“全国15万人超”夜間往診に依頼殺到 断るケースも…東京の救急車出動率“98%超”(2022年7月21日)
東京は20日、2月以来となる2万人以上の感染者数になった。
20代男性:「すごい多いなって思います。ワクチンとか打ってても、これだけ増えてるというのが」
30代夫婦:「妻が今、妊娠してるんですけど。9月末に出産予定なんですけど、立ち会えるかどうか」「また、増えてきちゃったんで。もうダメかなみたいな感じ」
■夜の渋谷“路上飲み”…一方で“PCR大行列”
感染の急拡大を心配する声の一方で、20日午後8時半ごろ、東京・渋谷の街には多くの人が行き交っていた。
20代男性:「普通に、ご飯行こうって感じです。また緊急事態宣言とかが出たら、危ない感じ。やめようかなっていうのは、若干あります」
“路上飲み”に多くの人が集まる一方、渋谷駅前のPCR無料検査センターには、午後8時半ごろでも、まだまだ長い行列が続いていた。
センターのスタッフによると、検査を待つ行列は、昼夜にかかわらず絶え間なく続き、「こんなに並んでいるのは初めて」だという。
■東京消防庁 救急車の出動率“一時98%超”
感染者の急増により、救急の現場では早くも影響が出ている。
東京消防庁の23区の119番通報が集まる部署では、対応に追われていた。ひっきりなしに舞い込む通報。現在は、職員を増員して対応しているという。
東京消防庁はSNSで、救急車の出動率が一時98%を超え、到着まで時間がかかると訴えた。
東京消防庁・永野義武救急管理課長:「元々、夏という時期は、救急要請の多い時期。それに加えて、今年は新型コロナ陽性患者の需要が上乗せされているという状況で、救急需要が逼迫(ひっぱく)している」
■訪問医師 往診断らざる得ないケースも…
救急の現場に出始めた影響は、さらに…。
オペレーター:「はい、本日往診ご希望でよろしいでしょうか?」「もう陽性と診断されてらっしゃるということですね?」
夜間や休日の往診を行っている「ファストドクター」のコールセンター。今月に入って依頼が殺到。往診を断らざるを得ないケースが出てきているという。
オペレーター:「医師がスケジュールの調整ができませんで、お伺いできなくなってしまったんです。申し訳ございません」
ファストドクター広報部・田島めぐみシニアマネージャー:「(Q.7月は莫大に増えていますね)例えばなんですが、7月10日の日曜日は130件だったんですが、それが1週間後となりますと、506件ですので。3倍、4倍の数になっていって…」
■夜間にも…多忙極める“往診業務”
医師:「じゃあ、これで行きましょうか」
20日夜9時ごろ、住宅街で準備を整え、コロナ患者の自宅へ向かう医師たち。この日最初の患者は、40代の女性だ。
医師:「今回の経過の確認からなんですけど…」
発熱、息苦しさ、のどの痛みなどを訴える女性。現在、重症化の兆候はないとし、自宅で経過観察の判断をした。
診察が終わると、家の外で消毒。車に乗り込み、すぐさま次の現場へ向かう。
医師:「今はどうですか?お熱はありますか?」
夜間にもかかわらず、多忙を極める往診業務。そして、また次の現場へ向かう。
■自宅療養も「のど痛みで食べられず」
午後11時すぎ、この日3件目の現場は、20代の女性の自宅だ。
医師:「37℃ですね。瞳孔から見ていきます。のど押しますね。押して痛いですか?」
患者:「(うなずく)」
発熱に加え、のどが痛いという女性。2日間、飲まず食わずの状態だという。
女性:「のどの痛みがすごくて」
医師:「痛みが、すごくて強いんですね」
女性:「飲み物が飲めない。食事は1日半くらい食べていない」
医師:「食事が取れなかったら、血管から点滴を入れるしかないんですけど。保健所と入院のご相談しました?」
女性:「してない。のどの痛みだけとれれば、正直あとは」
女性には、のどの痛みを改善する薬を処方することになった。
この日は、3件を往診。すべての業務が終了したのは午前0時ごろ。ファストドクターでは複数の医師がシフトを組み、24時間体制で患者を診て回るが、すべての依頼に応じることができない状況だという。
ファストドクター代表・菊池亮医師:「発熱外来が逼迫してきているなかで、(発熱)外来にかかれない。受診手段がない。そういったところで、お困りの患者さんが多い。これ以上、感染者の数が増えてきてしまうと(往診依頼を)受けきれないというケースも出てくるかとは思います」
■大阪でも…往診依頼“第7波”前の4倍
対応に追われる状況は、大阪でも同じだ。
20日の大阪の感染者は、過去最多を更新する2万1976人だった。
医師:「熱は土曜日の夜から出て?」
男性:「まぁ、微熱だったんですけど。日曜日くらいから40℃、39℃を行ったり来たりしてて」
苦しそうにせき込む男性。大阪市内に住む20代の男性は、新型コロナウイルス感染後40℃の高熱を発症。救急車を要請したものの、軽症と判断されて自宅療養していたが、症状が一向に良くならず、訪問診療を依頼したという。
医師:「水分は取れてますか?」
男性:「一口二口しか飲んでない」
医師:「のど痛くてダメだった?」
男性:「はい」
この日は、解熱剤を処方して様子を見ることになった。往診にあたった小林医師によると、コロナ関連の往診依頼は、“第7波”が来る前の4倍になったという。
KISA2隊大阪 隊長・小林正宜医師:「本当に先週末から今週、連休明けですね。きのうから、かなり電話がひっきりなしに鳴っているという状況です。医療逼迫を起こすような段階になってきたら、今一度、行動制限して頂かないといけない可能性もあると思っている」
■政府慎重考えも…沖縄「危機的な状況」
医療の現場が限界を迎えつつあるなか、政府は…。
松野博一官房長官:「現下の感染拡大への対応については、新たな行動制限を行うのではなく、保健・医療提供体制の確保に取り組んでいく考えであります」
松野官房長官は、新たな行動制限に関して、慎重な考えを示した。
全国の知事たちは、次のように話す。
神奈川県・黒岩祐治知事:「かつてのような行動制限やステイホーム・時短要請。当面は、する必要がないという見解」
大阪府・吉村洋文知事:「行動制限はしないと、国は言っているわけですから。この1日、2日で、本部会議を開くかというと、そうではない」
一方で、沖縄県の玉城デニー知事は、次のように話した。
沖縄県・玉城デニー知事:「非常に危機的な状況であると、認識しております。行動抑制を図る措置等も、検討しなければならないのではないか」
現場の医師も、強い危機感を示している。
沖縄赤十字病院 第一救急部長・佐々木秀章医師:「医療はもう、壊滅的状況になることがほぼ確定です。個人的には、イベントは2週間全面停止するくらいのものを出して頂きたい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年7月21日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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