コロナ受け入れ病院が独自対策…回復すれば「陽性」でも退院へ(2022年8月6日)

コロナ受け入れ病院が独自対策…回復すれば「陽性」でも退院へ(2022年8月6日)

コロナ受け入れ病院が独自対策…回復すれば「陽性」でも退院へ(2022年8月6日)

全国で新たに22万7000人以上の新型コロナ感染者が確認され、増加傾向が続いています。医療崩壊の懸念がある中どうすべきか?独自の対策を取っている千葉大学病院の横手幸太郎院長にお話を伺います。

高島)
まだまだ感染拡大が止まらないという感じがしますが、千葉大学病院ではどういう状況でしょうか?

横手院長)
感染者が増えていますので、千葉大学病院ではこのところ20数名の重症から中等症の患者さんが入院されて治療を受けられています。

高島)
通常医療への影響というのはどうですか?

横手院長)
7月の中旬以降、職員の欠勤者、すなわち、ご自身が感染してしまったり、濃厚接触者になったり、あるいはお子さんが保育園の休園で出られないというような職員が増えておりまして問題になっています。コロナの診療と大学病院の高度な医療の両立というのは人手がかかります。ここが不足してしまっている状況ですので、救急医療の患者さんの受け入れにも影響が出ているところです。

板倉)
救急医療に影響が出ているということですが、横手さんの千葉大学病院では中等症であったり重症患者に対して独自の対応を行っているということです。これまで、例えば入院については、明確な基準はなかったそうですが、8月からは血中酸素飽和度93%以下など、基準を設けました。退院についても、これまでは発症から10日が経ってからということでしたが、8月からは症状が回復して「陰性」でなくても退院できるなど変更したということです。横手さん、医療ひっ迫を防ぐということもそうですが、「ウイルスの特性に合わせた」という部分もあるんでしょうか?

横手院長)
何しろ感染者の数が増えてきますので、一人一人の入院期間を少しでも短くして、より多くの患者さんに入院して頂き治療を受けて頂けるように努めているところです。その背景には、今おっしゃいましたように、ウイルスが少し変わったんですね。重症化リスクが下がっているということはあると思います。

板倉)
「陰性」でなくとも退院できるという部分については、症状が回復すれば再び重症化するということは考えにくいということですか?

横手院長)
PCRで、陽性であっても退院というのは「えっ?」と思われるかもしれません。我々の所に入院して頂いた患者さんは、例えば抗ウイルス薬の治療をさせていただいています。そうすると重症化のリスクがまず下がりますね。そして、退院して自宅療養して頂いている時にも重症化の兆しが見られるようであれば、即座に再入院していただくという体制も整っています。

板倉)
退院して終わりでなく、その後のケアもしっかり行っているということですね。

横手院長)
その通りです。

高島)
こうした対応もなるべく多くの患者さんを診るためということだと思いますが、そもそもの医療ひっ迫を解消するためにも、現在「2類相当」になっている扱いを見直しますと、指定の医療機関以外でもコロナ患者の対応が可能になりますよね。これについて、横手さんはどのようにお考えでしょうか。

横手院長)
「2類相当」ということで、厳密には「新型インフルエンザ等感染症の扱い」ということですね。これはこれでしっかりと社会を守る、国民を守るという意味合いがあると思いますから、その範囲の中で運用を変えていって柔軟にしていくという考え方もあると思います。

高島)
それは、「5類」に変えなくても対応は可能ではないかと?

横手院長)
例えば、当初、全ての患者さんは入院勧告という形でした。それが、自宅療養となり、ホテルに入れるようになったという運用の変更がありますね。こういうことを柔軟に、その状況に応じてしていくことが重要じゃないかなと思います。

高島)
医師会などは、重症化リスクが低く、症状が軽ければ自宅療養で様子を見てほしいという要望も出しています。これは、多くの病院でコロナ患者への対応が可能になれば、風邪やインフルエンザのように薬をもらいに行くこともできるようになるということですよね。

横手院長)
今はまだ、すべての医療機関がコロナを診療してるわけじゃないということがありますね。ただ、ワクチンもあり治療薬もあるわけですから、少しでも多くの医療機関がコロナに従事するということで国民の利便性は上がるだろうというふうに思います。

高島)
受け入れる病院の数の少なさというのが現在の医療ひっ迫を招いている一因だと思いますか?

横手院長)
1つの要素だと思います。一方でコロナの前の通常診療というのは、病院の経営の効率化ということもあってギリギリの医療者の数で担われてきました。それがこのような有事のコロナの増加というところでコロナの診療と通常診療を行うと非常に人手が足りなくなってしまう。ですから平常時から医療機関、コロナを診ている医療機関に対しては支援が次の波に備えて必要じゃないかなと思います。

高島)
その辺の見直し、そして医療ひっ迫を起こさないための柔軟な対応という必要性も感じました。
ここまで横手さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

サタデーステーション 8月6日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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