【静岡・観光バス横転事故】事故原因の可能性に「フェード現象」

【静岡・観光バス横転事故】事故原因の可能性に「フェード現象」

【静岡・観光バス横転事故】事故原因の可能性に「フェード現象」

静岡・小山町で観光ツアー中の大型観光バスが横転した事故で、警察が可能性の1つとして捜査を進めているのが「フェード現象」です。交通事故に詳しい専門家は「フットブレーキに頼った運転」によりこの現象が起きたのではないかと推測しています。さらに、現場となった道路の“ある特徴”に対する指摘も…。

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今回の横転事故を起こしたのは、26歳の若い運転手・野口祐太容疑者です。勤務先の美杉観光バスが、野口容疑者の13日朝の様子について説明しました。

――朝の段階では問題なかった?

美杉観光バス
「問題なかったです」

――チェック項目というのは『アルコール』とか?

美杉観光バス
「そうですね。『顔色』はどうだった、『きのうは十分、睡眠を取りましたか』とか。あとは『血圧』ですね」

野口容疑者は9日、10日と2連休を取り、事故当日の13日が3日目の勤務日だったといいます。バスに乗る前の体調などに問題はなかったといいます。

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美杉観光バス側は、横転事故を起こしたバスツアーを主催した旅行会社「クラブツーリズム」と13日夕方に開いた会見でも、野口容疑者の運転経験などについて説明しました。

――(運転手は)過去にバス会社での大型観光バスの運転経験は?

美杉観光バス 吉田典弘社長
「当社に入社しまして約1年3か月。その前、トラック運送会社、バス会社にも勤務したと聞いております。(入社後、)難しくない仕事から乗務させまして、今年の春くらいから観光バスの乗務が多くなった乗務員です」

――富士山周辺の山道という比較的技能がいると思われる道で、若めのドライバーが運転することは特に問題ない?

美杉観光バス 吉田典弘社長
「富士山に限らず山坂ある道路は結構あるので、ちゃんと指導の下、研修等をして運行している乗務員でございます」

――特異な訓練などはしていた?

美杉観光バス 吉田典弘社長
「富士山で研修したかはわかりませんが、ほかの山坂の峠道で研修することはしています」

美杉観光バスによると、野口容疑者の勤務態度はまじめだったといいます。今回のコースでの運転は初めてだったものの、実際の峠道などでの研修経験もあり、春ごろからは観光バスの乗務を多くこなしていたといいます。

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事前の安全点検に問題はなかったといいますが、野口容疑者は「ブレーキがかからなくなった」と供述しているということです。ブレーキは、なぜかからなかったというのか…。警察が可能性の1つとして捜査を進めているのが、「フェード現象」です。

フェード現象は、今回の事故現場ような長い下り坂などで起こりやすい現象です。そもそもブレーキは、摩擦でタイヤの回転を止める仕組みになっています。しかし、これを何度も繰り返すと熱が発生し、ブレーキが利きにくくなるといいます。

事故は富士山5合目からの長い下り坂の途中で起こりましたが、実際にこの道路を走った車の車載映像には「ブレーキの過熱に注意」と呼びかける看板が映っていました。

交通事故に詳しい交通事故鑑定人の中島博史さんは、事故現場の写真を見ながら、「急なカーブになっていますが、このカーブを曲がりきれないようなスピードでこのカーブに入ってしまったために、恐らくこの辺りでのり面に乗り上げてしまったので、車の左側が持ち上げられ、最終的には横転するような形になった事故だと思います」と分析しました。

さらに指摘したのは、“道路の色の違い”です。事故現場の写真では、真新しいように見える道路と古く見える道路との間に、はっきりとした“切れ目”がありました。

交通事故鑑定人・中島博史氏
「手前側の方が新しくて、非常によく整備されている状態です。切れ目のところから先は少し古そうで、ある程度、摩耗したり劣化したりしているところが見えます。カーブの途中で摩擦力が変わることはあり得る」

古い道路の方が摩擦力は低下するため、ブレーキの利きが悪くなった可能性があるといいます。

交通事故鑑定人・中島博史氏
「フットブレーキに頼った運転をしていてフェード現象が起きてしまって、カーブの手前で減速したかったが、ブレーキが利かず、はみ出してしまったというのが事故の原因だと思います」

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一方、大型観光バスの指導をしている月の輪自動車教習所の石塚勝也教習指導員は「スピードを出しているとカーブに対して頻繁にブレーキを使うことになるので、どうしてもブレーキ周りの温度が上昇しやすくなってくるんです。そうすると、フェード現象が起こる可能性が高くなってきます」と指摘しました。

フェード現象は、普通車より大型車の方がブレーキにかかる負担は大きくなるため、起こるリスクが高いといいます。こうならないためには、次のことに気をつけるのが大切だということです。

月の輪自動車教習所 石塚勝也教習指導員
「(1)足のブレーキに頼りすぎない。普通車免許の人より強く指導している」
「(2)エンジンブレーキ・排気ブレーキなど自ら速度落とす装置を積極的に使う」

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警察は今後、過失運転致死傷に容疑を切り替え、当時の状況などを詳しく調べることにしています。
(2022年10月13日放送「news zero」より)

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