【解説】大人も注意…手足口病 「ガラスが刺さったみたい」「地獄」 9月入っても“警報級”流行
新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向が続いていますが、「手足口病」の感染者が急増しています。子どもだけでなく、大人も注意が必要です。
・警報級の流行
・大人も“重症化”
・予防策は?
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
■発疹・発熱 大人もかかる可能性
「手足口病」とは通常、5歳以下の乳幼児を中心に夏に流行する感染症で、その名の通り手足や口の中に2~3ミリほどの水疱(すいほう)状の発疹があらわれ、発熱することもあります。
飛沫や接触などで感染し、基本的には症状は軽いということで、ほとんどの人は数日で症状は治まるといいます。ただ、まれに、髄膜炎や脳炎などの合併症を引き起こし、重症化するおそれもあります。もちろん、大人もかかる可能性があります。
■今年は減少後に再び増加…夏のピーク時より多く
国立感染症研究所によると、通常は7月から8月にかけてピークを迎えて、その後は収束していきますが、今年はいったん減った後に再び増加していて、8月29日~9月4日までの1週間に報告された患者数は1万1733人で、夏のピーク時よりも多くなっています。しかも、2021年(1836人)と比べると約6倍に、2020年(444人)と比べると約26倍にも急増しています。
この急増で、全国各地で「警報」も出ています。ひとつの医療機関で週あたりの患者報告数が5.0人を超えるかどうかが、国の警報基準となっていますが、16日時点では、10都道県で警報の基準値を超える事態になっています。最も多い山形では17.52人と、基準値を大幅に超えています。
■なぜ急増? 「流行に拍車…」
なぜ今年はこれほど流行しているのか、東京都にある上野小児科医院の上野正浩院長に話を聞きました。
過去2年間はコロナ禍で人との接触が減っていたことや、感染対策を徹底していたこともあり、「手足口病は流行せず、ウイルスへの免疫がない人がほとんど」だということです。そうした中で、「今年は、行動制限が緩和されて人との接触が急増したので、流行に拍車がかかっているのではないか」と分析していました。
■口の中に発疹 3日間まともに食事できず
東京都内で16日、実際にかかった人に、どのような症状が出たのか聞きました。
8月に子どもが感染した主婦(30代)
「特に口の中に口内炎みたいなやつがいっぱいできて、すごく痛がっていた。ご飯食べなくて、毎食バナナと牛乳でバナナジュースみたいなの作って。落ち着くまで2週間くらいかかりました」
兄とめいが感染した主婦(20代)
「『実家の家族のめいと兄が手足口病に感染した』って聞きました。子どもは比較的症状も軽かったみたいで、すぐに走り回ったりとかしてたみたいですが、『足をつくと痛いのでまともに歩けない』って言ってました」
中には、大人でかかった人もいました。
自身が感染した会社員(30代)
「7月に私だけがなりました。しばらく手と足が、ガラスが刺さったみたいで、ずっと痛くて。治ってきたなと思ったら今度、爪がはがれてきたりとか。今でも爪がはがれてきて、その症状が残っている。(家事は)厚手の手袋をして泣きそうになりながらやっていました」
40代の男性のケースでは、子どもがかかった翌週に発症したということです。初日はひどい倦怠(けんたい)感と悪寒があり、2日目にはのどが痛くなって発疹も出始めたといいます。 そして、3日目からが「地獄」だったということです。手足の発疹した部分の皮がむけてボロボロになり、口の中の発疹で3日間まともに食事ができず、のどの痛みを抑える薬が効いてきた一瞬にゼリー飲料を飲んで水分・栄養を補給して過ごしたということです。
子どもの頃に感染したとしても上野院長によると、手足口病のウイルスはいろいろな種類があるので、1回感染しても違う種類のウイルスが流行した場合は、それには免疫がないということなので何度も感染することは十分あり得るといいます。
症状としては、「大人の方が重く出ることが多い」という指摘もありますが、上野院長によると、大人の場合は「倦怠感がかなりしんどい」「のどが痛い」「かゆくて眠れない」などと自身の症状を細かく説明できる分、「症状がより重いように聞こえるのかもしれない」と話していました。大人も高熱が出るのは子どもと変わらないといい、治るまでの期間もそれほど変わらないということです。
■特効薬はなし…アルコール消毒も効かず
感染してしまった場合についてですが、手足口病には特効薬はなく、特別な治療方法もないので、症状を和らげる対症療法しかありません。
予防方法は、基本的には流水と石けんでしっかり手洗い・うがいすることや、マスク着用など新型コロナ対策と同じような対策を徹底することです。ただ、手足口病のウイルスはコロナウイルスとは性質が違うため、アルコール消毒は「効かない」ということです。
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手足口病は症状がなくなった後も長い期間、便などからウイルスが排せつされることがあり、2~4週間にわたって感染源になり得ると言われています。治っても油断せず、感染対策を徹底することが大切です。
(2022年9月16日放送「news every.」より)
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