森鴎外「舞姫」執筆の老舗ホテル コロナ禍で閉館も“後世へ”(2022年10月8日)

森鴎外「舞姫」執筆の老舗ホテル コロナ禍で閉館も“後世へ”(2022年10月8日)

森鴎外「舞姫」執筆の老舗ホテル コロナ禍で閉館も“後世へ”(2022年10月8日)

 コロナ禍で閉館を迎えた東京の老舗ホテルに明治の文豪・森鴎外ゆかりの建物があります。歴史あるこの建物を移築して後世に残そうとする取り組みを追いました。

 今週、明治の趣を残す築136年の木造家屋の解体が始まりました。

 東京・池之端にある「鴎外荘」。明治時代の文豪・森鴎外が新婚時代を過ごし、「舞姫」などを執筆した場所です。

 関東大震災や東京大空襲も免れた鴎外荘は戦後、隣接するホテルの創業者が買い取り、以来、宴会場などの場としてその姿をこんにちまで残してきました。

 水月ホテル鴎外荘元女将・中村みさ子さん:「この廊下の丸太、向こうからこっちまで1本です。(お客様から)『なかなかこういうのはないね』と言ってもらっています」

 多くの人々に愛されてきたこの場所もおととし、コロナ禍でホテルが閉館。しかし、鴎外荘を残したいと一度は営業を再開しましたが、経営は難しく去年、廃業。鴎外荘の移築先を探すことになりました。

 水月ホテル鴎外荘元女将・中村みさ子さん:「『買うよ』って言って下さることは多かったんですね。ただそれが本当にこの先ここを大事に保存して頂けるのか。ここって思ったところにお願いしたいという強い気持ちがあったので」

 明治の建物であるがゆえ、建築基準法上の問題や移築先の土地の確保などが課題となるなか、半年以上かけて決まった先が根津神社でした。

 鴎外が散歩の時によく訪れ、奉納した砲台も残るゆかりの深い場所でした。

 そして、迎えた解体の日。釘を使わないなど、宮大工が技術の粋を尽くしたその姿を復元するため、一つひとつの建具には番号が振られ、丁寧に作業が進められていきます。

 移築にはおよそ1年半かかるといいます。

 水月ホテル鴎外荘元女将・中村みさ子さん:「ここでたくさんの思い出を作って下さったお客様が、新しい根津神社の鴎外荘に行かれた時に『あの時こんな楽しかったね』って。そういう思いをはせて下さるものが残ったら光栄ですし、うれしいなと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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