“インドも”ウクライナ侵攻を懸念・・・QUAD首脳会合の成果強調 岸田総理(2022年5月24日)

“インドも”ウクライナ侵攻を懸念・・・QUAD首脳会合の成果強調 岸田総理(2022年5月24日)

“インドも”ウクライナ侵攻を懸念・・・QUAD首脳会合の成果強調 岸田総理(2022年5月24日)

日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4カ国による枠組み『QUAD(クアッド)』の首脳会合が24日、東京都内で開かれ、中国への対応などで緊密に連携していくと一致しました。

対面では2回目となるQUAD首脳会談ですが、今回はタイミング的に特別な意味を持ちます。

岸田総理:「昨年9月の会合以降、我々が重視する法の支配に基づく国際秩序を、根底から揺るがす事態が起きました。ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章でもうたわれている諸原則への真っ向からの挑戦です」

アメリカ、バイデン大統領:「国際秩序の基本原則、領土保全、国家の主権、国際法、そして人権は常に守られなければなりません」

軍事大国ロシアによる隣国への侵略。同じことをインド太平洋地域では起こさせないというメッセージを、4カ国共同で出すことが、今回の会談の重要な目的です。そのためか、会合の成果について、岸田総理はこう強調しました。

岸田総理:「“インドも参加”する形で、ウクライナでの悲惨な紛争について懸念を表明し、法の支配や主権および領土一体性などの諸原則は、いかなる地域においても守らなければならない、こうしたことを確認しました」

“インドと足並みがそろった”この事実こそがQUAD最大の意義といっても過言ではありません。

インド、モディ首相:「私たちは民主主義、自由、法の支配の価値観を共有しています。この枠組みが継続的にますます強く、効果的になっていると感じています」

QUADは、民主主義という“共通の価値観”をもつ4カ国が“共通の課題”に連携して対応していくための枠組みです。4カ国共通の課題は、海洋進出を進める中国。インドも国境紛争をかかえ、当事国ではありますが、他の3カ国とは事情が違います。

長年、ロシアと友好関係にあるインドにとって、中国は友達の友達のような存在です。経済的な結びつきも強く、中国とはつかず離れずの関係を続けることがインドの外交方針でした。

インド、モディ首相(2015年):「中国とインドはともに問題を解決するだけでなく、世界的な問題の解決の手助けができる」

そんななか起きたウクライナ侵攻。日米豪の3カ国は、インドをこちら側に引き込むチャンスだと考えました。

日本政府関係者:「ロシアと深い関係を続けていても良いことがないというのは、インドも分かっている。その時に我々(日米豪)がいると伝えておくだけでも大きな意味がある」

インドにとってQUADは、どんな意味を持つのでしょうか。

インド外交に詳しい防衛大学校、伊藤融教授:「『もし中国が我々インドに対して軍事攻勢を仕掛けてくるのであれば、もっと我々はQUADの連携を強めるかもしれないぞ』と見せることで、中国から譲歩を引き出す思惑もある。QUADを一つのカードとして、インドは外交上使っている。インドは冷戦時代に、ソ連とアメリカの軍事ブロックのどちらにも入らない“非同盟”のポジションを取ってきた。自分たちの独立、国家として自立性を維持するための戦略。しかしながら、QUADという緩やかな形での枠組み、連携を政治・経済・海洋の安全保障等での枠組みに関与することで、中国をけん制するという意図がある」

中国にとって捨て置ける話ではありません。先週、QUADに先んじるかのように、中国・ロシア・インドなどによる枠組みBRICS(ブリックス)の外相会議を開催。加盟国をさらに増やしていくという共同声明も出されました。

さらに24日、中国政府は、王毅外相が26日から、太平洋の島嶼国8カ国を歴訪することを突如、発表しました。歴訪国の1つ、ソロモン諸島は、台湾と断交し、中国と国交を樹立した国です。

千々岩森生中国総局長:「王毅外相の8カ国歴訪は、QUADへの対抗策。中国政府内でよく聞くキーワードが“アジア版NATO”。中国はインド太平洋地域でNATOのような枠組みが作られて“中国包囲網”が構築されないか神経をとがらせている。また、インドは中国にとっても難敵。中国はQUADへのインドの参加を苦々しく思いつつも、それでも強い批判は避けて、インドへの気遣いすら感じられる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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