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【タリバンの復権後1年】困窮するアフガニスタン 娘を守るため“腎臓を売る”母も
アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが再び実権を握ってから、15日でちょうど1年です。経済が悪化し国民生活が困窮する中、2歳の我が子を守るため、自らの腎臓を売らざるを得なくなった20歳の母親が、悲痛な胸の内を語りました。
◇
今月、アフガニスタンの首都・カブール中心部の通りは、物乞いをする子どもたちであふれていました。
「家に食べ物がないから、(売るために)ペットボトルを集めています」
「前は小学校に通えていましたが、タリバンが来てからは物乞いをするしかありません」
無料のナンを配っている場所では、大勢の女性や子どもたちが集まっていました。アフガニスタンでは、タリバンの復権後、経済の混乱から、人口の半数以上にあたる約2500万人が貧困状態に陥りました。
食料受け取った女性
「(タリバンが来てから)生活は苦しくなりました。食べ物もない。子どもが空腹で泣いています」
これまで頼みの綱だった国際援助も停滞し、経済は崩壊する一方です。
◇
地方では、さらに過酷な現状もありました。
訪れたのは、アフガン西部・ヘラート郊外の集落です。土でできた家が、遠くまで立ち並んでいました。ここには、20年にわたり続いたアフガン戦争の影響で、故郷に住めなくなった3000以上の家族が暮らしています。住宅には水道や電気も通らず、過酷な生活を強いられています。
私たちは20歳の若い母親に出会いました。彼女の口から語られたのは――
母親(20)
「借金を返すために腎臓を売るしかありませんでした。(最初は)夫が『腎臓を売る』と言ったのですが、『働けなくなるからやめてほしい』と言いました」
借金の返済の代わりに2歳の娘をとられそうになったため、5か月前に、腎臓を約36万円で売ったというのです。女性の家ではタリバンの復権後、経済の悪化で収入が激減し、さらに、国際支援団体の配給が途絶えたことで、生活は苦しさを増しました。
腎臓を売った母親(20)
「この一年、私たちは支援を受けられず、苦しみの中で過ごしています。手術は怖かったけど、借金を返すためには仕方ありませんでした」
娘を守るため、自らを犠牲にした母。ここ1か月ほど、痛みが続いているといいます。
腎臓を売った女性の夫
「医者からは、『このままでは命を落とすかもしれない』と言われています。私は自分のしたこと(妻の腎臓を売ったこと)を後悔しています」
ヘラートでは以前から臓器売買が社会問題化していましたが、タリバンの復権後、貧困に苦しみ腎臓を売る人が後を絶ちません。
ブドウ農園で働いている男性も、貧しさから、2か月ほど前に、約42万円で腎臓を売ったといいます。
腎臓を売った男性
「腎臓を売らざるを得ませんでしたが、後悔しています。働ける日もあれば、働けない日もあります。今も身体に痛みを感じています」
手術後にようやく見つけたブドウ農園での仕事は、月収約6000円と低賃金な上、体調が悪く働けない日もあるといいます。戦争で故郷を追われ、その後も貧困の中で暮らしてきた男性は、この1年を振り返り、「戦争のせいで仕事を失い、(今は平和ですが)生活が苦しいままです。家族を養わなくてはいけません。私たちを助けてほしいです」と話しました。
(2022年8月15日放送「news every.」より)
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