【韓国雑踏事故】事前に多くの通報も警備不十分に…専門家指摘「圧着性窒息死」とは(2022年11月1日)

【韓国雑踏事故】事前に多くの通報も警備不十分に…専門家指摘「圧着性窒息死」とは(2022年11月1日)

【韓国雑踏事故】事前に多くの通報も警備不十分に…専門家指摘「圧着性窒息死」とは(2022年11月1日)

 韓国・梨泰院(イテウォン)での雑踏事故は死者がさらに増え、156人になりました。事故直前、警察に現場の深刻さを伝える多くの通報が入っていたことが新たに分かりました。警察は会見で、現場の対応が不十分だったと認めました。

 現場付近では、臨時に女性が花を売っていました。

 臨時に花を売る女性:「近所に生花店がないからね。他では高く売っているから。近くでこんなことがあったから…」

 韓国・梨泰院で起きたハロウィーンでの雑踏事故。死者数は先月31日から増え、これまで日本人2人を含む、156人を数えています。

 大統領や官僚が現場に訪れるなか、新たな事実も分かりました。

 韓国メディアによると、事故発生3日前、地元の警察署が混雑による事故の危険性を指摘。報告書も作成されましたが、具体的な対策が講じられることはなく、今回の惨事が引き起こされた可能性があるとのことです。

 当日にも、危険を知らせるサインは警察に寄せられていました。

 尹熙根(ユンヒグン)警察庁長:「事故が発生する直前に現場の危機的な状況を知らせる112通報(緊急番号)が多数ありました。現場の対応は不十分だったと判断しました」

 また、現場でも新たな事実が…。

 韓国メディアによりますと、坂の中間付近、わずか18平方メートルに、300人以上が折り重なり、その地点に死者の数が最も集中したと伝えました。

 積み重なった人は六重、七重にもなっていたといいます。

 現場にいた人:「意識のない人もいました。血を流している人もいました」

 立ったまま気を失ったという証言もあった、すさまじい圧力。18平方メートルに300人が集中すると、一人あたりの圧力はどのくらいになるのでしょうか。

 大阪工業大学・工学部建築学科、吉村英祐教授:「1平方メートルあたり600キロ以上になるので、1人あたりですと約200キロを超える。到底息もできない密度になっていると思います」

 群衆事故に詳しい、大阪工業大学・吉村英祐教授は、現場で「圧着性窒息死」が起きたと指摘し、その恐怖を語ります。

 大阪工業大学・工学部建築学科、吉村英祐教授:「胸が押されて、要するに肺を膨らまそうとしても膨らまない。まず酸欠状態といいますか、気を失う。(今回)気を失ったまま亡くなった方もいるかもしれないなと。もう想像を絶する悲惨な状況だったなと思います」

 このような事態になったのはなぜでしょうか。指摘されるのが「人の流れ」です。

 事故現場を挟む世界グルメ通りや南にある大通りは、大規模なイベントが行われるときには一方通行になっていることが多かったといいます。

 しかし、今回混雑する人々の向かう先はバラバラで、坂の中央付近で密度が高くなったと考えられます。

 また、緊急車両が動けなくなる事態にも陥りました。

 救急隊:「救急車が現場から速やかに抜けられないと、患者が移送できません」

 現場付近にあるたばこ店は、当時の状況をこう話します。

 現場付近のたばこ店:「交通規制は6、7年前もありませんでした。その後もなかったと聞いています。事故が発生してから消防も警察も来たけど、人があまりにも多いから警察が指示をしても皆あまり従おうとしなかったので、道は開きませんでした」

 そして、もう一つ指摘されるのが「道幅の狭さ」です。

 事故現場近くの世界グルメ通りは、違法にテラス席が増築され、ボトルネック状態となり事故の原因とも指摘されています。

 現地メディアは…。

 記者:「2016年ハロウィーン、梨泰院ハミルトンホテルの裏は人出でいっぱいでした。惨事が起きたまさにその路地裏」

 6年前、すでに大勢の人でごった返した、梨泰院ハロウィーン。翌年には今年の倍にあたる20万人が訪れたといいます。そして、3年前。

 記者:「ハミルトンホテルの路地裏。左側に酒類の広告板になっている車両が止まっており、右側には即席写真ブースができました。年々露店が増え、道は狭くなります。そして今年、3年ぶりに訪れた『稼ぎ時』に店主たちの行動はエスカレートしました」

 稼ぎ時と考えた店側は、テラスや路上にテーブルを出すなどし、道幅が狭くなり、人混みを助長させていました。

 また、事故が起きた通りでは…。

 現地メディアによると、ホテルは1970年に建てられ、変更された都市計画などが反映されず、維持されていた可能性があるといいます。

 2009年の写真を見ると、現在とは異なる壁ですが、当時から道路にせり出したままとなっていました。

 龍山(ヨンサン)区庁関係者は、この仮設フェンスに対し「屋根がない形態のため建築物とみるのは難しく、違法増築物の取り締まり対象ではなかった」と説明しています。

 現地メディアによると、事故の3日前、警察と龍山区や商店会など関係者10人ほどが集まり、会議が行われました。

 このなかで、商店街関係者から「圧死事故含む事故が起こる恐れがあるので、街のテーブルなどを片付けなければならない」と提起。しかし、ソウル警察庁の警備運用計画に反映されることはありませんでした。

 他にも、警察が防犯カメラなどを通じて事故発生の兆しを感知できたにもかかわらず、適切な事前措置を取らなかった点も問題視されています。

 対策の不備を指摘する声が上がるなど、警察や行政への批判が強まっています。

 その一方で…。

 事故を目撃した人:「人混みの中から『押さないで下さい』という声が聞こえていたのに後ろから『おい、押せ、押せ』と言ったんです」

 「押せ、押せ」と声を上げる人物がいて事故を誘発したという証言もあり、この真偽を含め調査が続けられています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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