「少し荒っぽいやり方」水深182mからの“再引き揚げ” 事故の原因究明には半年ほどかかる可能性も 知床・観光船沈没事故|TBS NEWS DIG

「少し荒っぽいやり方」水深182mからの“再引き揚げ” 事故の原因究明には半年ほどかかる可能性も 知床・観光船沈没事故|TBS NEWS DIG

「少し荒っぽいやり方」水深182mからの“再引き揚げ” 事故の原因究明には半年ほどかかる可能性も 知床・観光船沈没事故|TBS NEWS DIG

4月に起きた知床観光船沈没事故をめぐって、5月24日、引き揚げ場所へのえい航中に船体が水深182mまで落下するトラブルがありました。26日からつり上げ作業が進められています。
今回のつり上げ作業は、作業船に船体を「横抱き」させる方法で行われます。専門家は「少し荒っぽいやり方」だとしつつも、今後の事故原因の特定に繋がるポイントを上げます。中には“原因究明に半年ほどかかる可能性がある”とする指摘も・・・今後の展開を考えます。

■水深182mから“再引き揚げ” 船体に落下の影響は?

井上貴博キャスター:
これまでの経緯を見ていきます。
「KAZU I(カズワン)」は、5月24日引き揚げ場所へえい航中に落下してしまいました。ですので今回は、こういったことがないようにということで、あと船内の様子がある程度わかりましたので、潜水士ではなくてROV(無人潜水機)で吊り上げ作業の準備を5月26日午前中に行いました。
午後3時以降、いよいよ吊り上げ開始です。その後、網走港へ移動して、早ければ27日午前中に到着、船体の陸揚げへということで予定が組まれています。

前回の引き揚げ方法は、水深10mから20m宙づりの状態でえい航しました。これが少し良くなかった、落下してしまったということで、今回はかなり強く固定する「横抱き」にした状態での移動。イメージとしてはサイドカーのような形になるのでしょうか、この引き揚げ方法を取ろうという決断がなされました。

方法を変えた理由について、海上保安庁の担当者はこう話しています。

「宙づりも横抱きもリスクがあった。結果として落ちてしまったので、横抱きにする措置をとっている。横抱きには船体同士が近いのでぶつかる可能性や波風で揺れることがある」

ホラン千秋キャスター:
どちらのやり方も、一般的ではあるんでしょうか?

東海大学海洋学部 山田吉彦教授:
かつてえひめ丸がハワイ沖で沈没した時に「海中で移動する」という方法をとったんですが、どちらかというと、一般的には「横抱き」の方が船を動かす時には使われます。ただし少し“荒っぽいやり方”なので、船が傷ついてしまう可能性もあります。

ホランキャスター:
荒っぽいやり方であっても、「横抱き」を選択したということは、こちらの方が確実と見ていいのでしょうか?

山田教授:
「横抱き」の方が確実に対応ができるということと、やはり視界の中に入っている方が、もしもまた何かの事故が起きた時にすぐ対処ができる。今は小型船が付いていますが、何かあった時にすぐに対処ができるようになります。

■なぜエンジンが止まったのか?原因究明へ 「半年ほどかかる」見方も・・・

井上キャスター:
引き揚げた後に沈没した船の調査が今後行われるわけです。事故当日「船首から水」「エンジンが使えない」という船内からの通報がありました。こういったことを裏付ける証拠になりますので、調査を行って原因を突き止めることが重要だそうです。

▼なぜエンジンが止まったのか
▼船底の穴が何によるものなのか
▼アクセルがどういう状態だったのか
▼エンジンルームに人が残っている可能性

「原因究明に半年ほどかかる可能性」を元海上保安庁・遠山純司さんは指摘されていました。

ホランキャスター:
エンジンルームに人が残っている可能性もあるということですけれども、まだ見つかっていない方が多数いらっしゃいますので、少しでも早く見つかったらいいなという気持ちですよね。

萩谷麻衣子 弁護士:
ご家族の皆さんも本当に一刻も早くという思いでいらっしゃると思いますけれども、今回これだけの甚大な人的被害が出ている事故にも関わらず沈没の時の目撃者がいないために、事故原因を特定するには唯一その証拠物がこの船体となるわけですよね。
今経営者らについて業務上過失致死罪などの捜査が進んでいますけれども、その過失があったかどうかの特定にも、この事故原因は特定が必要です。引き揚げて事故原因が特定できるのかどうか、そこが一番重要なところかなと思います。

ホランキャスター:
事故原因の特定など、船体を見ていくと分かるものなのでしょうか?

山田教授:
まず傷の形状で、どこから大量の水が入ってきたのかということが一つ分かると思います。
また重要なのは船内にどのようなものが残っているのか。携帯電話、通信機、そしてどれぐらいのライフジャケットが残されているのかなど、どのような対策をとられていたのかということも一つのポイントになってきます。

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