【独自】巨大“忍者グマ”の「OSO18」 恐るべき実態…出没増加も「銃弾手に入らず」(2022年9月2日)

【独自】巨大“忍者グマ”の「OSO18」 恐るべき実態…出没増加も「銃弾手に入らず」(2022年9月2日)

【独自】巨大“忍者グマ”の「OSO18」 恐るべき実態…出没増加も「銃弾手に入らず」(2022年9月2日)

 北海道でヒグマによる被害が相次いでいます。その大きさは推定で、体長2メートル、体重300キロ以上の巨大なヒグマです。このクマは「OSO18」と呼ばれ、ハンターらが3年間、追い続けていますが、捕まえることができずに家畜が襲われ続けています。専門家やハンターを取材し、恐るべき実態が見えてきました。

■「バケモン」家畜牛を“65頭”殺傷

 北海道標茶町で撮影されたヒグマの画像です。このヒグマを撮影したのは、役場が設置した監視カメラでした。

 今も、こうした監視カメラでしか姿を捉えることができず、しかもその数、わずか3回です。

 謎が多い、このヒグマは「OSO18」というコードネームで呼ばれています。「OSO」は、最初に確認された標茶町の「オソシベツ」地区が由来となっています。

 そしてもう一つ、前足の横幅が18センチあったことから、OSO18のコードネームが付けられました。

 先月、厚岸町では、牧場で飼育されていた牛がヒグマに襲われる事件が発生。足跡の大きさなどから、OSO18とみられています。

 久松牧場・久松泰弘さん:「バケモンですよね。とてつもなくでかいんだろうなって思います。牛だけじゃなく、人を襲うようになってしまったら、それこそ手遅れですよね」

 OSO18は3年前から、放牧されている家畜の牛を襲い、今月1日までに65頭の牛を殺傷している凶悪グマで、現在も逃亡しながら、牛を襲い続けています。

■“忍者グマ”襲撃…北海道東部に集中

 いまだ駆除や捕獲には至っていないOSO18。それどころか、一体どこにいるのか誰にも分からず、目撃者もいないのです。

 ヒグマに詳しい専門家は、次のように話します。

 知床財団・ヒグマの会 山中正実理事:「きちっと見た人は、誰もいない。ほんとに、こんなクマいるのかって感じですね」

 酪農学園大学・佐藤喜和教授:「人目に付かずに夜間に、誰にも気付かれない間に被害を繰り返していることで、“忍者”のような印象があるかもしれません」

 地元で“忍者グマ”と恐れられているOSO18。現場に残されたDNAから、雄のヒグマであることは確認されています。最大の特徴は、一般的なヒグマと違い、牛を殺傷しているところにあります。

 山中理事:「年間十数件あるかどうか、北海道全体で。それが標茶町の事件については、毎年のように発生して非常に特異」

 OSO18によるものとみられる家畜の牛の襲撃は、北海道東部の標茶町と厚岸町で確認され、ほとんどが標茶町に集中しています。

■「400キロに巨大化も」痕跡から判明

 これまで姿を捉えることができていない、忍者グマ。警戒心や食事の仕方にも、一般的なヒグマとの違いがあります。

 山中理事:「大体、雄グマは警戒心が強い。だけど(OSO18は)その中でも特別、異常というくらい警戒心が強い。一般的には、(ヒグマは)一回で食べきれないおいしいものを手に入れたら居座って、何日もかけて食べ続けるので。駆除しようと思えば簡単にできるが。このクマ(OSO18)は少し食べたら、すぐいなくなる。そこまで執着心が低いというのは珍しい」

 一方で、別の見方をするハンターもいます。

 猟友会 厚岸支部・根布谷昌男事務局長:「多分、遊び半分。背中の肩ロースの部分が、だいぶ食われたりしているから、食べてないわけではないと思う。だけど例えば、襲って1頭殺した後に、他の2頭もやられて死んでいるということがある。完全にそれは遊んでるよね」

 さらに、OSO18が恐れられているのは、わずかに残された数少ない痕跡から導き出された体の大きさです。

 酪農学園大学・佐藤教授:「体重が季節によって、だいぶ変化するんですけども、足跡の幅が18センチくらいある個体というのは、250キロから300キロくらいの大きさがあって。これから秋にかけて、400キロくらいまで大きくなっていく可能性」

 佐藤教授によりますと、北海道に生息する雄のヒグマは、成獣で平均体重が200キロから300キロ。平均体長は、およそ170センチです。

 一方、OSO18は、体重が400キロまで大きくなっていく可能性があり、また地元のハンターは、体長2メートル前後ではないかとみています。

■冬眠前のヒグマ エサ大量“警戒強化”

 巨大なヒグマ「OSO18」、そのパワーはというと…。

 山中理事:「相当すさまじいパワーですよ。プロレスラーが3人から4人寄ってたかっても、全然勝てないと思います」

 ヒグマは、母グマに餌(えさ)の取り方を教えられ、食べるものが決まります。

 OSO18が牛を襲い、食べるようになったきっかけも、母グマが牛を食べていたことによる可能性があります。そのため専門家は、OSO18以外にも牛を頻繁に襲うヒグマが現れる危険を指摘します。

 佐藤教授:「クマは学習能力が非常に高い動物ですし、もしかしたらOSO18が牛を襲う様子とか、または襲った後の襲われた牛を発見することがあれば、同じような行動を学習する可能性はないわけではない」

 9月に入ると、ヒグマは餌を大量に食べ、冬眠に備え始めます。これからの時期、ヒグマに対する警戒が一層求められるといいます。

■「銃弾が手に入らず」コロナなど影響

 環境省や農林水産省などは1日、今年のクマの出没状況や被害状況を明らかにしました。

 今年は人的被害が7月までに40件と、平年より多めに推移しています。

 そんななか、今ハンターたちを悩ませている問題があります。アメリカから、ライフルの弾が買えなくなっているというのです。

 山中理事:「新型コロナと米国の大統領選挙で、混乱したじゃないですか。あのころから(銃弾が)全然手に入らないですね」

 新型コロナの影響で、アメリカの銃弾の生産工場がストップ。流通が滞っているといいます。

 さらにおととし、アメリカの大統領選では、選挙後の混乱が全土に広がり、不安から銃砲店で銃弾が品薄になる現象が起きました。

 山中理事:「社会不安が生じると、米国人ってどうなっているかよく分からないが、武器を大量に買い込むらしいんですよ。それで、全体的に品薄になっちゃって」

 環境省などは、来月からクマの出没が増加し、人身被害が多くなることから、警戒が必要と呼び掛けています。

(「グッド!モーニング」2022年9月2日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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