全数把握見直し“全国一律”で逆に医療逼迫のおそれ!?カギ握る「療養証明書」(2022年8月28日)

全数把握見直し“全国一律”で逆に医療逼迫のおそれ!?カギ握る「療養証明書」(2022年8月28日)

全数把握見直し“全国一律”で逆に医療逼迫のおそれ!?カギ握る「療養証明書」(2022年8月28日)

コロナ感染者「全数把握の見直し」について、政府の説明に当初は歓迎していた自治体からも批判が噴出しています。

▽「矛盾に満ちた制度」自治体も一転 批判
(佐々木一真アナウンサー)「東京港区の保健所です。全数把握の見直しを巡って二転三転する中、保健所では日曜日の今日も多くの保健師の方が、疫学調査や健康観察に当たっています。」
(みなと保健所 地域医療連携担当 二宮博文課長)「かなり大きな方針転換ですので、そのあたりの情報が現場に全く下りてきていない中で、あのようなご発言をされていたというのは衝撃をもって現場で受け止めた状況です。」

コトの発端は、岸田総理のこの発言。
(岸田総理大臣)「“自治体の判断”で…」
“自治体に丸投げ”との批判が出る中、27日…
(岸田総理大臣)「もとより“全国一律”で導入することを基本として…」
これがさらに、自治体の混乱に拍車をかけました。
当初、見直しに、前のめりだった神奈川県。
(神奈川県 黒岩祐治知事)「記者会見で(総理が)全数把握の見直しを明確に発言されたということ高く評価したいと思います。」
しかし、2日後には一転…
(神奈川県 黒岩祐治知事)「こういった矛盾に満ちた制度であるならば、我々が新しい対応には乗るわけにはいかない。」
矛盾に満ちた制度とは、どんなものなのか…厚生労働省が行った自治体への説明を聞いた県の担当者は…
(県の担当者)「発生届がないにもかかわらず公費負担もあり、宿泊療養可という個人を識別することを前提としたサービスが提供されるとあって、そこが実態と運用が乖離している」
個人を特定する発生届がないにも関わらず、重症化リスクの低い患者にも、医療費の公費負担や宿泊療養は可能とされていて、実際の運用は困難だといいます。
さらに、厚労省が示した案によると、重症化リスクの低い患者には、「療養証明書」が発行されないというのです。
(県の担当者)「(重症化)リスクが低い方については、療養証明を出さないということならば、業界がまとまって保険金を払っていただいてきたと思うんですけど、それについても一体どうするんだと」
神奈川県では、全国に先駆け独自の“自主療養届出制度”を導入。自ら検査して陽性と判明した重症化リスクの低い患者がオンライン登録することで、医師の診断なしに自主的に療養できるシステムです。保険金の請求などに使える療養証明書は県が発行しています。
しかし、全国一律の見直しとなると、神奈川県でも療養証明書を出せなくなるのです。
(県の担当者)「じゃあどうすればいいんだろうと。では保健所へ駆け付けるか医療機関に行くかと、そういう話になってしまうので非常に不十分な整理になっていると思います」
(神奈川県 黒岩祐治知事)「実際にできないシステムを提言されているわけであって、それは乗れないわけですね。乗れないのならば、残念ながら医療現場の負担、行政・保健所の負担はしばらくは変わらない。」

▽「全国一律」で逆に医療逼迫のおそれも?
神奈川県内の発熱外来。
(病院スタッフ)「ファミリークリニックあざみ野です。ご症状はどういった症状ですか?」
こちらの病院では、県独自の制度にのっとり、電話で患者の症状を聞き取り、重症化リスクの低い人には「自主療養」を勧めています。その効果もあり、今月のピーク時にも、発熱外来は、逼迫しなかったと言います。
(ファミリークリニックあざみ野 石井道人院長)「恐らく自主療養制度がなかったりするとお断りせざるを得ない患者も、結構出たんじゃないかなと」
順調に進んでいたこのシステム。しかし、「全国一律」の見直しが決まると制度そのものがなくなってしまうかもしれません。
(ファミリークリニックあざみ野 石井道人院長)「厳しい状況になるかもしれないですね、神奈川県にとっては、明らかにサービスのレベルダウンってことになってしまうので。実際、軽症であってもそういう方たちの不安を受け止める受け皿みたいなものが作ったうえでそういう制度にしていくということであればいいのかなと思う。」

一方、東京は“全数把握”の継続を表明していますが、全国一律になると状況は変わります。
(みなと保健所 保健予防課感染症対策担当 田辺歩係長)「発生届が出ない方についてどうするかというのをちゃんと決めていただければ、みなさん安心して療養もできるんですけども、今までやってきたことをぷつっと切るだけだと不安になる方がたくさんいてお問い合わせとかもかなり増えるのかなと思っているので…」
(みなと保健所 保健予防課保険予防係 杉山浩史さん)「いつからいつまでという(療養の)終了日が一人一人変わってくると思いますので、そのあたりをきちっと把握できるのか、医療機関の方に療養証明書を発行してほしい、診断書を出してほしいという問い合わせが逆にいっぱい来てしまって、そこで医療機関の業務が逼迫してしまうんじゃないかという心配はあります。」

▽患者置き去り「陽性者のためになっていない」
(Aさん)「全数把握も限界なんじゃないかと思います。これだけ連絡ないと。」
コロナに感染し、自治体にオンラインで届け出はしたもののその後、健康観察はまったくなかったというAさん。
いま議論になっている全数把握の見直しについて聞くと…
(Aさん)「陽性者のためには何もなっていないと思います。いろいろ後遺症とか分からないことだらけ。不安になる人はいっぱいいると思うので、最悪、死者が出たり、急変したりする人もいるだろうし、いいのかなこれでって思います。」

8月28日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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