核兵器禁止条約締約国会議に参加のドイツ 現実の脅威を前に核廃絶か核共有かで揺れも|TBS NEWS DIG

核兵器禁止条約締約国会議に参加のドイツ 現実の脅威を前に核廃絶か核共有かで揺れも|TBS NEWS DIG

核兵器禁止条約締約国会議に参加のドイツ 現実の脅威を前に核廃絶か核共有かで揺れも|TBS NEWS DIG

21日から初めて開かれる核兵器禁止条約の締約国会議。唯一の被爆国である日本は出席を見送る一方、同じアメリカの「核の傘」の下にいながら複数の国がオブザーバーとして参加します。ドイツもそのうちの一つですが、公約と現実のはざまで揺れ動く姿も見えてきます。

今月10日、ドイツ西部のビュッヒェルで月に一度の小さなキリスト教のミサが行われました。訴えるのは「核兵器反対」。この場所で行うのにはわけがあります。

記者
「ここは、ドイツの空軍基地です。ここにはアメリカの核兵器が配備されていると言われています。」

ビュッヒェルの空軍基地には、NATO=北大西洋条約機構の核共有の取り決めに基づき、20発のアメリカの核兵器が配備されていると言われています。

ミサに参加した元教師のランセレさん(82)。高まる「核の脅威」と「世論の変化」に肩を落とします。

元教師 ランセレさん
「あそこに(アメリカの)国旗を掲げている限り、核兵器はここにあるのだと思います。以前はもっとたくさんの人が核兵器に反対していましたが、減っています。それはプーチンや彼のような人たちのせいです」

去年12月に新政権が発足したドイツ。連立政権の協定には「目標は核兵器のない世界」だと明記されました。

アメリカの「核の傘」の下にいながら、核兵器を全面的に禁止する条約の初めての締約国会議にオブザーバーとして参加することを発表しました。

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、政府の姿勢に変化が現れます。

ドイツ ショルツ首相
「2月24日はヨーロッパ大陸の歴史的転換点となりました」

核爆弾の搭載が可能なステルス戦闘機「F35」の購入を発表するなど、核共有を尊重する立場を示したのです。

専門家はこう分析します。

ハンブルク大学平和・安全保障政策研究所 オリバー・マイアー博士
「ドイツは今もNATOの核の共有への参加と、核のない世界に向けて前進したいという内的矛盾を抱えているのです」

国民にも変化が。世論調査で「アメリカの核兵器がドイツに配備されていることを支持する」と答えた人が半数を超えました。

市民
「これ以上核兵器は不要ですが、今あるものは持ち続けるべきです」

世論にも背中を押され、方針に変化が生じているのか。JNNは政府に直接問いかけました。

ドイツ政府 ビュヒナー副報道官
「連邦政府は引き続き核兵器のない世界という目標に取り組んでいます。完全に検証可能な形で、世界的に廃絶することが目標です」

方針転換を否定。会議へのオブザーバー参加を改めて表明しました。唯一の被爆国である日本とは異なる判断です。核兵器廃絶を訴えるランセルさんも期待を込めます。

元教師 ランセレさん
「最初の一歩です。弱気でためらいがちな一歩ですが」

公約と現実のはざまで揺れるドイツ。会議でどのような態度を示すのか注目です。

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