【独自取材】着用義務撤廃の国 マスク着用の“判断”は?(2022年10月8日)
2022年9月14日 WHOテドロス事務局長
「パンデミックの終わりが視野に入っている」
新型コロナの世界的流行から3年。WHOが初めて“終息”を示唆。その真意は。果たして、世界はどう受け止めたのかー。サタデーステーションでは“ウイズコロナ”の先進国を緊急取材。世界が舵を切るコロナと共存する社会。“ウイズコロナ”で優先すべきは、いったい何かー?新型コロナウイルスが“終息”へと向かう中で、世界がとっている対策は国ごとに様々です。足並みを揃える必要はないのでしょうか?WHOの感染症危機管理シニアアドバイザー、進藤奈邦子医師に聞きました。
WHO感染症危機管理シニアアドバイザー:進藤奈邦子医師
「足並みはむしろ揃っていなくていいと私たちは思っていて、国によって、国民の抗体保有率がちがうわけですよね。ワクチンの接種率も違えば、自然感染によって得られた抗体も違う。それぞれの国での独自のリスク評価に基づいて行うべきだと思うんです。」
サタデーステーションの取材班が向かったのは、アジアの経済拠点の一つマレーシア。日本より一足早く、8月1日に水際対策が撤廃され、ワクチン接種の有無に関わらず入国が可能になりました。
笹原ディレクター
「クアラルンプールの繁華街です。マスクの着用義務はありませんが、まだ多くの人がマスクをしている様子が分かります。」
マレーシアでは先月7日に、公共交通機関などを除き屋内でのマスク着用義務を撤廃。マスクをしている人も多く、日本同様慎重な状況ですが、3年ぶりの日常が戻り始めています。
飲食店が集まる通りでは、マスクの着用は店や客の判断に委ねられます。
店の人
「スタッフも全員マスクを着用しているわけではないです。半分半分くらいです。」
10月7日時点でのマレーシアの新規感染者数は、1788人。ウイズコロナへ歩みを進める中で、コロナ対策への変化も。石油関連会社のオフィスを訪ねると、席の間にアクリル板はなく、至近距離で打ち合わせをするスタッフの姿がありました。
石油会社ダコタ:モハメッド ファウスジ社長
「マスク着用などのコロナ対策については、社員一人一人の判断に任せるようにしています。当社は政府の考えに従い、必要にあわせて行動しました。理由は“前進する必要がある”からです。」
日本語学校を訪ねてみると、学校内でのマスク着用について、国としての規制はありませんが、日本語学校ゆえに苦労もありました。
帝京マレーシア日本語学院:大野好弘さん
「教室は密閉空間ですので、発声をする場合がありますから、できるだけそれについてはマスクをして防御をしようというのが1つです。11月半ばに日本の大学へ行くための試験がございます。11月半ばまでは、教室内は全員マスクをしていきましょうと決定しました。」
マレーシアの特徴として抗原検査キットが薬局やコンビニなどで手軽に購入でき、値段は日本円で100円前後からです。感染が疑わしい場合はこうしたキットで自主検査することを国が推奨しているといいます。
マレーシアの一般家庭を訪ねてみると、キッチンの棚に置いてあったのは…。
妻:アイサリナさん
「コロナの検査が15セットあります。家に置いている理由は、息子二人が寮で暮らしていて帰宅する時と寮に戻る時に検査を受けなくてはいけないからです。」
Q学校のルールですか?それとも家のルールですか?
夫:フッサイニさん
「両方だよ、安全のためです。」
コロナと共存する社会、その先に終息はあるのでしょうか?
WHO感染症危機管理シニアアドバイザー:進藤奈邦子医師
「パンデミックが始まってから、2年半経っている。相手(新型コロナ)のことをよくわかってきたというのがまず一つ。それから私たちの中に免疫が広くついてきたということですね。何回かのワクチン、それから自然感染、そしてブースター接種。こういった何層にも重なる免疫の獲得が重症化や死亡を抑えている状況。これらの理由で、緊急状態は脱出できそうだということですね。」
一方、日本とは全く違う対策を取っているのが世界に先駆けワクチン接種を始めていたイスラエルです。現在、医療機関などを除きマスク着用義務を4月23日に撤廃しています。新規感染者数は、2022年初め、9万人に迫る日もありましたがその後減少し、現在は200人程度。死者はもうほとんどいません。
市民
「コロナは、ほかの病原菌同様、存在し続けています。でも、もうイスラエル国民は気にすらしていません。」
イスラエル政府はコロナとの共存を念頭に、いち早くワクチン接種を始めていました。しかし、現在のイスラエルの接種率を見ると、日本よりも低いのが明らかです。
イスラエル在住:新田朝子さん
「3回目の接種が来たタイミングというのもかなり早い段階で、まだ打たなくていいんじゃないかという人が居たり、感染したことによって接種するタイミングを逃してしまった人もいるのかなと思います。」
サタデーステーションでは多くのコロナ患者を診察してきた、シャーレツェデック病院のガブリエル・イシュビツキー医師に、ワクチン接種が進まない理由を聞きました。
シャーレツェデック病院:ガブリエル・イシュビツキー医師
「『もう3回もワクチンを接種したのに』という疲労感。そして、感染者数の減速も影響しています。また『4回目接種の効果が低い可能性がある』という研究結果も後押ししたのかもしれません。」
そんな中、先日から「オミクロン株対応ワクチン」の接種が始まっています。
接種を受けた71歳男性
「新しく、より良いワクチンを選ぶのが賢明だと考えました。5回目のワクチン接種です。」
新たなワクチンへの期待も高まる中、新型コロナに対する現在の世界の対応をWHOとしては、どう見ているのでしょうか。改めてテドロス事務局長が語った“終息”をどう捉えるべきか聞きました。
WHO感染症危機管理シニアアドバイザー:進藤奈邦子医師
「今、残念ながらじりじりと患者さんの数が増えないにしても、感染者数が減っていかない国ではやはりまだコロナ対策を続ける必要があると思うんです。それぞれの国でリスク評価しながらコロナ対策をやってほしいと思っています。コロナが終息したのではなくて、コロナによる危機的状況が収束に向かっているというふうに解釈していただくのが正しい。」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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