トンガ“最大15m”津波で死者3人・・・噴火直後に謎の「破裂音」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年1月19日)

トンガ“最大15m”津波で死者3人・・・噴火直後に謎の「破裂音」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年1月19日)

トンガ“最大15m”津波で死者3人・・・噴火直後に謎の「破裂音」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年1月19日)

 トンガ沖で噴火した海底火山から、およそ135キロ離れた「リフカ島」の噴火翌日の映像です。島は火山灰で泥だらけ。さらに、船が陸まで上がっています。トンガ政府は、津波が最大15メートルと発表するなど、徐々に被害の状況が分かってきました。

■津波の猛威・・・陸地に船

 南太平洋の熱帯地域に浮かび、およそ170の島からなる人口およそ10万人の“太平洋最後の王国”トンガ。

 海底火山の大噴火から、19日で4日。被害の状況が、徐々に明らかになってきました。

 噴火の翌日16日、トンガの離島「リフカ島」の住人が撮影した映像です。

 撮影者:「道が石で塞がっていて、車が通れない。この箱は一体、どこから流れてきたものなのか・・・。教会のフェンスが津波で倒れている」

 街の中心部を走る道路は、火山灰や津波の影響で、泥に覆われています。さらに・・・。

 撮影者:「電柱がなかったら、船がもっと向こう(内陸)に行ったんだろうね」

 電柱は大きく曲がり、辛うじて船の行く手をせき止めています。

 他にも街の至る所で、船が陸地に乗り上げていて、津波の衝撃を物語っています。

 撮影者:「ココナツの木が建物の中に入っている」

 住宅の壁は壊れ、周辺には物が散乱。倒れた木が、家の中まで入り込んでいます。

 撮影者:「うわー、見てあれ、家が崩れている。きのう通った時は、まだ壊れていなかったのに、海の水がここまで来たんだな」

 人の背丈ほどの高さで、壁の色が変わっている住宅もありました。この映像を見た専門家は・・・。

 火山学・自然災害科学専門 鹿児島大学・井村隆介准教授:「壁面がめくれ上がるような状態になってきて、そこにちょっと泥が付いた筋みたいなのが見えますよね。床上浸水までするくらい、1階部分はもうかなりダメージ受けている感じだと思います」

 色が変わっている部分まで水位が、上がってきていたといいます。

■謎の破裂音・・・正体は?

 噴火直後に撮影されたとみられる映像です。

 撮影者:「怖い。何が起きているの?上から聞こえてくるから花火みたい」

 「ドン」「ドン」と、大きい破裂音が鳴り響きます。

 撮影者:「すごい音が近い」

 この衝撃音は一体、何なのでしょうか?

 鹿児島大学・井村隆介准教授:「何度も破裂音が聞こえるのは、空振の音そのものだと思います」

 「空振」とは、火山の爆発などで、火口周辺の空気が動かされ、その振動が遠くまで伝わる現象。およそ135キロ離れた場所でも、大きな破裂音が鳴り響いています。

 鹿児島大学・井村隆介准教授:「爆発というと、1回こっきりパーンと思われるかもしれないが、噴火はほぼ連続的に爆発しているのと一緒」

 さらに、専門家は映像にある白とグレーの雲について・・・。

 鹿児島大学・井村隆介准教授:「雲のように見えますけど、今回の噴火による噴煙の様子を見ていると、思っていいと思います。白っぽい噴煙が顕著な噴火なんです。水蒸気が非常に多い」

■“15メートル津波”襲来の島も・・・

 トンガ政府は18日、初めて公式声明を発表。「最大15メートル」の津波が複数の島を襲い、中にはすべての住宅が倒壊した島もあるといいます。

 これまでに、トンガ人の男女2人、イギリス人女性1人、合わせて3人の死亡を確認。けが人も多数出ています。

 トンガに住んでいる妹と、いまだ連絡が取れないというラグビー元日本代表のタウファ統悦(とうえつ)さんは・・・。

 タウファ統悦さん:「船が陸に上がったり、家が壊れたり、灰が島全体に飛んできてとか。自分の家族の声もまだ聞けていないので、(妹から)連絡が返ってこない。(メッセージを)見ても既読にならない。心配でしょうがない」

■リゾート「完全に消滅」

 噴火した海底火山から、およそ65キロ離れた首都・ヌクアロファがある「トンガタプ島」。緑の木々や住宅が密集するエリアの噴火前の衛星写真です。

 しかし、噴火後の18日は、木々や建物がひしめき合う住宅地が一面、火山灰に覆われています。

 さらに、噴火前の港の衛星写真でも、津波の影響と火山灰で、道路や建物が黒くくすんでいます。

 埠頭の先をよく見てみると、コンテナなどが流されてしまっているようにも見えます。

 トンガ政府によると、港の埠頭が破壊されたため、海上の輸送に支障が出て、「火山灰によって水の供給に深刻な影響が出ている」ということです。

 そして、噴火現場に近い西海岸側に深刻な被害が及びました。

 1979年に家族経営で設立されたビーチリゾート「ハアタフビーチ」。世界的に有名なサーフィンの名所で、多くの熱帯魚やサンゴが生息しているリゾート地に、津波が押し寄せたといいます。

 緑豊かな場所にホテルなどが点在するリゾート地。噴火後は一面、火山灰に覆われ、津波の影響か、建物がすべてなくなっているようにも見えます。

 国外に住む経営者の親族が“悲痛な思い”を明かしました。

 「ハアタフビーチ」経営者の親族:「西海岸に沿ったすべてのリゾートは住宅と共に、深刻な被害を受け、完全に消滅しました。噴火が発生した時、リゾートにはお客様がいました。報告によると、爆発から津波が来るまで、10分から15分しかなかったといいます。リゾートの裏側から茂みを抜けて、安全な場所に、逃げなければならなかった。私たちの子ども時代の思い出は、数秒で破壊されました。土曜日(15日)に着ていた服以外、何も残っていないのです」

■凄絶威力・・・島が2つに分裂

 噴火した海底火山から、およそ70キロ離れた「ノムカ島」に向けて、出発前に物資を詰め込むのは、ニュージーランド軍です。

 上空から双眼鏡を使い、島の状況を確認している姿も見えます。ニュージーランド軍は輸送機で、水などの支援物資を届ける予定でしたが、滑走路に火山灰が積もっていたため着陸できず、19日以降に延期となりました。

 今回、大規模噴火を起こした海底火山は、これまで幾度となく噴火を繰り返してきました。

 元々、2つの島に分かれていましたが、2014年から2015年の噴火で、1つの島につながりました。
 
 実際に島に上陸した人が撮影した映像です。

 陸地として見えているのは、海底火山の山頂です。海底の下には、直径5キロに及ぶカルデラが隠れているとみられています。その火山が、爆発的噴火を起こしたのです。

 すると、1つに繋がっていた島が再び2つに・・・。陸地はほとんど見えなくなりました。これが津波を引き起こした噴火の威力です。

 被害の全容は、いまだ明らかになっていない海底火山の噴火。トンガ政府は、飲料水の確保や、通信インフラの復旧などに全力を挙げているとしています。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年1月19日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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