【独自】渋谷の落書き「消去に1億円」 区長怒り…“芸術性ある”身勝手主張に困惑も(2022年9月8日)
東京・渋谷の街で、長年問題になっている「落書き」。年間の消去費用は、1億円にも上っています。取材に応じた渋谷区長は、落書きとの“いたちごっこ”に怒りをあらわにしました。
■防カメに“落書き犯”…罰金20万円
渋谷区・長谷部健区長:「自分の家の壁だったり、近所で関わっているところにですね、落書きをされてうれしい人なんて、いるわけなくてですね。明らかに犯罪なんですよね」
渋谷区の長谷部区長が、怒りの矛先を向けている、落書き。渋谷区では、街中の壁などへの落書き被害が後を絶たず、事件に発展する事態にもなっているのです。
渋谷区環境整備課・青木正樹課長:「(Q.トンネルの中に、落書きが見えますね)犯人が落書きを描いているところを、防犯カメラで捉えることができたのが、大きいと思っています」
渋谷警察署に逮捕されたのは、飲食店従業員の26歳の男。先月、器物損壊の罪で罰金20万円の略式命令を受けました。
動機について、男は「グラフィティが好きで、描ける場所を探していた」と話しているということです。
青木課長:「(Q.落書き対策の難しさは?)消しても消しても、次から次へ人が代わって、落書きを施すというところにぶち当たっている」
■「落ち込む」区民から“被害の声”
いたちごっことなっている落書き問題。昨年度に消した落書きは319件。費用は1億円ほどに上ったといいます。
被害を訴える声は、市民からも上がっています。
美容室ケセラセラ・松田達也店長:「自動販売機のここですよね。ここに書かれていて。やられたって感じで、落ち込みますよね」
自動販売機にスプレーを吹き付け、周囲を警戒しながら立ち去る人物。未明の時間帯、わずか6秒の犯行でした。
自動販売機のすぐ隣にある美容室の店長は、肩を落とします。
松田店長:「『汚いね』みたいな。落書きがあると、多々言われますよね。自分がお店を構えている場所が、そういうふうになっているのは悲しいです」
■落書きには“芸術性”…身勝手主張も
なぜ、他人の建造物などに、落書きをするのでしょうか。過去に落書きをしたことがある人物に、話を聞きました。
落書きをしたことがある人:「お金ないし、やることないしみたいなプラプラしている時に、暇つぶしっていうか、遊びの一つでやった感じですね」「(Q.行動を振り返ると、どう思う?)壁に落書きして、サインを残して、芸術性があると思うので。破壊行為になっちゃうんですけど、程度ですかね。あんまりひどくなければ、消せば良いんじゃないかなと思う」
「落書きには芸術性がある」という主張。年間1億円近くをかけて落書きの消去に取り組んでいる区からすると、身勝手な主張のように思えます。
しかし、今年6月、区内の高架下にあった鉄腕アトムの落書きを区が消したところ、議論が巻き起こる事態にもなっています。
ツイッターから:「鉄腕アトムのは、芸術作品と言っていいくらい素敵だ。渋谷区は、もう少し粋なことができなかったのか」
フランスの有名アーティストが描いたものとされ、1億6500万円相当の価値があったというのです。
ツイッターから:「芸術としての線引きって難しい。残していく良い方法はないのかな」
こうした声に、渋谷区の長谷部区長は、次のように話します。
長谷部区長:「高く売れるっていうことは分かっていたんですが、それを売ってしまえば、高額のアートになるものは、どこにでも書いて良いというメッセージにもなるので。今回は、消すということにしました」
■“逆転の発想”で「落書きOK」場所提供
今後2年で落書きゼロを目指している渋谷区。そのための方法として検討しているのが、区が描ける場所を提供するという逆転の発想です。
長谷部区長:「芸術や文化を応援したい街でもありますので。合法的に区でも(描ける場所を)用意するので。ここの部分はちゃんとアートとして描いて下さいと。渋谷区は、災害時に(避難場所である)代々木公園と青山学院大学に向けて、矢印をアートと絡めて、合法的に展開していくことを始めました。ただ描くアートだけではなくて、防災に役立つみたいなのは、渋谷区らしい」
(「グッド!モーニング」2022年9月8日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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