「あだ名」から「さん付け」へ・・・小学校で増加 校則明記も “あえて推進”企業も(2022年5月31日)

「あだ名」から「さん付け」へ・・・小学校で増加 校則明記も “あえて推進”企業も(2022年5月31日)

「あだ名」から「さん付け」へ・・・小学校で増加 校則明記も “あえて推進”企業も(2022年5月31日)

 クラスメートを「あだ名」ではなく、「さん付け」で呼ぶように指導する小学校が今増えています。中には、校則に明記するケースもあるといいます。学校現場を取材しました。

■「あだ名」親しみ?イヤ?

 皆さんは、子どものころ、どんなあだ名で呼ばれていましたか?

 街の人:「あだ名ですか?『ゆうこりん』って呼ばれてました。名前が『ゆうこう』って言うんですけど、その時ゆうこりんがはやって。名前も似てるしっていうので、あまり納得感はなかったが、ゆうこりん。なんか泣いてましたね、当時」「僕、名字が松尾っていうんで、『芭蕉』とか多かったですね」「高校のころ、もっと細かったんですよ。顔がでかかったんで、『チュッパチャップス』」「名前が『にへい』なんですね。それにストが付いて、『ニヘニスト』みたいな。別に、ダサくはなかったと思うので、いいかなと」「私たち双子で『じゅり』と『じゅな』。2人で皆に『じゅうじゅう』って呼ばれています。どっちがどっちか分からないから、じゅうじゅうって呼べば、どっちも向くみたいな感じで。2人合わせて、じゅうじゅうと呼ばれている」

■「さん付け」推奨 校則明記も

 今、学校教育の場では、あだ名ではなく、さん付けを推奨するところが増えているのです。

 小学生:「確かに、はやしさんの言う通り」「はやたさんすごいね」「やまざきさん、やまざきさん以外・・・」「きょうのキラキラさんは、うえださんです」

 東京・江戸川区にある葛西小学校では、さん付け推奨の取り組みを始めて6年。授業中は必ず、さん付けで呼び合います。

 小学生:「『くん』とか『ちゃん』だと、少し幼い感じもするし、『さん』のほうが礼儀があるというか、正しく接することができるというか」

 一方で、あだ名も禁止しておらず、児童たちは、さん付けとあだ名をうまく使い分けています。

 小学生:「授業中は『さん付け』で、いまいださん、まさきさん、せきぐちさん」「でも、授業じゃない時は、下の名前や呼び捨て」「普通の休み時間とか生活面だと、あだ名とか呼び捨てとかのほうが、仲が良いというか。そっちのほうが、相手はうれしいと思う」

 江戸川区立葛西小学校・内野雅晶校長:「友達同士で遊んでいる時なんかは、ニックネームで呼ぶのは、自然なこと。学校では、きちんとした言葉遣いをするということを学べればいいんじゃないか」

■「さん付け」校則に明記 理由は・・・

 小学生:「行け行け、走れ、そうすけさん。頑張れ、そうすけさん。行け、そうすけさん」「けいさん、頑張れ。頑張れ、けいさん」

 リレーの応援も、さん付けで行われる、茨城県水戸市の水戸英宏小学校。2012年の開校以来、さん付けが決まり事として、校則に明記されています。

 小学5年生:「(最初は)『さん付け』で呼ぶんだって、驚いたっていうか、ビックリしました。傷付かない、人とけんかにならないとか。嫌なあだ名を付けて、けんかになっちゃうと、元も子もないから。『さん付け』は、それが良いところだなと思う」

 「さん付け」を校則に明記した理由について、教頭は、次のように話します。

 私立水戸英宏小学校・野淵光雄教頭:「『あだ名禁止です』ではなくて『さん付け』をしますという位置付けですね。人の呼び方は、三通りある。それは、敬称と愛称と蔑称というくくり。学校に来ることは、とても素晴らしいことじゃないですか。そこで、さげすんだような蔑称で呼ばれたりというのは、あってはならない。なので、私たちが禁止しているのは蔑称であって、決して愛称に関して批判しているわけではない」

■あえて「あだ名」推奨・・・企業も

 教育現場で「さん付け」が広がる一方で・・・。

 街の人:「『ジダン』って呼ばれてるんですね。会社のなかで。サッカー選手の、フランスのサッカー選手のジダン。数千人社員がいると思うんですけど、かなりの割合で、あだ名だと思いますね」

 教育現場で、さん付けが広がるなか、あえてあだ名を推進する企業もあります。

 ジー・ブーン株式会社 代表取締役会長兼CEO 十詩SUN(本名 後藤稔行)さん:「うちの会社は、夢をテーマにしてまして。自分のかなえたい夢が入った名前を自分で付けて、その名前で呼び合う」

 通信関連事業やレンタルスペースを手掛ける、この会社では、年齢や性別を問わず、社員をあだ名で呼んでいます。

 ジー・ブーン株式会社 社員:「採用について、進捗(しんちょく)を『マイスター』から教えてもらって」
 ジー・ブーン株式会社 マイスターさん:「応募はね、平均値よりも倍以上は多い」

 マイスターさんは、「若い人の夢を応援する名人になりたい」という理由で、マイスターと呼ばれているそうです。

■「仲良くなり生産性高まる」

 なぜ、あだ名で呼び合うことにしたのでしょうか?

 十詩SUNさん:「簡単に言えば、コミュニケーションというのは、仲良くなるためのものなので。それが何も意識せずに、あだ名で呼んでいるだけで、生産性が高まるというのは、めちゃめちゃ良いですよね。デメリットは、これ面白い現象なんですけど、やってみて分かったことなんですが、名字を覚えないんですよ」

■「あだ名」で新たなアイデアへ

 ウェブコンサルティングを行う「フォノグラム」も、社員をあだ名で呼び合う会社の一つです。

 株式会社フォノグラム取締役・ビフィ(本名 山崎博行)さん:「僕は『ビフィ』っていいます。ビフィズス菌からきていて。僕はそういう会社の善玉菌というか、整腸作用になるように、付けられた名前で。アイデアを重視したいので、役職や目上の人という概念はなくていい」

 あだ名で呼び合うことが、新たなアイデアにつながるといいます。しかし、こんな困ったこともあったといいます。

 ビフィさん:「プライベートであっても、ニックネームで呼ぶので。それで一つ、困ったことがあったのは、映画館で同僚に会ったんですけど、そいつのニックネームが『おっさん』だったんですよ。だから、僕、大声で『おっさん(あだ名)』って呼んだら、周りにいるおじさんたちが皆、振り返った」

(「グッド!モーニング」2022年5月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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