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引き揚げ作業経験者が語る 流れるプールの様な“潮の流れ”(2022年5月21日)
・引き揚げ経験者の潜水士は「流れるプールご存じですよね。あのプールで潜って、作業しているのを想像していただいたら・・・」
・KAZU1(ワン)が沈む場所は『潮流が複雑すぎてどうしようもない、分からない、予測がつかない場所』
リポート
「知床沖上空です。観光船KAZU1が沈没した現場では、引き上げに向けた作業が行われています」
21日の作業は午前8時頃から始まり、引き揚げ時に備品が流出しないように開口部をベルトで固定する作業などが行われました。
22日は荒れた天気となる予想で作業ができなくなったため、早ければ23日に船を水深10メートルの位置までつり上げ、作業船がいかりをおろすことができる水深の海域まで航行した上で、24日に作業船の上に船を引き揚げる予定となっています。
リポート
「船全体が見えてきました」
これは、2020年、瀬戸内海で沈没した海上タクシーが引き揚げられた際の映像です。
海上タクシーは浅瀬の岩にぶつかり、およそ20分後に沈没しましたが、乗っていた修学旅行中の小学生らは全員救助されました。
この時、作業をしたのが潜水士の槙野さんです。
海中で作業をした潜水士:槙野光一さん
「水深で35mぐらいですね。海底で(ベルトを)伸ばして、船に底からぐるっと回したんです」
作業は船の先と船尾にベルトを1本ずつ回す、普通なら難しくはない内容だといいます。
しかし、実際には数先メートルは暗闇で、視界を遮る大量の浮遊物も・・・
海中で作業をした潜水士:槙野光一さん
「海底に到着して、作業するときに海底の泥を巻き上げて、どこにベルトがあるとか、そういうのを探したりするのが大変でした」
さらに、問題なのが「潮の流れ」だといいます。
この時も・・・
「海が荒れとる。もういっぺん上がってこい、危ないわ」
海中で作業をした潜水士:槙野光一さん
「潮が早くなったんですね。作業している間に、潮が早くなるというのは危険を伴うので、これ以上無理ということで上がりました」
潮の流れによっては命の危険もあるため、作業を中止することがあったといいます。
海中で作業をした潜水士:槙野光一さん
「流れるプールご存じですよね。あのプールで潜って、作業しているのを想像していただいたら分かるんですけど、やっぱり動くのが大変、同じベルトをかけるにしても、10分でかけられるのか、潮が速いからそれが30分かかってしまうのか、という感じです。」
作業を左右する潮の流れ。
さらに・・・
水難学会:斎藤秀俊会長
「(“KAZU1(ワン)”が沈む)あの辺りは地形も、複雑なんですね。船が自分の方向に傾いてくる可能性だってある」
引き揚げ作業を困難にする知床沖の特徴とは・・・
作業を左右する潮の流れ。
水難事故の専門家は知床沖ならではの特徴についても懸念があるといいます。
水難学会:斎藤秀俊会長
「(“KAZU1(ワン)”が沈む)あの辺りは地形も複雑なんですね。一言で言うと、『潮流が複雑すぎてどうしようもない、分からない、予測がつかない場所』。で、実を言うと、本当に船底の一部しか(海底に)接地してないんですよ。潜水士が潜って、それで作業してるときに、この船が自分の方向に傾いてくる可能性だってある」
引き揚げた船からは何がわかるのでしょうか?
水難学会:斎藤秀俊会長
「(引き揚げた船は)内部に浸水が始まった跡がどこかにないかどうか、そこはしっかり見ると思いますね。例えば当初は、座礁すると船底に穴が開くわけですね。当然そこから海水が入っいていって、船が徐々に浸水していく。そこに至るまでに、海水が一体どこから入ってきたのか。浸水の原因を探っていくと」
一方、未だ12人いる行方不明者の捜索では、船内から、カメラ・バッグ・傘の遺留品が見つかりました。
※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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