“黒海要衝の小島”の基地化目論むロシア軍 東部一進一退の中でその狙いは?(2022年6月6日)

“黒海要衝の小島”の基地化目論むロシア軍 東部一進一退の中でその狙いは?(2022年6月6日)

“黒海要衝の小島”の基地化目論むロシア軍 東部一進一退の中でその狙いは?(2022年6月6日)

 ロシア軍が侵攻を続けるウクライナ東部では、ウクライナ軍が「市の5割奪還した」と発表するなど、一進一退の攻防が続いています。一方、南部では黒海に浮かぶ「ある小さな島」が今後の戦況を左右するとして、両国の間で緊張が高まっています。

 東部では、まさに“一進一退”の攻防です。

 「皆、地面に伏せろ!」と叫んだ直後、「Zマーク」の戦車から火柱が上がりました。

 よく見ると、ウクライナ兵が手りゅう弾を投げ込んでいます。

 ルハンシク州・ハイダイ知事:「ウクライナ軍がセベロドネツクの半分の地域でロシア軍を排除した」

 ルハンシク州の知事は5日、ウクライナ軍最後の拠点とされるセベロドネツクについて、「ウクライナ軍がロシア軍を押し戻し、市の5割を奪い返した」とSNSに投稿しました。

 そんな激しい押し引きのなかでも・・・。

 ゼレンスキー大統領:「あなたたちは最も厳しい状態にあってもウクライナを守っています」

 ゼレンスキー大統領は5日、東部ドンバス地方の前線部隊を視察しました。

 ゼレンスキー大統領:「(兵士たちから)自信と勇気をもらいました。正真正銘の英雄は確かに存在します」

 両軍ともに戦力を東部に集中させるなか、実は、南部の黒海に浮かぶ“ある島”でも、不穏な動きが・・・。

 オデーサ市長顧問・セルギーさん:「ロシア軍は、島に適した兵器を配備しました」

 その島とは、ズミイヌイ島です。ドナウ川から、海ヘビがたくさん流れてきたことから「スネーク島」と呼ばれるようになったこの島。

 ウクライナ軍の南部司令局は、ここにロシア軍が新たな兵器を配置し、「オデーサへ砲撃する可能性がある」と警告しています。

 スネーク島と言えば、黒海艦隊の旗艦である「モスクワ」が沈没した時、話題になったこの切手。

 ロシアの軍艦に向かい「くたばれ」と言って抵抗した国境警備兵が立つ、この島こそがオデーサ州に属するスネーク島なのです。

 そんなウクライナの“抵抗の象徴”とも言われる、この島で今、何が・・・。

 番組は5日、オデーサ市長顧問にコンタクト。激しさを増す“島の攻防”について取材しました。

 オデーサ市長顧問・セルギーさん:「(ロシア軍は)多連装ロケット砲や地対空ミサイルなどを配備し、あらゆる目的のために、島を軍事拠点にしようとしています」

 スネーク島は、周囲2キロ足らずの小さな島ですが、ゼレンスキー大統領が侵攻半年前、視察に訪れるなど、戦略上、重要な島とされています。ところが・・・。

 オデーサ市長顧問・セルギーさん:「今もスネーク島は、ロシアによって占領されています」

 侵攻の初日から、ロシア軍は黒海艦隊で真っ先に島を占領。

 一方、ウクライナ軍もロシア軍のヘリを攻撃したとする映像を公開し、先月12日の衛星画像には沈没した揚陸艦が確認されるなど、攻防は激しさを増しています。

 オデーサ市長顧問・セルギーさん:「ロシア軍は、現在、黒海の北西部への支配を強めるため、島に基地を設置しようとしています」

 両軍が戦力を東部に集中させる今、なぜ、スネーク島が「重要」なのでしょうか。

 背景には「ロシア軍の兵力不足」が・・・。

 笹川平和財団上席研究員・小原凡司氏:「大量の兵力をもう1度、南側、ヘルソン州に送り込むことはできない状況のなかで、このズミイヌイ島(スネーク島)の重要性は上がっているのではないか。ここを抑えることによって、南部に対して、ロシア軍は、ミサイル等の攻撃ができるようになる」

 ロシア軍が東部以外に兵力を割けないからこそ、せめて「スネーク島」に兵器を配備し、「南部を牽制(けんせい)している」と小原氏は分析しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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