鬼怒川温泉“廃ホテル” 相次ぐ不法侵入・・・行政が対策乗り出す(2022年1月5日)

鬼怒川温泉“廃ホテル” 相次ぐ不法侵入・・・行政が対策乗り出す(2022年1月5日)

鬼怒川温泉“廃ホテル” 相次ぐ不法侵入・・・行政が対策乗り出す(2022年1月5日)

 人気観光地・鬼怒川温泉に放置され、廃墟と化した、いわゆる“廃ホテル”。相次ぐ不法侵入に頭を悩ませる行政が、対策に乗り出しました。

■“廃ホテル”把握するだけで16軒

 懐中電灯を片手に、暗い建物内を探索する男たち。「調査」という名目で、廃墟となったホテル内を歩き、動画を撮影しています。

 まるでホラー映画のワンシーンのようですが、実はこうした行為が、老舗の温泉街を悩ませているのです。

 渓谷から眺める四季折々の風景が美しい、栃木県日光市の鬼怒川温泉街。この歴史ある温泉街で今、廃業した観光施設が問題となっています。

 深刻なのが、閉館後に放置され、廃墟と化した、いわゆる“廃ホテル”です。

 その1つに向かってみると、崖の上に立ち並ぶ、黒ずんだ建物。近くで見てみると、荒れ果てた様子がはっきりと分かりました。

 入り口が少し開いたままになっています。ロープで建物の敷地内には入れないようになっていますが、誰かが侵入したんでしょうか。建物の壁には落書きがしてあります。

 これらは1990年代後半から2000年代にかけて倒産したホテル。市によると、廃業した当時の状態で放置されている施設は、把握しているだけで、16軒にも上ります。

 近隣住民は、不安を口にします。

 近隣住民:「人が侵入した跡があるとか、聞きますね。『部屋の明かりがついていたんだ』と。電気が入ってないのに、明かりがつくはずがない」

 廃ホテルで発生している問題が“無断侵入”です。

 この映像では、2人で侵入。カメラ片手に撮影し、リポートしながら歩き回ります。

 ネット上には、こうした廃ホテル内を探索する動画や、“心霊スポット”として紹介するサイトが数多く存在します。

 許可なく廃ホテルに入り、撮影する行為は、不法侵入にあたるうえに、不審火など安全面でも懸念があります。

■“解体”したくてもできない事情

 日光市による廃ホテルの内部調査で分かったのは、不法侵入にとどまらない驚きの現状でした。

 日光市総合政策課・小林岳英課長:「落書がしてあったり、日付が入って、『来たよ』みたいなマーキングがあったりする状況。不法にゴミを捨ててった状態がひどい状況で残っていること、今回の調査で確認できました」

 落書きやゴミの不法投棄が横行していたのです。

 また、建物内は、天井などアスベストがむき出しになっている箇所もあり、侵入することによる健康被害も懸念される状態です。

 望まれる一刻も早い、廃ホテルの解体。しかし、市には、それをしたくてもできない事情がありました。

 日光市総合政策課・小林岳英課長:「倒産に至る経緯、もしくは倒産後の経緯で、所有者は分かっていても、所在が分からなかったり。民間の施設を行政が壊そうとしても、なかなか手が出せない。さらに、一番大きいのは金銭面。(1軒壊すのに)『十数億円は必要だろう』とも言われているので、小さな自治体では、とても手が出せない」

 特に、鬼怒川のホテルの多くは、川沿いの崖に建てられているため、解体には大規模な足場が必要となり、さらに費用がかさんでしまいます。

 市は今後、侵入防止対策を強化する方針です。

(「グッド!モーニング」2022年1月5日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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