【“痴漢事件”裁判】被害女性 顔を隠さず被告と直接向き合う
1日、電車内での痴漢事件に関する裁判が判決を迎えました。この裁判で、被害にあった女性は、ついたて越しではなく、直接、被告の前に立つことを選びました。
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痴漢の被害にあった青木千恵子さん(45)
「見ず知らずの人間の性的欲望の対象とされることは、『私が意思を持つ人間として扱われていないこと』だと感じました」
1日午後4時過ぎ、自身が受けたという痴漢被害について語ったのは、弁護士の青木千恵子さん(45)です。その裁判に、顔を隠すことなく被害者として参加し、被告と直接向き合ってきました。
起訴状によると、青木さんが被害にあったのは2020年、JR埼京線の車内でした。ドア付近に立つ青木さんの背後から、会社員の杉本洋一被告(43)が下半身を触り、抵抗にも構わず継続したといいます。
青木さんが行為を指摘し、杉本被告のバッグをつかんだまま赤羽駅で電車を降りると、杉本被告はふりほどこうとバッグを強く引き、青木さんはホームで転倒。全治3週間のケガをしたといいます。
逃走した杉本被告は駅前の交番で確保され、その後、強制わいせつ致傷の罪に問われることになりました。
青木さんは、被害者参加人として裁判に参加しました。性犯罪事件の被害者は、被告や傍聴人から見えないよう、ついたて越しで参加するケースが多い中、直接、被告の前に立つことを選びました。
痴漢の被害にあった青木千恵子さん(45)
「生身の人間がこんなふうに傷ついたと感じるためには、やはり、ここにこういう人間がいるというのを、しっかり見てもらえるほうがいいのではないかと」
先月30日の意見陳述で、青木さんから「自分が犯した罪と真摯に向き合ってもらいたい」と語りかけられた杉本被告は「このたびは本当に…申し訳ありませんでした」と声を震わせて謝罪しました。
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1日、裁判は判決を迎え、東京地裁は犯行について「あまりに身勝手」であり、「被害者が受けた精神的苦痛は大きい」と指摘しました。その上で、被告の反省の態度などを考慮し、懲役2年6か月、執行猶予4年の判決を言い渡しました。
痴漢の被害にあった青木千恵子さん(45)
「(判決について)本当につらかったという気持ちが伝わったと感じられる部分もあり」
顔を出して裁判に参加したことには、弁護士としての思いもありました。
痴漢の被害にあった青木千恵子さん(45)
「性犯罪被害にあうということは、恥ずべきことではないんだと。弁護士という立場にあり、『(被害者に)だれもあなたを責めないよ』と言っている立場の私が、それを実践したいなと」
青木さんは「被害にあった際は、自分一人で抱え込まず、周囲に助けを求めてほしい」としています。
(2022年9月1日放送「news every.」より)
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