【感染拡大】“サル痘”緊急事態宣言は? 日本には「治療薬なし」(2022年6月24日)
アジアでも感染が次々と確認されているサル痘。現在、WHO(世界保健機関)の緊急委員会が開かれていて、緊急事態を宣言するのかどうかに注目が集まっています。
感染は、日本まで広がるのでしょうか。
WHO・テドロス事務局長:「人から人への感染は進んでいて、過小評価されている」
「過小評価」というのは、欧米などを中心に感染が広がる「サル痘」と呼ばれるウイルスについて。
WHOによると、48カ国の3200人以上が感染。1人の死亡が報告されています。
そうしたなか、WHOは緊急委員会を開き、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言するかどうか検討しました。
そもそもサル痘は、根絶された「天然痘」に近いウイルス。1970年代にアフリカで人への感染が初めて確認されました。
ウイルスを持った動物に噛まれるなどして感染すると、頭痛や発熱、発疹などの症状が…。致死率は最大で10%と言われています。
ただ、専門家は今、世界で蔓延(まんえん)しているのはこれまでと違ったタイプだといいます。
岡山理科大学・森川茂教授:「全身に発疹が出るケースではなく1個から数個。西アフリカ型は比較的病原性が弱い」
「西アフリカ」型と呼ばれる流行種は症状が比較的軽く、重症化しないケースがほとんどだといいます。
ではなぜ、「新型コロナ」以来の緊急事態宣言を検討するほどの警戒ぶりなのでしょうか。
岡山理科大学・森川茂教授:「(感染者は)今、成人の男性がほとんどだが、妊婦とか子どもが感染すると重症化することがあるので、そういう人たちまで感染が広がると非常に危ない」
通常、成人男性は2週間ほどで回復するといいますが、妊婦や子ども、基礎疾患のある人は肺炎や合併症を引き起こす恐れもあり、最悪、死に至るケースも…。
さらに、こんな問題も…。
岡山理科大学・森川茂教授:「発熱がなくて突然、発疹が出るような今、流行しているケースでは本人も気が付かなくて他の人にうつしてしまう」
多くの患者は初期症状の発熱や悪寒がないため、発疹が出るまで感染に気づかず、他人にうつしてしまう恐れもあるといいます。
サル痘はこれまで、日本国内で患者の報告はありません。
ただ今週、シンガポールと韓国で陽性者が相次ぐなど、アジアでも感染が目立ち始めています。
入国制限が緩和され、外国人観光客の受け入れも進んでいますが…。
岡山理科大学・森川茂教授:「日本では承認された治療薬はありません」
さらに、検査が行えるのは1カ所しかありませんでした。国内での備えはできているのでしょうか。
欧米などを中心に報告が相次いでいる「サル痘」。
濃厚接触や飛沫(ひまつ)による感染の恐れもあり、厚生労働省は空港の検疫で入国者に情報提供をするなど、警戒を強めています。
さらに現在、検査を行えるのは東京の国立感染症研究所のみで、検査体制の強化も進めています。
一方、治療薬については…。
岡山理科大学・森川茂教授:「治療薬はありますけども、日本では承認された治療薬はありません。輸入もされていないので今、どうするか政府が考えている」
サル痘に対する緊急事態は、24日にも宣言される可能性もあります。
木原官房副長官:「WHOともよく連携しつつ、国内外の感染症の発生動向の監視など、必要な対応を講じていきたい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く