失われつつある「民族のアイデンティティ」 ウクライナ長期取材の香港出身ジャーナリストが語るウクライナ・香港の“共通点”【日中50】|TBS NEWS DIG
近年、中国からの圧力が市民生活を一変させた香港。その香港出身のジャーナリストがロシアの侵攻を受けたウクライナを取材したところ、今、香港とウクライナに共通して失われつつあるのは「民族のアイデンティティ」であるとJNNに語りました。
爆撃で耳が聞こえなくなった女性。軍服姿で抱き合うカップル。
香港出身ジャーナリスト クレ・カオルさん
「(ウクライナは)自分たちの文化、自分たちの言葉を持ちながら自分たちの国がなかった。本当に武器を持たないで何が起きるのかウクライナ人はわかっている」
香港出身のジャーナリスト、クレ・カオルさん。今月21日、東京大学でウクライナの人々の状況を報告しました。
クレさんは侵攻が始まる前の2月18日からウクライナに入り、4か月にわたって取材。
これは東部・リシチャンシクで取材していたときの映像です。わずか数メートルの場所に砲弾が。すぐに道路脇の水路に身を隠します。クレさんにけがはありませんでしたが、運転手の男性に砲弾の破片が刺さり、右半身が動かなくなる大けがをしました。
それでも戦地にとどまったクレさん。取材活動の原点は。
2019年に、ふるさと・香港で起きた民主化運動です。ルーツの香港と戦地のウクライナに、クレさんはある“共通点”を指摘します。
香港出身ジャーナリスト クレ・カオルさん
「やっぱりアイデンティティが脅かされている。より大きな国、しかもちょっと似ているような国の方からないがしろにされているところがすごく似ている」
2020年には、全人代常務委員会で反政府的なデモなどを取り締まる「香港国家安全維持法」が可決され、施行しました。
香港出身ジャーナリスト クレ・カオルさん
「国安法(国家安全維持法)はレッドラインがすごく曖昧で、何をしたら違反になるのかわからないところが多い。自己検閲が強くなっていって、社会の中の空気も閉塞感が生まれることになって」
学校では小さい子どもが広東語ではなく北京語を話し始めているといい、文化的に中国と同調させられつつあるとみています。
一方のウクライナも。
香港出身ジャーナリスト クレ・カオルさん
「プーチン氏の話では『そもそもロシア人とウクライナ人は実は一つの民族だ』という。でも、当のウクライナ人はそれを思っていないし、そう言われることに対してすごい怒りを感じる」
共通する「アイデンティティ」の問題。
香港出身ジャーナリスト クレ・カオルさん
「市民たちや国民たちが自分が好きな生き方を生きられる権利を守りたい。それも香港人もウクライナ人も一緒です」
クレさんは23日に再びウクライナへ出発。人々の願いを伝え続けます。
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