スリランカ“最悪の経済危機” 医薬品不足 医療崩壊の懸念も|TBS NEWS DIG

スリランカ“最悪の経済危機” 医薬品不足 医療崩壊の懸念も|TBS NEWS DIG

スリランカ“最悪の経済危機” 医薬品不足 医療崩壊の懸念も|TBS NEWS DIG

独立以来最悪と言われる経済危機に陥っているインド洋の島国、スリランカ。市民の暮らしは困難を極め医薬品不足による医療崩壊の懸念も強まっています。

記者
「調理用のガスの販売店です。まだ開店前なのですが、順番待ちの列が数百メートル先まで続いています」

30度を超える炎天下の中、ガスを求めて長い列を作る人々。スリランカの最大都市コロンボではいたるところで目にする光景です。

並んでいる市民
「午前1時から待っています。おとといも、きのうもです。でもガスは買えません。家族に食事を作ることができないんです」

燃料のほぼ100パーセントを輸入に頼るスリランカ。無計画にもみえる開発事業で対外債務が膨らみ、新型コロナによる観光低迷が追い打ちとなって外貨が不足。ガソリンやガスを輸入できなくなる事態に陥っているのです。

さらに、急激な物価の上昇が市民の暮らしを直撃。卸売市場の関係者によると1月と比べ、野菜の値段が倍以上になっているということです。

卸売業者
「収穫量が激減しています。輸入品の安い化学肥料を使用できないからです。自然肥料は高すぎます。多くの農家が耕作をやめました」

コロンボのスラム街で暮らすセンディルクマールさん42歳。8年前に夫をがんで亡くし、女手一つで3人の子どもを育ててきました。子どもは三輪タクシーなどで通学していましたが、燃料不足の影響で学校に通えないといいます。

センディルクマールさん
「ガソリンがないので子どもの通学手段がありません。同じように私も仕事に行くことが出来ないんです」

自身と長女であわせて月に5万5000ルピー、日本円でおよそ2万円あった収入が経済危機でほぼ半分に。しかし、食料の値段が高騰し、日々の食事にも事欠く状況です。

センディルクマールさん
「朝に料理をしたものを1日の間に分けて食べているんです。ここ数日はキャッサバ芋しか食べていません」

脅かされる市民の生活。不足しているのは燃料だけではありません。

記者
「民間企業が運営する薬局です。多くの市民が訪れていますが、特に心臓病など深刻な病気のための薬が不足しているということです」

スリランカは医薬品も80%以上を輸入に頼っていて、医療崩壊の危機に直面しているのです。

薬を買いに来た人
「呼吸を助ける薬です。政府系の薬局にもなかった。大事な薬なんです」

妻の薬を買いに来た人
「病院には薬が無いので来ましたが、ここにもありませんでした。がん患者用の薬です。妻ががんなんです」

治療のための薬が手に入らないだけでなく、病院で使う麻酔薬なども不足。医療関係者は手術を受けられず、命を落とす人が出かねないと警鐘を鳴らします。

ヘマス病院 ディルシャン医師
「もし国際社会からの支援がなければ状況はさらに悪くなるでしょう。がん患者や緊急手術を必要とする患者が医療を受けられなくなるおそれがあります」

国が危機的状況に陥ってすでに数か月。政府は有効な手立てを全く打てておらず、人々は国際社会からの一刻も早い支援を必要としています。

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