【解説】アメリカで「学生ローン」136万円を免除 日本の「奨学金」…給付型どう拡充?
アメリカのバイデン大統領が、学生ローン免除の政策を発表しました。日本でも奨学金の利用者は多いですが、給付型の対象拡大について議論になっています。国は「出世払い」の制度などを視野に入れますが、意欲ある学生をサポートする仕組みについて考えます。
■有権者へアピールも…選挙公約で免除
岩本乃蒼アナウンサー
「『学生ローン、免除します』。アメリカのバイデン大統領が、学生が借金をして授業料を払う学生ローンを1万ドル、日本円で約136万円を免除すると発表しました」
「対象は一定の収入以下の人で約4300万人に及び、中にはこれで全額免除になるという人もいます。随分と思い切った救済策ですよね」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「そうですね。もともとはバイデン氏が大統領選の公約として掲げていた政策です。11月には中間選挙もあるので、有権者へのアピールという狙いもあります」
■高額の「奨学金」…日本の実態は
岩本アナウンサー
「これはアメリカの話ですが、お金を借りて授業料を払っている学生は日本にもいます」
小栗委員
「2019年の労働者福祉中央協議会の調査によると、奨学金制度を利用している人は約2人に1人。今返済している人たちの平均の借入額は約324万円です。返済には平均15年近くかかっています」
「利用者からは『今の職場で正規雇用されなかったら返せなくなるかも』『約580万円を借りました。大学を出ても仕事がなく、返せていません』といった声もあります」
■出世払いも…「給付型」どうなる?
岩本アナウンサー
「大きな額ですし、働きながら返している方は私の周りにもいますが、これを18歳くらいで決断しなければならないのは、難しいことですよね」
小栗
「そうですよね。それだけに日本でも、選挙のたびに議論になるのが、返さなくていい『給付型』の奨学金の対象を広げることです。今は学校の成績がいいことや、学ぶ意欲があるかどうかなどの審査があるほか、家庭の所得が一定以下であることも条件です」
「国は今後、これを子どもの多い家庭や、理系の中間所得層に広げようとしています。また家庭の所得にかかわらず、在学中は授業料は払わなくていい、ただ卒業後にその所得に応じて払っていく『出世払い』の制度をまず大学院から始めたいとしています」
■廣瀬さん「学生と起業家つなげれば」
岩本アナウンサー
「出世払いといっても、いずれは返さなければならないということですよね」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「アスリートの学び直しの教育に携わっていますが、授業料が1つのネックになっています。資金繰りにいろいろな選択肢があるのはいいなと思いました」
「起業家やビジネスパーソンと、意欲ある学生とをつなぐようなものがあるといいですね。その中で『返さなくていい奨学金』をどんどん出せたらいいなと思います。我々としても学生の思考やアイデアには、ビジネス上のヒントが多くあるのではないかと思います」
岩本アナウンサー
「そういうものが増えていくといいですよね」
(2022年8月25日放送「news zero」より)
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