【独自】「国税庁」装う詐欺メール “納税求める”被害相談が急増…“発信元”を追跡【もっと知りたい!】(2022年9月15日)
今、「国税庁」を装った詐欺メールが大量送信されていて、被害相談が急増しています。メールの発信元を追跡。驚きの事実が明らかになりました。
■だまされた女性「読めば読むほどハマって…」
詐欺メールにだまされた女性(30):「めちゃくちゃショックでした。まさか、自分はだまされないと思っていたので。高齢者を狙っていたりとか、インターネットに慣れていない人が、だまされるのかなと思っていたので」
ショックを隠しきれない様子の女性。「だまされた」と話すのは、今月、届いた1通のメールでした。
国税庁をかたるメール:「あなたの所得税が納付されておりません。もし、最終期限までに納付がない時は、差し押さえ処分に着手します」
メールの送り主は、国税庁。その日中に納付されていないという所得税1万119円の支払いを求める内容でした。
女性:「きょうまでに払わなきゃっていう焦りが出てきてしまいましたので。多分、普段だったら、詐欺メールっていうのを気付いたんですけど。その日、娘のお世話だとかバタバタしてたのもあって、読めば読むほどはまってしまった」
女性はすぐに、「お支払いへ」というボタンをクリック。すると、国税庁の建物が描かれ、赤字で「差押最終通知」と書かれたページに飛んだといいます。
その後、クレジットカードで支払うページに誘導され、女性はカード番号を登録してしまいました。
女性:「最近、国でもマイナンバーカードとか、情報の電子化が進んでいるので。本当なのかなっていうふうに、思ってしまいました」
幸い、女性は家族に相談したことで、すぐに詐欺に気付き、カードの利用を停止したため、被害を免れることができました。
■国税局「こういったメール送ることはない」
国税庁の担当者に、話を聞きました。
国税庁 広報広聴室・近藤奈沖課長補佐:「(Q.これは国税庁から送られたもの?)いいえ。こちらは、国税庁からお送りしたものではありませんね。8月に入りまして、問い合わせが急増していて、通常期の6倍から7倍の問い合わせを頂いてます。これまでも、同じように国税庁ですとか、国税局、税務署をかたったメールはあったんですけれども。今回の規模は、今までと比べものにならないかなという気がしています」
国税庁には連日、130件ほどの相談が寄せられているといいます。実際に、国税庁がこのようなメールで納税を求めることはあるのでしょうか?
近藤課長補佐:「国税庁、国税局、税務署では、ショートメッセージやメールで国税の納付を求めたり、差し押さえの予告をすることはありませんので、こういったメールを送ることはございません」
納付を求める場合は、文書で送るといいます。
■“発信元”調査…120件の携帯番号に電話
では、一体、誰がこのメールを送っているのか?メールの発信元を調査しました。
調べたところ、発信元となる携帯番号が120件あることが分かりました。これだけ多くの携帯電話を使って、メールを送っているということなのでしょうか?
そこで、120件の番号に1つひとつ電話を掛けてみました。22件目でついに、1件の番号につながったのです。
電話に出た男性:「はい、もしもし。公務員だったり、警察官の人を狙ってるみたいなんですよ。この間、警官の方から電話掛かってきたんで」
国税庁をかたり支払いを要求する詐欺メール。メールの発信元となる携帯電話番号に掛けてみたところ、1件の番号につながったのです。
電話に出たのは謎の男性。この人物が詐欺メールの送り主かと思いきや、次に語られたのは、意外な言葉でした。
詐欺メールに番号を使われた男性:「私の電話番号、勝手に貼り付けられているんで。ページとか開いてないですよね?」「(Q.国税庁の方ではない?)はい、そうです。下のホームページありますよね。あれは絶対に開かないで下さい。あなたの情報を吸い上げようとしてますんで」「(Q.こういう電話は結構掛かってきている?)170件くらいやられてますね」
電話に出たのは、詐欺メールの送り主ではなく、何者かに勝手に携帯電話番号を使われている被害者の男性でした。男性の元には、国税庁か確認する電話が170件ほども掛かってきて迷惑しているといいます。
■専門家に解析依頼…“発信源”たどり着く
他人の携帯電話番号を使って、勝手にメールを送ることなどできるのでしょうか?
情報セキュリティーの専門家に聞いてみました。
SCSK・亀田勇歩さん:「こういった送信元といったところも、偽装することも可能です。その電話番号を基に、悪質なSMS(ショートメッセージ)を送信するといったように、見せ掛ける技術が使われたのではないかと考えております」
そこで、専門家に詐欺メールの解析を依頼。すると、本当の発信源までたどり着くことに成功しました。
亀田さん:「山形県にありますプロバイダーのメールアドレスが悪用されてまして。本人のアカウントを誰かが乗っ取って、利用したのか。そのメールアドレスをただただ攻撃しただけなのか。そういったことも考えられます」
さらに追跡すると、メールは山形県の前に、アメリカを経由。その前には、ロシアや中国のインターネットサービスを利用していることも分かりました。
亀田さん:「中国とロシア、どちらも関わっているというわけではなくて、攻撃者が中国とロシアのサービスを両方とも使っていたということが考えられます。ここまで、色んな国を経由して送られることはあまりないです」
■詐欺に引っ掛からないためには…?
専門家によりますと、発信元を分からなくするため、複数の国を経由している可能性が高いということです。
女性:「“税務署からのお知らせ”と来たので、これは本物だと思ってしまいましたね。中開いて、読めば読むほど、これは本当なんじゃないかって」
こうした詐欺メールに引っ掛からないようにするためには…。
亀田さん:「例えば、メール本文の中に、明らかにおかしい文字が含まれているとか、通常ではありえないような文字化けをしているとか。そういったことも、手掛かりになりますので。メール本文にあるURLや添付ファイルについては、安全なものであると言えない限りは、クリックしないほうが良いと考えています」
(「グッド!モーニング」2022年9月15日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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