「洗脳状態」「悪質性」どう定義？旧統一教会の“被害者救済法案” 成田悠輔「被害者の線引き難しい」｜TBS NEWS DIG
21日、旧統一教会の被害者救済についての法整備を議論する異例の与野党協議会が行われました。今国会で法案を成立させることは可能なのか?また法整備を進める上で課題となるポイントは?米イェール大学助教授の成田悠輔さんと考えます。
■被害者救済のため“被害救済法案”成立へ 課題は“財産権の侵害”の可能性
ホラン千秋キャスター:
与野党協議会に参加したのは自民・公明、立憲・維新の4党になります。どうにか被害者を救済するために動かなければならないということで、異例の与野党協議会の初会合ということですが、そもそもここに至るまで10月17日に立憲と維新が「悪質献金被害救済法案」というものを国会に共同提出していました。ここに自民・公明の与党間協議を一緒にしてもらえませんかということで求めていたわけです。
では、どのような法案なのか。中身を見ていきましょう。
悪質献金などによる被害救済法案というものなんですが、献金をした当事者（信者）は悪質と言えるのではないかというぐらいの額を献金される方がいるわけですが、その献金をした当事者に代わり、配偶者や子供など、ご家族が「それやりすぎじゃないですか」と返金を申し出ることができる制度ということです。
しかし、ここには課題もあり、当事者の財産権を侵害する可能性もあると。家族とはいえ、当人が行った献金、自分の財産を自分の思うように動かすところに家族がどうこうしようというのは財産権の侵害に当たる可能性もあるのではないかという指摘です。
こういった課題がありながらも、与野党4党は今国会で法案成立を目指しているんですが、やはり課題が多いということで与党幹部は「今の国会での成立は難しいのではないか」というような見方もあるようです。
ただ、被害者を救済していこうという点では同じ方向を向いていると言えると思います。
岸田総理（20日の予算委員会）
「被害者の方々が存在するということがさまざまな形で政府には情報として入っていた。今日まで放置したことについて、政府として強く深刻に受け止めなければならない」
被害者救済に向けた法改正、これを進めることを強調しています。
井上貴博キャスター:
被害者を救済しなければならない。その一方で当事者の財産権を侵害する可能性も考えなければならない。
でも、この旧統一教会の問題でよく言われるのが、当事者が洗脳状態にあって当事者自身が正常な判断ができない場合も多い。そのときにご家族が家庭の財産をしっかりと守れる仕組み作りが必要である。ここはどういうふうな仕組み作りにするのか。知恵は必要ですけど、何かアイディアはございますか。
米イェール大学 成田悠輔 助教授:
難しいですよね。その洗脳状態って一体どうやって定義するのかっていう問題はいろいろな場面で出てくる問題だと思いますから、一つのルールで決めるっていうのはだいぶ難しいんじゃないかな。さらには、やはり何をもって悪質と呼ぶかとか、どこからどこまでを救済されるべき被害者の方だと線引きするかとかもすごく難しいと思うんです。
なので救済しなくちゃいけない。特に破産まで追い込まれてしまったり、家族が壊れるところまで行ってしまったりした方を救済したいっていう気持ちと同時に、どうやってそれをルールとか法制度とか作っていくかというと、ものすごく難しいっていうところで引き裂かれてるような状態なんじゃないかなと。
井上キャスター:
具体的にどういうふうな線引きをしていくのかっていうのが法律だと踏み込めない部分がありますか。
米イェール大学 成田悠輔 助教授:
もしかしたら例えば金額とか、あるいは持っている財産とか資産を照らしたときに、どれぐらいの割合以上献金してしまった場合には、後からキャンセルできるような形にするっていうような、客観的に判断できる基準でルールを作るってことが一つあり得るのかなと思います。
ただ、そのルールも結局それが財産権とかあるいは自由意志みたいなものを侵害してるんじゃないかっていう懸念は拭えないということになるので、どちらの方向に向くにしても、なかなか難しい難題を乗り越えていかなくちゃいけないんだろうなと。
■元2世信者「過去最低の会見」 2世信者20人が幹部クラス昇格
ホランキャスター:
過度な献金というのも被害として報告されていますが、2世信者の皆さんが「私達も2世として被害に遭いました」ということも最近はよく耳にしますよね。
ただ、もちろん2世信者として教団の中にいらっしゃる方々も多くいます。
20日、旧統一教会が行った会見の中で現役の2世信者が登場する場面がありました。
旧統一教会としては20人の2世信者を幹部クラスである教区長に昇格することを発表したのです。
これにはどんな意図があるのか。
会見を行った勅使河原本部長は「同じような悩みをいま抱えている2世信徒さんに対応するには彼らが最もふさわしいだろう。2世信徒の意見も彼らであれば吸収しやすい」と。
つまり、教団の中で不安や不満を抱えている2世信者の方がいたら、同じような境遇の2世信者が対応することによって、そ…（https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20221021-6047378）
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