プーチン大統領「侵攻に後悔ない」厳冬で切り札が“核兵器”から“天然ガス”に変化か(2022年10月15日)

プーチン大統領「侵攻に後悔ない」厳冬で切り札が“核兵器”から“天然ガス”に変化か(2022年10月15日)

プーチン大統領「侵攻に後悔ない」厳冬で切り札が“核兵器”から“天然ガス”に変化か(2022年10月15日)

先週のクリミア大橋爆破の報復としては10日から始まったロシアによるミサイル攻撃。ウクライナ全土の電力施設の3割が標的に。懸念されるのが、厳しい冬の乗り切り方です。
今後の戦況についてポイントとなるのは、西側諸国に向けたロシアからの”エネルギー攻撃”と米アナリスト。核兵器使用の可能性は低く、エネルギー価格の暴騰で西側各地に混乱を巻き起こす「天然ガス」の輸出抑制が切り札になると分析します

ついに、プーチン大統領に対し、ロシアメディアの記者から厳しい質問が飛び始めました。

(ロシアメディア記者)
『Qプーチン大統領、後悔していませんか?』

(ロシア プーチン大統領 10月14日)
『いや、はっきりさせておきたい。(ウクライナで)今、起こっていることは控えめにいっても不愉快だ。しかし、遅かれ早かれ同じことが起きていたし、最悪の状況になっていただろう』

プーチン大統領は、9月に発表した部分的な動員令についても、「2週間以内に完了させる」と述べました。
招集された兵士の死亡も次々と伝えられる中、混乱の収束を図る狙いがあるとみられます。

ウクライナの首都キーウでは、10月12日、計画停電の中、生後4か月の赤ちゃんの世話をする母親の姿がありました。

(母親)
『私もシャワーを浴びられないし、懐中電灯だけで赤ちゃんを子供をお風呂に入れられない。簡単に洗うだけ』

きっかけは、クリミア大橋爆破の“報復”として10日から始まった、ロシアによるミサイル攻撃です。
この日以降、ウクライナ全土の電力施設の3割が標的になったと言います。

この時、ロシア軍がミサイルと併用したとみられているのが「神風ドローン」とも呼ばれる、イラン製の自爆型無人機です。
9月から投入され始め、ウクライナ軍は6日の時点で、飛んできた86機のうち、6割を撃墜したとしていましたが、今回の攻撃でもインフラ被害が相次ぎました。
さらに…

(ウクライナ ゼレンスキー大統領 11日)
『我々の情報では、ロシアはイランに2400機の自爆型無人機を発注している』

そこで、NATO=北大西洋条約機構は、ウクライナにドローンを妨害する兵器の供与を決めました。
さらに、ロシアのミサイル攻撃に対しても防空システムの共同購入へ動き出すなど、NATO側は結束を強めています。

(米・戦争研究所アナリスト ジョージ・バロス氏)
『今回の(ロシアの)ミサイル攻撃は、軍事的、戦術的にはメリットはほぼなかったと言えます。ウクライナに防空システムを提供する西側諸国の意識、決断力が高まりました。これはプーチン大統領がミスを繰り返した結果です』

アメリカ・戦争研究所のジョージ・バロス氏が作成した戦況マップは、日本をはじめ、多くの国で引用され、ウクライナの大臣がヨーロッパの各国首脳に戦況を説明する際にも使われています。
9月からはウクライナの奪還が目立っていますが、自身の作る地図の行く末をどう見ているのでしょうか?

(米・戦争研究所アナリスト ジョージ・バロス氏)
『最もあり得るシナリオは、ウクライナ軍の領土奪還は続きますが、破竹の勢いが出せなくなる。ロシアは守るべき領土が小さくなることで、物資の供給が少なく済み、防衛作戦が容易になるからです』

現実味を帯びる戦争の「長期化」。
懸念されるのが、厳しい冬の乗り越え方です。

(チェルニヒウ在住 アンドリイさん)
『冬にはマイナス30度以下になった時もあります。特に都市は(電気・ガスなどの)エネルギーに依存しています』

チェルニヒウでボランティア仲間と復旧作業を続けているアンドリイさん。
この地域も侵攻直後に深刻な被害を受けましたが、4月上旬にロシア軍が撤退。
アンドリイさんは連日、仕事の後に深夜まで復旧作業を続け、半年かけて、地域住民が電気に困らない状態にまで戻しました。
しかし、今回のキーウ攻撃で、このエリアも一時停電になったと言います。

(チェルニヒウ在住 アンドリイさん)
『一番の心配は、またロシアにインフラを攻撃されることです。国内のどこかで発電ができなくなると、各地に影響が出てしまう可能性もあるのです』

日本政府も国際機関などを通じて、暖房器具や発電機などを提供するよう、動き出しています。

そして、きたる厳しい冬によって、ロシアがヨーロッパへの輸出を抑制している「天然ガス」が、「核兵器」よりも、現実的な切り札になると言います。

(米・戦争研究所アナリスト ジョージ・バロス氏)
『今年の厳しい冬に向け、“エネルギー攻撃”が西側諸国に十分な脅威を与えられるので、核兵器使用の可能性は低いと思います。エネルギー価格の暴騰は西側各地でデモを引き起こし、一部の政府はそのデモによって、崩れる可能性があります。戦闘が行き詰まってきた今、「今こそ交渉をする時だ」と、プーチン大統領が西側諸国に呼びかけるシナリオがすでに準備され、今から6ヶ月以内に行われる可能性が高いと考えています』

サタデーステーション 10月15日OA (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
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