え、156人になりました。警察には事故直前に現場の深刻さを伝える多くの通報が入っていたことが新たに分かりました。事故現場では18平方メートルにおよそ300人がいたといいます。その密集度を再現しました。
一方で、こういった状況はどんなところでも起こり得るといいます。雑踏事故の発生につながる“3つのトリガー”(引き金)。これは一体何なのでしょうか。
ハロウィーン当日の夜、東京・渋谷の街は、押し寄せた群衆で、ごった返していました。
警察官:「前の人に続いてゆっくり進んで下さい。本日大変人が多くなっています」「次の信号をお待ち下さい。渡り切れないことが多くなっています」
韓国・梨泰院で大惨事が起きたなか、警視庁は、具体的な警備を現場に指示。センター街周辺の狭い道に人が集まった際には、事故を防ぐため、安全な場所に誘導しています。
警察官:「前の人に続いてゆっくりと進んで下さい。左側通行にご協力下さい」「車両通ります」
月曜日の夜にもかかわらず、仮装した若者などが道路にあふれ大混雑。
アメリカ人観光客:「歩いているだけだけど、仮装した人はアメリカにはこんなにいないから楽しいです」「土曜日に韓国で事故が起きたから皆用心深くなっていて、警察官の言うことも聞くし安全に努めていると思います」
ところが、深夜になると緊迫の事態が。渋谷駅前のガード下に、大勢の警察官や緊急車両が。
警察官:「バイク入ります」
改造されたオートバイのようです。
警察官:「ミラーは?」
運転手の男性は、人気映画のダークヒーローの仮装をしています。
トラブルは、東京だけなく各地の繁華街でも。
仮装した若者などでにぎわう、JR仙台駅前。多くの人が行き交うデッキで、突然打ち上げ花火が上がります。周りに人がいても、お構いなしの危険な行為。さらに、若者同士のケンカが。仲裁に入った警察官に暴力を振るったとみられ、取り押さえられる場面も。
専門家は、人が密集する場面では、いつ、どこで事故が起きてもおかしくないと、警鐘を鳴らしています。
都市防災の専門家、東京大学大学院の廣井教授は。
東京大学大学院・廣井悠教授:「人が集まることによって過密な空間が発生して、ハード、ソフト、心理、どれかの問題が発生してそれがきっかけになって事故につながる」
群衆が殺到したことで起きた大惨事。こうした事故が起こる条件には“3つのトリガー”があるといいます。
“3つのトリガー”1つめは、道路などの「ハード面」。梨泰院での事故では、広い通りから狭い通りに入る構造で、群衆が次々と流れ込んでしまいました。
2つめは、警備などの「ソフト面」。適切な誘導で、人の流れを滞らせないことが有効だといいます。韓国では、この警備が手薄だったことで大惨事につながったという指摘が出ています。
そして、3つめは「群衆の心理」です。
東京大学大学院・廣井悠教授:「人が集まると興奮しやすくなるので、我先にそこから逃げ出そうとしたり、人波をかき分けて安全なところに行こうとしたり、興奮してまともに動けなくなったり、平常状態でなくなると事故が起きやすくなる」
いつ起きるか分からない首都直下地震でも、避難時などの事故が懸念されています。
廣井教授によりますと、大規模な災害時には人が殺到し、都内の幹線道路は、1平方メートルあたり6人の密度になる場所も。
その密度を再現した空間を体験すると…。
取材スタッフ:「かなり人が密集しています」
東京大学大学院・廣井悠教授:「周り、上下を見てもらって」
リポーター:「人に囲まれています。前も見えないですし圧迫感もあってストレスを感じます」
東京大学大学院・廣井悠教授:「今から子どもの視点にする」
リポーター:「あ、全く前が見えない。すごい見上げる感じ。もう自分がどこにいるのか分からない」
東京大学大学院・廣井悠教授:「強い地震が発生すると一斉帰宅が発生して、群衆事故が起きやすくなる過密空間が都市のあるゆるところで発生するかもしれない」
街の人たちに聞きました。過密な空間に居合わせた場合どうしますか。
20代:「時間が過ぎるのを待つというか。目的地まで頑張ってそのなかで過ごすしかない」
40代:「一番は近寄らない。あとは遭遇したら息ができるように胸を(前を)確保する。それくらいしかできない」
雑踏事故から身を守るために、私たちは、どのように対応すれば良いのでしょうか。近付かないのが一番ですが、行かなければならない、あるいは危険かどうか判断ができないこともあるかと思います。
危険の見分け方について大阪工業大学・吉村英祐教授によりますと、1平方メートルあたり5人以上というのが事故の危険性が高まる基準だとしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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