戦況打開へ“焦る”プーチン氏の狙い 30日にも併合宣言する可能性が(2022年9月28日)

戦況打開へ“焦る”プーチン氏の狙い 30日にも併合宣言する可能性が(2022年9月28日)

戦況打開へ“焦る”プーチン氏の狙い 30日にも併合宣言する可能性が(2022年9月28日)

 ウクライナの4つの州で強行されたロシア編入を問う「住民投票」。そこから見えてきたロシア側の焦りとは。専門家は不利な戦況を打開したいプーチン大統領のある狙いがあるといいます。

 ロシア国内で続く抗議デモ。この日も街の広場で小競り合いが起きていました。

 ロシア南部のダゲスタン共和国。ロシア独立系メディアによりますと、デモ隊を抑え込むために警察が催涙ガスを使い始めたといいます。

 プーチン大統領:「国防省の提案を支持し、ロシア国民の部分的動員が必要だと考える」

 プーチン大統領が発動した部分的な動員令。これに端を発したロシア国内の混乱は今も続いています。

 ロシア独立系メディアが報じたのは、体に青いビニールのようなものを巻かれて連れていかれる男性。ウクライナで戦いたくないと叫び、焼身自殺を図ろうとしたため確保されたそうです。

 ロシア中西部・ペルミ地方のある家庭では、戦争に向かおうとする夫を止めようと妻がナイフを取り出し、自分と4歳の娘を刺したということです。娘は亡くなったと伝えられています。

 ロシア国内では動員令が発動された21日から26日までの間に約2400人が拘束されたといいます。

 国境付近では国外脱出しようとする人々の列が途切れません

 モスクワから来た男性:「私はまだ26歳だ。プーチン氏一人のために棺(ひつぎ)で帰国したくないし、手を血で汚したくない」

 動員を逃れたい人たちがいる一方で…。

 ロシア国防省が公開した映像。新たに招集された予備役が街を離れる様子です。

 招集された予備役:「祖国を守ることを誓いました。国民を助ける必要があります」

 予備役の招集が進んでいます。プーチン大統領が発動した部分的な動員令。ロシア国防省は、その規模を30万人としていますが、ある独立系メディアは100万人の可能性があるとも報じています。

 招集された予備役の1人は海外メディアの取材に、こんな本音を漏らしました。

 招集された予備役:「何も決められない。強制されたんだ。拒否すれば懲役だ」「訓練のために呼ばれていると言われたが、訓練ではなかった」

 別れを惜しんでか、見送りに来た女性が涙を浮かべていました。動員令に揺れるロシア。

 そんななか、ウクライナでは一方的な決定が下されようとしています。強行された住民投票で親ロシア派勢力がロシアへの編入が圧倒的多数で支持されたと発表したのです。

 投票が行われたのはロシアが実効支配する東部のルハンシク州とドネツク州。南部のヘルソン州とザポリージャ州です。投票は5日間にわたって強行され、ロシア国営メディアは各地域で約90%がロシアへの編入に賛成していると報じています。

 当然、ウクライナや欧米諸国は、この投票に猛反発。

 ゼレンスキー大統領:「占領された地域での“茶番”は国民投票だなんて言えない。どんな結果になるのか事前に分かっていた」

 イギリス国防省はプーチン大統領が30日にも演説し、投票が行われた地域のロシア編入を表明する可能性があると伝えていますが、一方的な編入にどれほどの意味があるのでしょうか。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「国際社会が(編入を)認めることはない。ただ、ロシア国内の手続きからいうと、(4州を)ロシアに編入することで国内と同じように扱うことができる。そうなると『動員令30万人』の対象に当然、4州の人口は含まれる。つまり強制的に“人さらい”のようなかたちで徴兵し、“後ろから銃を突き付けながら前線に送り込む”ようなことをロシアは自分たちは正当性を持つというふうに宣言し実行すると思う」

 専門家はロシアが編入を急いだ背景にプーチン大統領の焦りがあると指摘します。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「プーチン大統領からみると、不利な戦局状況を逆転する足掛かりにしたいという意図はある。(投票を行った4州を)『ロシア領』と言い張るわけですよね、なので『ロシア領が攻撃を受けた場合は』『核兵器で反撃する』と言ってくる可能性があって、ロシア側としてはそう言うことによって、ウクライナや欧米諸国へのプレッシャー、“やる気をそぐ”というのが大きな狙い」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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