自衛隊が異国の音楽隊をゼロから育成 裏に「中国への対応」|TBS NEWS DIG

自衛隊が異国の音楽隊をゼロから育成 裏に「中国への対応」|TBS NEWS DIG

自衛隊が異国の音楽隊をゼロから育成 裏に「中国への対応」|TBS NEWS DIG

素人をわずか数年でプロの音楽隊に育て上げる。そんな自衛隊の国際貢献活動が現地で高い評価を受けています。こうした活動の背景には、中国の存在があります。現地の取り組みを取材しました。

日本から南におよそ5000キロ。イルカの群れが飛び跳ねるような美しい海がある南太平洋の島国・パプアニューギニアです。

先月下旬、首都ポートモレスビーの近くにある軍の駐屯地を訪ねると…

記者
「音楽を演奏する音が聞こえます。あちらですね、パプアニューギニアの軍楽隊の人たちが練習しています」

早朝から音楽隊の隊員たちが青空のもと、練習をしていました。メンバーはおよそ40人で、5年半ほど前に結成された若い音楽隊です。ほとんどの隊員がもともと楽譜も読めなかったといいます。

音楽隊員
「音楽の経験は全くありませんでした」

隊員たちをゼロから育て上げたのが、自衛隊の音楽隊。隊員の多くが音大などを卒業後、入隊した“音楽のプロ”です。

陸上自衛隊中央音楽隊指揮者 柴田昌宜さん
「2018年APECでの演奏を目標にしていたので、実質3年間で楽器もない人もいないというところから、どうやって始めて行くのかというところは、最初は雲をつかむような話で」

2018年、APEC=アジア太平洋経済協力首脳会議を初めて自国開催することになったパプアニューギニア。各国首脳を盛大な音楽で迎えるため音楽隊を作る必要があり、頼ったのが日本の自衛隊だったのです。

音楽隊の支援は自衛隊による「能力構築支援事業」の一つで、今年はモンゴルの道路建設指導やカンボジアでの測量指導など、さまざまな国で推進されています。

支援国との関係強化などが事業の狙いですが、その裏にあるのは「中国への対抗」。中国が影響力の拡大を狙って推進するのが巨大経済圏構想「一帯一路」ですが、実はこれまでの自衛隊の事業実施国を地図上でみると「一帯一路」の構想と重なります。

パプアニューギニアも中国が影響力を強める国の一つで、街中には中国の援助で造られた新しい建物や道路が見られます。安全保障面ではオーストラリアやアメリカなどと関係が深い一方、中国からも防衛設備の提供などを受けていて、米中の思惑が交錯する場所となっているのです。

駐在する渡邊信之大使は、自衛隊の活動の意義をこう強調しました。

在パプアニューギニア 渡邊信之大使
「安全保障とか海の安全とかを考えると、日本の自衛隊とパプアニューギニア軍当局との関係強化は、非常に有効な交流の分野だと思っています」

日本が楽器を提供し楽譜の読み方、リズムの取り方といった初歩の初歩から始まった音楽隊の育成。厳しい練習に現地の隊員たちは、いつしか日本語のあの言葉を覚えるようにもなりました。

「気合気合気合」

そして2018年11月のAPEC本番。各国首脳らを前に見事な演奏を披露できるほどになりました。

パプアニューギニア 軍司令官
「日本との間で続くこの関係を本当に感謝しています。私たちの特に防衛レベルの関係を強化してくれました」

音楽隊の次なる目標は11月の来日公演。その際に着る演奏服は日本から提供されました。

音楽隊員
「サンキュー!ありがとう!日本で会えるのを楽しみにしています」

陸上自衛隊中央音楽隊指揮者 柴田昌宜さん
「インド太平洋地域の安定への寄与には確実につながっていると思いますし、パプアニューギニア軍楽隊が他の国との関係構築のためにも活躍してくれると思っている」

「人材育成」という日本らしいアプローチ、中国に対抗する布石となるのでしょうか。

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