『全数把握』見直し 自治体が判断へ 保健所“歓迎”しつつも「医療難民を作るかも」(2022年8月24日)
岸田総理が、これまでの新型コロナ対応を大きく転換しました。医療機関などの負担を減らすため、感染者の“全数把握”の見直しを、自治体の判断に委ねることにしました。
岸田総理:「発熱外来や保健所業務が、相当にひっ迫した地域においては、緊急避難措置として、自治体の判断で患者届け出の範囲を、高齢者、入院を要する者、重症リスクがあり、治療薬投与等が必要な人などに限定することを可能とする。陽性者数については、把握することを原則とする。こうした対応を行いながら、現場や実態をしっかり把握したうえで、全体の体制の切り替えに向けて努力を続けていきたい」
保健所では、すべての発生届を確認しています。大阪府豊中市では、その中から75歳以上など重症化リスクの高い患者に電話での健康観察をしています。
現在、陽性になった人は、医療機関が届け出て、すべての患者が把握されます。もしも、急変してしまったら、保健所が病院を手配するなど対応してきました。しかし、65歳以上・入院が必要な人・重症化リスクの高い人・妊婦さん以外は、行政に把握されなくなります。
豊中市保健所・松岡太郎所長:「全数把握をやめるという部分は非常にありがたいし、歓迎したい」
発生届のうち、9割軽減される見込みですが、こう懸念を示します。
豊中市保健所・松岡太郎所長:「今現在でも、“リスクがない、安心だ”と、ほとんどノーケアの人でも体調を崩して救急車を呼ぶことがある。今後、もし発生届さえ出ていないとなったら、どういうふうに医療機関につながれるのだろうと心配。究極的には“すべての医療機関で普通に診ていただけるように”を目指すべき。そこをセットにしてやらないと『全数把握はやめました。でも医療体制は変わりません』というのが、いわゆる医療難民を作ってしまうのではないか」
全数把握の見直しは、全国知事会からの要請を受けたものですが、岸田総理は「全国一律ではなく、自治体の判断」としています。
全国知事会・平井伸治会長:「それぞれの地域で判断するという今回のスキームは、我々の予定したものでは決してございませんけども、ただ、こうした形で、政府の方で、それぞれの地域に配慮した方向性が出た。それは評価できる」
ただ、このような声もあります。
東京都・小池百合子知事:「全数把握については、現場が大変だからではなくて、むしろデジタル化の問題だと思いますよ。HER-SYSと電子カルテが連動していないとか。東京都の場合は、ほかの県と桁が違う数字の患者のケアをしているわけで、そういう観点から申し上げると、見ていると、ちょっと切り口が違うなと思っております」
大阪府・吉村洋文知事:「国で一斉にやらずに、自治体ごとでやるとはどういう意味なのか。一人一人、○○さんと把握する必要はない。ただ、重要なのが、今までHER-SYSで管理していたが、対象から外れた人がどういう扱いになるのかは不明確なので、そこが明確にならないと、自治体としても判断できない」
加藤厚生労働大臣が説明しました。
加藤厚生労働大臣:「届け出対象とならない方についても、体調悪化時等に相談できる『健康フォローアップセンター』等の体制整備を確実に実施して、届け出ない感染者への対応をしっかりと進めていきたい」
また、すべての感染者をどうカウントするかについては、全数把握をやめる自治体に任せるということです。
岸田総理は、もうひとつ、大きな転換を示しました。現在、日本に入国する際、72時間以内の検査で陰性を証明する必要がありますが、来月7日からは、ワクチンを『3回』接種していれば不要になります。2万人が上限の1日の入国者数も引き上げる方針ですが、24日は、まだ決められませんでした。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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