「地獄だ」住宅9割が損壊か ロシア軍 セベロドネツクに猛攻 中心部で市街戦も・・・(2022年5月30日)

「地獄だ」住宅9割が損壊か ロシア軍 セベロドネツクに猛攻 中心部で市街戦も・・・(2022年5月30日)

「地獄だ」住宅9割が損壊か ロシア軍 セベロドネツクに猛攻 中心部で市街戦も・・・(2022年5月30日)

 ロシア軍が猛攻をかけているウクライナ東部セベロドネツク中心部で市街戦が発生したと州知事が明らかにしました。

 ウクライナのゼレンスキー大統領が2月24日、ロシアの侵攻開始以降、初めて公式に首都周辺を離れました。

 向かった先はロシア軍との激しい戦闘が続いた北東部ハルキウ州です。

 街中にはロシア軍による攻撃の痕跡が生々しく残っています。

 ハルキウ州・シニエフボフ知事:「確認できたところでは1万5000人が家を失いました。このような状態の家が24軒あります。ハルキウ全体では2100軒」

 破壊された建物などを見て回ったゼレンスキー大統領。地域の奪還に貢献した前線の兵士らを表彰しました。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「一人ひとりの貢献に感謝したい。私たち全員と私たちの州のために命を危険にさらしている。国の独立を守ってくれている。感謝したい。体に気を付けてほしい。ウクライナに栄光あれ」

 ハルキウ州ではウクライナ軍による奪還が進んでいますが、州当局によると、いまだ31%がロシアの制圧下にあります。

 また、新たに解放された地域でもロシア軍の攻撃が続いているため、インフラの再開や地雷の除去などはできていないといいます。

 ゼレンスキー大統領の訪問には難局にある東部戦線の士気を高める狙いがあるとみられます。

 ウクライナ東部はまさに瀬戸際にあります。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「ロシアは近付きすぎている。ドンバス地方により多くの部隊を集め、攻撃に向けてより多くの準備をしている」

 ウクライナ南部と東部の制圧を進めるロシア。ドンバス地方ルハンシク州の95%を支配下に収め、残る最後の拠点、セベロドネツクに猛攻をかけています。

 特殊警察:「地獄です。砲撃が毎日続き、大勢が死んでいる。人道問題もある」

 セベロドネツクでは住民の避難も進められてきましたが・・・。

 人道支援団体の創設者:「町の全方位が前線で事実上、包囲されています。戦車や軍用車が町の周りに配備され、陥落寸前なのは明らかです」

 ゼレンスキー大統領もその厳しい状況を認めています。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「セベロドネツクへのロシアの攻撃によって、町の重要インフラ全体が破壊された。住宅の90%が損壊した。3分の2は完全に全壊した。電波がなく、攻撃がずっと続いている」

 セベロドネツクは肥料などを生産する科学都市。

 ルハンシク州で2014年、ロシアの後押しを受ける自称・ルガンスク人民共和国が独立を宣言した後、ウクライナ側の行政の中心地になりました。

 アメリカのシンクタンク・戦争研究所は、例えロシアが制圧に成功しても軍事的、経済的メリットは少ないとの分析を公表しています。

 ただ、州全体を支配するという自称・ルガンスク人民共和国の目標が達成されることになります。

 州知事によると、ロシアは町の中心部に軍を進めていて、戦闘も発生しているということです。

 ロシアのラブロフ外相はフランスのテレビ局のインタビューで・・・。

 ロシア、ラブロフ外相:「東部ドンバス地方の“解放”が絶対的な優先事項だ」

 プーチン大統領が2月、軍を派遣する目的として掲げたのが、一方的にナチスだと決めつけたウクライナ政府の「非ナチ化」、そしてウクライナの非軍事化です。

 今もその目的は掲げたままですが、首都キーウなどからの撤退を余儀なくされるなか、戦力を東部に集中させています。

 ロシア国防省報道官:「ロシア軍は高精度長距離ミサイルで、東部ドニプロ州で保管されていた大量の武器を破壊した」

 一方、前線を守るウクライナの兵士はロシアに押された状態で停戦交渉が始まることを恐れているといいます。

 ウクライナ軍兵士:「非常に厳しい状況で戦いが続いているなか、『いったん停戦して交渉を進める』と言われることを恐れている。交渉をするとしてもウクライナ側の条件で進める必要がある。逆にロシアの条件で進めば、もう終わりだ。国全体、大統領のキャリアも我々全員も終わりだ」

 イギリス国防省は、ロシアがルハンシク州とドネツク州を併せたドンバス地方の完全制圧に成功した場合、ロシア国民に対する侵略正当化の材料に使われるだろうとの分析を公表しています。

 プーチン大統領が始めた戦争が長引くなか、ロシアの国民生活は経済制裁の影響を大きく受けています。

 ただ、EU(ヨーロッパ連合)が目指す新たな制裁は思うように進んでいません。

 それは、ロシア産原油の禁輸。

 自国経済の打撃となると主張するハンガリーの反対により、合意がまとまりません。

 4月に再選を果たしたオルバン首相。プーチン大統領と近いことも知られますが、国内ではガソリン価格に上限を定めるなどして支持を集めてきました。

 新たな制裁案には金融制裁も含まれますが、ハンガリーの反対で全体の実施が妨げられています。

 EUは30日から首脳会議を行いますが、進展があるかは不透明です。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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