台風19号災害3年「田んぼを売る気はない」遊水地の整備巡り住民と行政に溝|TBS NEWS DIG

台風19号災害3年「田んぼを売る気はない」遊水地の整備巡り住民と行政に溝|TBS NEWS DIG

台風19号災害3年「田んぼを売る気はない」遊水地の整備巡り住民と行政に溝|TBS NEWS DIG

シリーズ「現場から」です。2019年、東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の上陸からきょうで3年です。堤防が決壊した長野県の千曲川の流域では、川の水を逃がす遊水地の整備をめぐり、住民と合意できない状態が続いています。

長野県佐久市でコメ農家を営む臼田憲司さん。

コメ農家 臼田憲司さん
「刈ってあるところは全部うちの(田んぼ)。水に困ることはないし、いいところですよ」

田んぼは千曲川の畔に広がり、豊かな水と土壌により美味しいお米ができるといいます。しかし…

コメ農家 臼田憲司さん
「いきなり土地よこせって一番腑に落ちない」

この場所に遊水地をつくる計画が立てられているのです。

長野市で千曲川の堤防が決壊した2019年10月の台風19号災害。上流の佐久市でも支流が決壊・氾濫し、2人が犠牲になりました。

国・県・流域の市町村は、連携して治水対策を進め、佐久市でも支流の川幅を広げるとともに、遊水地の設置が計画されています。

予定地の面積はおよそ31ヘクタールと東京ドーム6個半分。このうちの3分の1が臼田さんがコメを作る田んぼです。

計画を進める県は、遊水地に水を逃がすことで、下流への影響を抑えたいと説明します。

被害を受けた千曲川の支流3本では、堤防をかさ上げし、川幅を広げる計画で、台風19号と同じ規模の雨が降った場合、下流に流れる水の量は最大110万立方メートル増えるとされています。

佐久建設事務所 小林敏昭 所長
「千曲川の流れる水が当時の東日本台風の時に比べて増えてしまう可能性がある」

想定される量の水が増えても貯められるよう、深さ4メートルほどの遊水地を整備する計画です。

コメ農家 臼田憲司さん
「(Q.台風19号とき、この辺りはどんな様子?)(ここは)何も被害ないですよ。何も被害が無かったここが遊水地っておかしくないですか?」

遊水地の候補地は、ほかにも6か所ありましたが、川との高低差が大きいことや面積の狭さなどから、この場所が選ばれました。県は、田んぼの代替地を確保し、話し合いを経て土地の買収を進めたいと考えています。

佐久建設事務所 小林敏昭 所長
「まず、この計画したエリアを何とかご協力いただけないかと。皆さんの声を聞きながら、ご理解を求めていきたいのがスタンス」

コメ農家 臼田憲司さん
「お金の話は一切しない、したら負けだと思っている。うちは売る気はないし、納得もしてないから(今後は)想像つかないです」

県が再来年度の完成を目指す遊水地。住民と行政の溝は深く、先行きは見通せません。

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