感染者「定点把握」で保健所の負担は軽減か…一方で“ハイリスク患者”対応に懸念も(2022年8月22日)

感染者「定点把握」で保健所の負担は軽減か…一方で“ハイリスク患者”対応に懸念も(2022年8月22日)

感染者「定点把握」で保健所の負担は軽減か…一方で“ハイリスク患者”対応に懸念も(2022年8月22日)

新型コロナウイルスの感染者は8月21日、全国で22万6171人、大阪府では1万7671人と「全数」で発表されましたが、厚労省が感染者の「全数把握」に代わる手段として、特定の医療機関からの届け出を集計して感染状況を監視する「定点把握」の導入を検討していることが明らかになりました。

 (厚労省アドバイザリーボード 脇田隆字座長 8月18日)
 「定点サーベイランスといったものをどのように導入可能であるかといった検討を現在、厚生労働省あるいは感染症研究所で検討が進められている」

 8月19日、大阪府豊中市の保健所を取材しました。直近では1日に900人程度の新規感染者が確認されていて、この日も療養先の調整や健康観察の電話対応に追われていました。

 【電話対応の様子】
 「基本的には陽性者の方は外に出るのはやめていただきたいので、どなたかに代わりにお手伝いしていただくかという」
 「ホテル療養で…今から調整を掛ける形になりまして。感染が急増していますので、調整が今ちょっと難航している状況ではあるんです」

 感染者の発生届が集まってくる保健所。現在の全数把握に関する業務にはムダがあるといいます。

 (豊中市保健所 松岡太郎所長)
 「いただいた発生届のうち、実際にこちらからお電話をしたり、疫学調査や健康観察等をさせていただく方というのはその一部なんですね。医療機関も保健所も少しムダなことをしているのではないかという見方はできると思うんです」

 また、全数把握の必要性についても疑問を呈します。

 (豊中市保健所 松岡太郎所長)
 「無料検査センター等で検査されて、結局発生届につながっていない陽性者さん(もいる)。いわゆる全数把握の意義というのが、そもそも薄れていっているのではないかと思っています」

 では、すぐにでも全数把握をやめて定点把握に移行すべきなのかというと、そこには大きな懸念があると話します。

 (豊中市保健所 松岡太郎所長)
 「一部ハイリスクの方、入院しないといけない方、社会的な支援が必要な方に関してはやはり発生届は続けるべきだと思っています。例えば医師が必要と判断したら発生届は出すとか、入院が必要と判断したら発生届を出すとか」

 全数把握の見直しに賛成の考えを示す大阪府の吉村洋文知事も次のように述べています。

 (大阪府 吉村洋文知事)
 「65歳以上の方も含めてすべての全件把握をやめた時の入院の仕組みとか、そのあたりを情報もなく知事・都道府県でやれというのだけはやめてもらいたいなと思います。リスクの高い人をどう守るのかというのを一生懸命考えるべきだと」

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