ウクライナ侵攻は地球温暖化にも影響? 欧州で広がる石炭火力発電の利用拡大の動き【風をよむ】「サンデーモーニング」|TBS NEWS DIG

ウクライナ侵攻は地球温暖化にも影響? 欧州で広がる石炭火力発電の利用拡大の動き【風をよむ】「サンデーモーニング」|TBS NEWS DIG

ウクライナ侵攻は地球温暖化にも影響? 欧州で広がる石炭火力発電の利用拡大の動き【風をよむ】「サンデーモーニング」|TBS NEWS DIG

温暖化によるとみられる猛暑が、世界各地を襲っています。温暖化は、ウクライナ侵攻の影響もあり、いっそう心配な状況となっています。

■危険な暑さ

6月25日、東京都心では今年初めての猛暑日に。また群馬県の伊勢崎市では気温40.2度を観測し、6月に国内で観測された最高気温を更新。「命に関わる危険な暑さ」に警戒が呼びかけられました。

■世界でも異常気象

こうした猛暑は今、日本だけではありません。世界中が異常ともいえる高温に見舞われているのです。

中国河南省では突然道路が爆発?現地では、道路下にたまっていた水分が猛暑の影響で水蒸気となって膨張したためでは、との声も…。

そして河南省では最高気温40度の猛暑で、湖の水位が下がり、ひび割れた地面が…。

またパキスタンでは、先月最高気温が51度に達し深刻な水不足に。住民はきれいな飲み水の確保ができず、一部でコレラ感染が拡大。

住民「汚染された水を使用すると病気になります。大人は耐えられますが、子ども達は重病になって、死ぬこともあります」

ヨーロッパでも、フランスでは6月にもかかわらず、各地で気温40度に達し、18日には南西部で42.9度に。

スペインでも40度を超えて、各地で山火事が発生。消火活動に追われているのです。

■背景には地球温暖化との指摘

世界を覆う、この異常な事態。原因として多くの研究者が指摘するのは、やはり温室効果ガス排出による地球温暖化です。

江守正多教授・東京大学未来ビジョン研究センター
「人間活動により平均気温が上昇していることによって、上昇分が上乗せされて、そのような記録的な高温が各地で出ている。背景には温暖化がある」

■石炭火力を巡ってー

こうした切迫した状況の中、石油や天然ガスに比べ、二酸化炭素排出量が多い石炭の使用には、以前から反対の声が根強くありました。

5月に開かれたG7の環境関連会合でも、温室効果ガスの排出削減対策が取られていない石炭火力発電について、段階的に廃止することが共同声明に盛り込まれたのです。こうした中…

■ロシアへの制裁

EU・フォンデアライエン委員長
「事実上90%のロシア産石油のEUへの輸入を年内に禁止します」

ロシアのウクライナ侵攻を受け、EU(ヨーロッパ連合)は、6月、ロシアに対し、石油の禁輸を含む追加制裁の発動を決定。

これに対抗するかのように、ロシアは、ドイツに供給している天然ガスを6割削減するとしたのです。

■欧州に石炭利用拡大の動き

そこでドイツは、6月19日、燃料危機を回避するため、石炭火力発電の利用を増やす緊急措置を講じると発表しました。

ドイツ・ハーベック副首相兼経済・気候保護相
「ドイツでは天然ガスはこれから希少資源になる…」

ドイツだけではありません。ロシア政府系のガスプロムから天然ガスの供給を停止されたオランダも、石炭火力発電の拡大を決めました。

またギリシャも、石炭火力発電所の一部閉鎖の計画を延期し、石炭採掘量を今後、50%増加させることを決めたのです。

いまや、ロシアによるウクライナ侵攻が、温暖化を加速させる形となっているのです。

ロシアのウクライナ侵攻で、石油や天然ガスの供給が滞り、電力供給を石炭火力で対応しようとする動きが強まっています。

■深刻な温暖化の影響

しかし、WMO(世界気象機関)によれば、2013年から2021年の間に、南極の厚い氷が解けたことなどで、世界の海面は年平均4.5ミリ上昇し過去最高に達したといいます。

また海水温の上昇も続いており、温暖化は深刻化する一方です。

世界気象機関・ターラス事務局長(5月)
「二酸化炭素の濃度は着実に増加しており、これは化石燃料の使いすぎに関係している…」

地球環境の危機が迫る中、石炭への回帰とも見える動きが出ていることについて専門家は…。

江守正多教授・東京大学未来ビジョン研究センター「これが何年も続くようですと、大きな問題になってくる。しばらく石炭を使うということになると、望ましくない影響が目に見えてくる。やはり長期的には再生可能エネルギーであるとか、脱炭素を早めることによって、脱ロシア依存というのも進めていく…」

■日本のエネルギーは

こうした中、日本は2011年の福島第一原発事故後、クリーンな再生エネルギー普及に舵を切るかに見えましたが、2021年に改定したエネルギ―基本計画でも、原発を「重要なベースロード電源」と規定。

さらに日本の電力の3割以上を、依然として石炭火力が占めるなど、化石燃料頼み、原発重視の姿勢は変わっていません。

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにしたエネルギー危機を前に、改めて温暖化対策への取り組みが問われています。

(「サンデーモーニング」2022年6月26日放送より)

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