“首都直下地震”で何が起きる? 災害シナリオで備えを(2022年5月28日)
ひとたび発生すれば甚大な被害が懸念される首都直下地震について、東京都は25日、新たな被害想定を発表しました。
私たちは今、どう備えるべきなのか防災システム研究所の山村武彦さんにお聞きしました。
板倉)
最も大きな被害が出るとされる、冬の午後6時にマグニチュード7.3の地震が起きた場合の被害想定です。10年前の死者、負傷者、建物被害の数が、今回の見直しで死者が3000人以上減るなどいずれの項目でも被害が減少しています。
この理由について、被害想定の作成メンバー東京大学の平田名誉教授は「建物の耐震化などが進み10年前より被害想定が3~4割減った」と話しています。
そして今回新たに、地震発生から何が起きるのかを時系列で示した「災害シナリオ」が公表されました。まず発生直後は、広い範囲で停電、断水、ガスの供給停止が起きて、スマホも充電がなくなり使えなくなります。
帰宅困難者が避難所に殺到して帰れない人が増えることで、保育園などへの子供の迎えも困難になるということです。
高島)
山村さん、帰宅困難者は大きな問題ですよね。
防災システム研究所 山村さん)
東京都の帰宅困難者対策条例では企業や学校は3日間程度、その施設内で保護して下さいねと。いっぺんに皆さんが帰宅すると混乱を招きますので、その抑制のためにですね備蓄も含めて対処してほしい。安全確認できたら帰宅するということが大事だと思います。
高島)
留まれる人は留まるそういった判断ができるといいですよね。そして、子どものお迎えなどが心配ですがどうしたらいいでしょうか。
山村さん)
事前にママ友とか近所の同じ保育園に通っている保護者たちが話し合いをしてですね。「互近所ネット」っていうのを作って、万が一お迎えに行けない場合にはこちらで預かってくださいね。というルールを決めておくといいですよね。もし連絡取れない場合も含めてどうするかを話し合っておくといいと思います。
板倉)
地震発生の3日後からです。停電は徐々に解消するんですが、それによって通電火災が起きる可能性があります。また食料などの備蓄がなくなって自宅から避難所へ行く人が増えていくそうです。
高島)
震災以降、家に水など備蓄している人も多いと思いますが、確かに3日も経てば底をつきますよね。
山村さん)
水、食料の備蓄は3日分というのが定説というか普通だったのですけれど、3日で物資が行き渡るのは小さな災害なんですね。首都直下地震のような大規模災害の場合にはすぐには物資が流通しませんので最低できれば1週間分。特に中高層階に住んでらっしゃる方々はですね、少しでも余分に水、食料と合わせてトイレも準備されるといいと思いますね。
高島)
1週間分の食糧、大人2人分ですが2リットルの水が24本、お米4キロ、カップ麺6個などと相当な量ですね。そして、トイレも備えておいた方がいいということで備えは大事だなと感じるわけなんです。
職場で必要な備えは?
山村さん)
職場では是非、備蓄をしっかりやって欲しいという事と、もう1つは社員のロッカーに最低限度、スニーカーとかヘルメットとか、帰宅しやすいものを用意してもらっておく。それとあわせて企業側としてはですね、備蓄とあわせてですね、できれば非常用の現金を少し用意しておくといいと思いますね。今キャッシュレス時代だと社員の方々もほとんどお金、現金を持ってないんですね。そういった時はほとんど電子決済できない。ATMを使えない。実際には現場に行くと、現金でしか買えないっていうものもありますから、そういう時に社員に配るような非常用の現金の備蓄も、私は大切だと思いますね。
板倉)
さらにこの時系列を進めて、地震発生から1週間後になりますと、携帯電話などの通信は順次回復していきまして、断水も段階的に解消してくるといいます。ただ避難所では、感染症がまん延するおそれもこの辺から出てくるということです。1か月後になりますと、停電やガスの停止、そして断水などおおむね解消されてくるということのようです。
高島)
時系列で見ていきますと、シュミレーションしやすいなという印象ありますが山村さん。
山村さん)
備蓄はですね、その結果事象別に用意するといいと思いますね。停電対策用とか断水対策用か、ガス停止用、エレベーターが停止した場合、そういうふうに時系列を含めて、その結果事象に備えていく。悲観的に準備して、楽観的に暮らすことが大事だと思います。
高島)
これから防災会議は家庭の中で、持つ必要がありそうですね。
山村さん)
我が家の防災会議もぜひやって欲しいと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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