「脱出できるのはお金持ちだけ」“劣勢”ロシア “エンドレス徴兵”続く可能性も(2022年9月26日)

「脱出できるのはお金持ちだけ」“劣勢”ロシア “エンドレス徴兵”続く可能性も(2022年9月26日)

「脱出できるのはお金持ちだけ」“劣勢”ロシア “エンドレス徴兵”続く可能性も(2022年9月26日)

 ロシアのプーチン大統領の核兵器使用を示唆する発言にアメリカが警告です。

 アメリカのサリバン大統領補佐官は25日、プーチン大統領がウクライナでの核兵器の使用を示唆したことについて「我々の行動を抑止することにはならない」と強調しました。

 ロシア政府の高官に対して、「使用すればロシアにとって壊滅的な結果になる」と水面下で警告したということです。

 また、プーチン大統領が国民の一部の動員を発表したことについては「強さや自信の表れではなく、ロシアとプーチン氏がひどく苦しんでいる証拠だ」と指摘しています。

 一方でロシア国内では、招集令状を巡る混乱が続いています。「国外脱出できるのは、お金持ちだけ…」その実態を追いました。

 国民の不満は、日に日に高まっているようです。

 ロシア南部・ダゲスタン共和国で行われた抗議デモ。街で参加者と警察が衝突し、少なくとも100人が拘束されたといいます。

 威嚇射撃でしょうか、街には銃声も響きました。

 ロシア、プーチン大統領:「国防省の提案を支持し、ロシア国民の部分的動員が必要だと考える」

 プーチン大統領が発動した「部分的な動員令」。これ以降、ロシアで抗議デモが拡大しています。

 国外脱出の動きも加速するなか、ロシア兵の人権保護に取り組む団体には「助けを求める声」が殺到しています。

 ロシア兵の人権保護に取り組む、アレクセイ・タバロフ氏:「私たちの電話は負荷に耐えられず、回線がパンクしました」

 一方で、待ち受けているのは厳しい現実だといいます。

 ロシア東部の都市ヤクーツク。

 街の広場で動員令に抗議する人々が「輪」を作り、踊っています。中心にいるのは警察です。

 ロシアでは「部分的な動員令」が発表されて以降、抗議デモが拡大しています。

 ロシアの独立監視団体によりますと、動員令が発動された21日から25日までの間に、ロシア国内で2300人以上が拘束されたといいます。

 ロシア国内の入隊事務所では発砲事件が発生し、撃たれた1人が重体になりました。

 ロシアメディアによりますと、犯人の男は親友に招集令状が届いたため、とても動揺していたということです。

 プーチン大統領は24日、動員を拒否したり戦場で脱走する者に対して最長10年の懲役が可能になる刑法の改正案を承認。兵力確保に向け「引き締め」を図っていますが…。

 国外脱出の動きも止まりません。

 フィンランドとの国境付近には、長い渋滞が発生。ジョージアとの国境付近、ここでも車はなかなか動きません。

 独立系メディアは21日からの4日間で、26万1000人のロシア人男性がロシアを出国したと報じています。

 ただ、「希望する全員が脱出するのは難しい」との見方もあります。

 番組の取材に答えてくれたのは、ロシア兵の人権保護に取り組む団体のメンバー・タバロフ氏です。

 ロシア兵の人権保護に取り組む、アレクセイ・タバロフ氏:「(動員が発表された)初日には、600件以上の問い合わせがありました。よく聞く質問は『海外に行くことは可能か』『行ったらどのような責任を負わせられるのか』『動員を断ったらどうなるのか』というものです。なぜ、急に動員が必要になったのか多くの人が分かっていません」

 タバロフ氏は「国外脱出できなくなるのは時間の問題」だと指摘します。

 ロシア兵の人権保護に取り組む、アレクセイ・タバロフ氏:「国境は閉鎖されることが十分にあり得ます。飛行機も便が限られているし、値段も上がったし、ロシアから脱出できるのはお金を持っている人たちだけ」

 実際に番組で調べてみました。モスクワからソチを経由し、ドバイへ向かう航空便。時期にもよりますが、平均でおよそ10万円かかるといいます。

 しかし26日の午後、値段を確認すると。

 通訳:「およそ70万円」

 25日には、独立系メディアが当局者の話として、動員の対象となっている男性らは、早ければ28日からロシアからの出国が禁止される可能性がある、とも報じています。

 ロシアには、200万人もの予備役がいるともいわれますが、当初の発表通り、30万人の動員で済むのでしょうか。

 慶応義塾大学・廣瀬陽子教授:「例えば、道を歩いている人に招集令状を渡したり、反対デモに参加している人に(令状を)渡すということもあるようだし、『言っていること』と『やっていること』が異なっている現状がすでに出ている。(戦況で)ロシアの劣勢が続くようであれば、“エンドレス”に徴兵が続く可能性も否定できない」

 その一方で、動員に対する抗議は収まる気配をみせません。プーチン大統領が、動員を解除することはないのでしょうか。

 慶応義塾大学・廣瀬陽子教授:「(戦況が)このような劣勢に立たされてしまうと、プーチン氏に残された手は『動員』と『核』しかない。しかし『核』というのは最後の最後の最後の手段なので、まずは『動員』で極力、ロシアの強さを見せ付ける、粘る。(プーチン氏は)かなりひどい手を使ってでも、一刻も早く反対デモを抑え込む指令を出していく可能性が極めて高い」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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