【ノーカット】天皇訪中 歓迎式典でのお言葉「将来に向かって歩む契機に」1992年(2022年10月23日)

【ノーカット】天皇訪中 歓迎式典でのお言葉「将来に向かって歩む契機に」1992年(2022年10月23日)

【ノーカット】天皇訪中 歓迎式典でのお言葉「将来に向かって歩む契機に」1992年(2022年10月23日)

30年前、日中国交正常化から20年を経て、歴史上初めて天皇陛下の訪中が実現しました。

1992年10月23日、天皇皇后両陛下(現在の上皇さまと上皇后さま)が北京に到着されました。
歓迎式典では中国の楊尚昆国家主席とともに閲兵され、歓迎晩さん会にご出席。
晩さん会での陛下のお言葉はノーカットでご覧ください。

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■両陛下は1992年10月23日、午後1時40分ごろ、日航特別機で北京に降り立ち、日本の天皇として初めて中国の地を踏まれました。

■釣魚台国賓館で歓迎を受けた後、人民大会堂前広場での歓迎式典に臨まれました。

天皇陛下と楊尚昆国家主席が今、観閲台の方に向かっています。
両陛下は先ほど釣魚台から式場に到着されました。

「君が代」が演奏されています。
日本と中国、2000年の交流の歴史の中で、きょう初めての天皇訪中が実現しました。
21発の礼砲が鳴らされています。

続いて中国の国家「義勇軍行進曲」が演奏されています。
この曲は日本に留学していた文学者、田漢が作詞し、鵠沼海岸で水死した天才音楽家、聶耳が作曲した曲です。
この曲は「抗日戦争」時代に中国兵士の魂を奮い立たせるために歌われた曲だそうですが、その時代から日中関係は大きく変わり、きょう天皇訪中が実現しました。

きょうの北京は見事な秋晴れなんですが、気温はかなり低いです。
きょうは最高気温は10度、最低気温は0度と、コートを着ていないと寒い、そんな天気になってしまいました。

陛下が楊尚昆主席とともに、中国の陸海空3軍の儀仗隊を閲兵されます。

■夜には楊尚昆国家主席主催の歓迎晩さん会が催されました。天皇陛下のお言葉です。

楊尚昆国家主席閣下,並びに御列席の皆様

今夕は,私どものために,このような宴を催していただき、また、ただ今は楊尚昆国家主席閣下から、心温まるお言葉をいただき、厚くお礼を申し上げます。

貴国と我が国の交流の歴史は古く、特に、7世紀から9世紀にかけて行われた遣隋使、遣唐使の派遣を通じ、我が国の留学生は長年中国に滞在し、熱心に中国の文化を学びました。両国の交流は、このような古い時代から長い間平和裡に続き、我が国民は、長年にわたり貴国の文化に対し深い敬意と親近感を抱いてきました。

私自身も年少の頃より中国についての話を聞き、また本で読むなどして、自然のうちに貴国の文化に対する関心をもってきました。
子ども向きに書かれた三国志に興味を持ち、その中に出てくる白帝城についての「朝(あした)に辞す白帝彩雲の間」に始まる李白の詩を知ったのも、少年時代のことでありました。

また、今世紀に入ってからは、貴国の有為の青年が数多く我が国を訪れるようになり、人的交流を含む相互の交流は一層活発なものとなりました。
私は、このような両国民間の交流の伝統をかけがえのない、貴いものと考えます。

このような深い関係にある貴国を、この度、主席閣下のお招きにより訪れることができましたことは、私どもの深く喜びとするところであります。

しかし、この両国の関係の永きにわたる歴史において、我が国が中国国民に対し多大の苦難を与えた不幸な一時期がありました。
これは私の深く悲しみとするところであります。

戦争が終わった時、我が国民は、このような戦争を再び繰り返してはならないとの深い反省にたち、平和国家としての道を歩むことを固く決意して、国の再建に取り組みました。

爾来、我が国民は、世界の諸国との新たな友好関係を築くことに努力してまいりましたが、貴国との間においては、両国の先人たちを始めとする多くの人々の情熱と努力によって、将来にわたる末長い平和友好を誓い合う関係が生まれ、広範な分野での交流が深まりつつあります。
私はこのような両国民間の関係の進展を心から喜ばしく思うとともに、この良き関係がさらに不動のものとなることを望んでやみません。

今日、国際社会は、人類の平和と繁栄の達成という崇高な理想に向けて共同の努力を行っておりますが、この中にあって、日中両国民の友好親善関係の進展は,大きな意義を持つものと信じます。

本年は、日中国交正常化20周年という両国間の関係における大きな節目の年にあたっており、両国民の間で、相互理解と友好親善を目指して様々な行事が行われております。
貴国からは、江沢民総書記閣下、並びに万里委員長閣下が我が国を御訪問になり、両国間の絆をより太くより強いものとすることに貢献されました。
この度の私どもの貴国訪問が,このような絆に結ばれた両国民にとり、お互いに良き隣人として将来に向かって歩む契機となれば誠に喜ばしく思います。

私どもは北京のほか西安と上海を訪れることになっております。
西安では、かつて我が国から航海の危険を冒しつつ唐に渡り、長安で中国の文化を学んだ遣唐使や留学生の労苦をしのび、貴国の歴史に触れたいと思います。

また、上海では、貴国の新たな発展の息吹に触れることができるでありましょう。
私どもは、この度の訪問において、できるだけ多くの若い人々にも接する機会を得たいと考えております。両国の若い世代は、必ずやこれまでの伝統的な交流の歴史を継承し、これをさらに豊かな心の交流として発展させていくにちがいありません。

北京の秋の美しさは多くの人によって語られてまいりました。
この美しい季節にこの地を訪れる機会を得ましたことを私どもは心よりうれしく思っております。

楊尚昆国家主席閣下、並びに御列席の皆様、
ここに日中両国民間の友好親善の発展を念じますとともに、楊尚昆主席閣下の御健勝と貴国の繁栄、そして貴国民の幸せを祈って杯を挙げたいと思います。 ※この映像にはナレーションはありません。ご了承ください。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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