ウクライナ軍、ハルキウ奪還で“劣勢”ロシア兵に変化も 占領下の実態明らかに(2022年9月14日)

ウクライナ軍、ハルキウ奪還で“劣勢”ロシア兵に変化も 占領下の実態明らかに(2022年9月14日)

ウクライナ軍、ハルキウ奪還で“劣勢”ロシア兵に変化も 占領下の実態明らかに(2022年9月14日)

 解放されたウクライナの街の様子が明らかになってきました。一方、ロシアではハルキウ州の敗北をきっかけにある変化が起きていました。

 解放されたウクライナ東部の街からは、ロシアの国旗や横断幕が次々と排除されていきました。

 そして占領下の街で何があったのか、その実態も明らかになってきました。

 現地住民:「ずっと銃撃をされていたので爆発音を聞くとすぐに立ってしまいます」「15から20人くらいのロシア兵たちが家の中庭から出てきて、至近距離で息子たちの車を撃ったのです。皆、この戦争やプーチンを呪っています」

 要衝の街イジュームに入ったカメラはロシア軍が乗り捨てた戦車と、破壊された学校を捉えていました。さらに、ウクライナ兵が案内した先にあったのは、ロシア軍が支配した痕跡、最前線の基地でした。

 要衝の街イジューム。その地下には、ロシア軍が設置した司令部がありました。

 CNN特派員:「ここが前線の司令部です。ここを歩いていると本当に不思議なことがあります。この壕(ごう)の中にはロシア軍の上級将校の役割別のラベルが学校の机に貼られて、並べられています」

 イジュームの市議会議員によると、およそ半年間の占領期間に、少なくとも1000人の市民が死亡したと言います。

 ロシア軍が残した爪痕は決して小さくありません。そうした状況で、ゼレンスキー大統領は希望の光となる報告を続けています。

 ゼレンスキー大統領:「奪還した我々の地域を具体的に分析した。現在4000平方キロメートル以上の地域を完全に掌握した」

 さらにイギリスの国防省は13日、ハルキウから撤退したロシア軍のなかには、NATO(北大西洋条約機構)と戦争になった際、主力と考えられていた戦車部隊も含まれると分析。

 こうしたロシア軍の現状については、国内からも問題視する声が…。

 ロシア兵の人権保護団体、アレクセイ・タバロフ代表:(戦争が始まった)当初に比べたら、戦争に参加することを断る兵士たちが増えているし、これからも増えていくと思う」

 ロシア兵の人権保護に取り組むNGOの代表、アレクセイ・タバロフさんは、軍の士気が下がっているのではないかと指摘します。

 ロシア兵の人権保護団体、アレクセイ・タバロフ代表:「ロシア軍には徴兵された兵士もいれば、契約を結んで戦争に行っている兵士もいます。兵士たちに対する待遇も良くない。約束していた契約の給料も払われていません」

 しかし、それでも兵力が不足することはないと言います。

 ロシア兵の人権保護団体、アレクセイ・タバロフ代表:「兵士たちの士気は下がっているのですが、まだ戦争でお金を稼ぎたい人はいます。囚人を強制的に徴兵したり、国営企業による(兵士の)募集もあります」

 ハルキウ州の敗北をきっかけに、ロシア国内にも大きな変化があると専門家は指摘しています。

 笹川平和財団・主任研究員、畔蒜泰助氏:「言ってみればロシアの大きな敗北が明るみになった。そのタイミングでサンクトペテルブルクの市議会の方ででプーチンの辞任要求が出された。戦争開始当初はロシアの情報統制が聞いていたんだと思う。ここにきてロシアの情報統制や政治統制があまり効果を見せなくなりはじめていることの表れ」

 しかし、プーチン政権を本当に脅かすのは戦争反対の声ではないといいます。

 笹川平和財団・主任研究員、畔蒜泰助氏:「『ロシア国内の生活とウクライナの戦争は完全に別物ですよ』とある種のパラレルワールドだと言い方をする人もいるが、政府のやっていること(特別軍事作戦)に反対して生活が苦しくなっても嫌だから(プーチン政権の)支持をする。ところが今回こういう形で敗北を喫した、戦争を支持している人たちのなかからも『こんなやり方じゃダメだ』『大動員すべきなんだ』という声が上がり始めている。ロシア国民が本当に戦争を実感せざるを得ない状況になっていく。(その状況では)パラレルワールドを維持できない可能性がある」

 こうした状況のなか、ロシア大統領府は15日、プーチン大統領と習近平国家主席が、対面での首脳会談を行うことを発表。

 笹川平和財団・主任研究員、畔蒜泰助氏:「中国が(ロシアから)石油や資源を買うとかどこまで踏み込んだ支援をプーチンに約束するのかどうか、これが一つの焦点となる」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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