【全国道の駅グランプリ】 休憩所ではなく”目的地”に?「防災拠点」にも
旅行情報誌の「じゃらん」が毎年発表している「全国道の駅グランプリ」満足度ランキングの2022年版が発表されました。
◇道の駅トップ3は?
◇さらに進化中!
◇「○○拠点」にも
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
◇
■「東北勢」強し! トップ10に6つも…
今年のトップ10をみていきます。このランキングでいう「道の駅」というのは、基本的に高速道路のサービスエリアなどとは違って、「一般道路」に面している施設のことです。北海道と沖縄をのぞく、45都府県の3000人以上が「満足した」、「良かった」という道の駅の「満足度グランプリ」を決めています。
10位の岩手県の「道の駅 雫石あねっこ」、9位の秋田県の「道の駅 象潟ねむの丘」、7位と5位にそれぞれ青森県の「道の駅 しちのへ」と「道の駅 なみおかアップルヒル」、また3位と2位にそれぞれ宮城県の「あ・ら・伊達な道の駅」、「道の駅 上品の郷」が入っているように、「東北勢」の強さが目立ちます。
■第3位は巨大なおみやげ売り場が特徴! 毎年300万人以上が訪れ…
第3位に入った宮城県の「あ・ら・伊達な道の駅」は、満足度が83.2%となりました。
仙台から北へ車で約1時間の宮城・大崎市にあります。毎年300万人以上が訪れるという人気の理由は、なんといっても、端から端まで見えないほどの巨大なおみやげ売り場があることです。常に内容を入れ替えて、とにかく飽きさせないことに力を入れているそうです。
さらに、チョコレートで有名な「ロイズ」、北海道以外では非常に珍しい「常設店舗」というのもあって、若い人の集客につながっているそうです。
去年7月には、レストランをメインにリニューアルをして、コロナ対策として換気の良いオープンカフェのような形にしたのも好評だということです。
■第2位は“温泉付き” 去年の5位からランクアップ
今、道の駅というのは本当に競争が激しくて、人気を保つのが大変です。リピーターを獲得する作戦というのを、各施設が工夫し合っているような状況です。
そのような中で急上昇しているのが、第3位と同じく宮城県にある第2位の「道の駅上品(じょうぼん)の郷」です。満足度は83.6%でした。
宮城・石巻市にある道の駅で、県内唯一の「温泉保養施設」がある道の駅ということです。道の駅で温泉に入れてしまうということです。2020年は圏外でしたが、去年は5位となり、そこからジャンプアップしています。その理由は、温泉以外の部分でのパワーアップだということです。
小さなリニューアルを繰り返していて、今年4月にもフードコートやテナントなどをリニューアルして、絶え間なく魅力を発信し続けているそうです。
■栄えある第1位は「満足度」唯一の9割超え! キャッチコピーは「1日まるごと…」
今年の栄えある第1位となったのは、群馬県の「道の駅 川場田園プラザ」。満足度は、唯一9割超えの90.5%です。関東の道の駅が1位になりました。
群馬・川場村、関越道の沼田インターから東へ車で約10分というアクセスの良い道の駅ですが、こちらのキャッチコピーは、「1日まるごと楽しめる遊べる食べられる道の駅」というものです。
関東の道の駅としては以前から人気の施設でしたが、去年、2020年と、この満足度ランキングでは圏外でした。しかし、今年は初の1位に躍り出たということです。
東京ドームの約1.5倍という、道の駅としては広大な敷地に、年間約200万人が訪れます。その半分はリピーターだということです。
「ちびっこゲレンデ」や、地ビールやチーズ工房などのグルメも人気です。さらに、なんと無料で食べ放題の「ブルーベリー畑」というものまであるそうです。
コロナで遠くから来るよりも、「近場で済まそう」という人たちが多くて、首都圏からの客や、地元の良さの再発見にもつながっているということです。
■進化を遂げる「道の駅」 “地方創生”の起爆剤としての役割も
現在、全国に1194施設登録されている道の駅ですが、今、主に3つの大きな進化を遂げています。
1つ目が「目的地化」というものです。もはや単なる「休憩所」ではなくて、旅行で目指す目的地になっています。群馬・川場村にある「1日遊べる」という道の駅がありましたが、旅行先として進化を遂げることで「地方創生」の起爆剤としての役割も期待されています。
さらに2つ目が、「宿泊施設」ができていることです。
岐阜・美濃加茂市の道の駅のすぐ隣には、「フェアフィールド・バイ・マリオット」というホテルが建てられました。住宅メーカーの積水ハウスが、外資系ホテルブランドのマリオットと組んでオープンしました。これまでに、7道府県で18の道の駅の隣にホテルを開業済みで、来年にかけてさらに11か所をオープンさせる予定です。
このホテルの最大の特徴が、「素泊まり型」であることです。宿泊以外の機能をあえて外すことで、「その地域や地元の食事、温泉などに足を伸ばしてもらおう」という意図があります。
決して交通の便は良くない場所でも、コロナ禍で車移動のお客さんが増えていますし、「日本の新しい体験型の旅のスタイルを提案しよう」と始まったものです。さらに「地方創生、地域経済の発展に貢献したい」という目的もあるそうです。
■災害時には「防災拠点」にも
そして、3つ目の進化した点が、「防災拠点」です。今年のグランプリに輝いた群馬県の「川場田園プラザ」ですが、実は、国交省の「防災道の駅」に選定されていて、「備蓄庫」ですとか、「大型ヘリポート」などを完備しています。
地元の防災拠点としてだけではなくて、実は「首都直下地震」が起きたときには、都心に物資や機材を届ける拠点にもなるということで、いま道の駅は本当にいろんな面で進化しています。
◇
地元の自治体が客を飽きさせないように知恵を絞り、企業とも連携して宿泊などの新たな付加価値を見いだすことで、道の駅はいま、大きく様変わりしつつあります。新たな旅のスタイル、さらには地域経済活性化の起爆剤としての役割がますます期待されています。
(2022年7月20日放送「news every.」より)
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