“海に迫る緑色”ロシア攻撃で硫化水素流出か ※動画視聴の際はご注意ください(2022年5月19日)

“海に迫る緑色”ロシア攻撃で硫化水素流出か ※動画視聴の際はご注意ください(2022年5月19日)

“海に迫る緑色”ロシア攻撃で硫化水素流出か ※動画視聴の際はご注意ください(2022年5月19日)

 長引く戦闘が、深刻な海洋汚染につながりかねない事態を引き起こしています。海に迫る緑色の液体。有毒な硫化水素が海に流れ出す危険性が高まっているとマリウポリ市が発表しました。

 ウクライナ東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所。18日に公開された写真には、沿岸を覆いつくす緑色の物体が。

 マリウポリ市:「アゾフ海が消滅する脅威があります。アゾフスタリ製鉄所への攻撃により、高濃度の硫化水素を何万トンも保管していた建物が崩壊した可能性が高いです。硫化水素がアゾフ海に流出すると植物や動物がすべて死滅します」

 ロシア軍の攻撃で流れ出た、大量の硫化水素。地中海にまで流出すれば、生物の死滅など、世界的な大惨事になる恐れが指摘されています。

 マリウポリ市:「硫化水素がアゾフ海に流出すると植物や動物がすべて死滅します。黒海と地中海に入ってしまう可能性があります」

 人体に悪影響を及ぼす硫化水素。高濃度では、呼吸困難などで死に至るケースもあります。

 高濃度の硫化水素が、マリウポリからアゾフ海に流出すれば、その先に広がる黒海や、地中海にまで達する恐れがあるといいます。

 マリウポリ市は、世界的な環境問題の大惨事を防ぐため国連による検査や、専門家の協力を訴えています。さらに・・・。

 マリウポリ市・ボイチェンコ市長:「夏に疫病が起こる可能性があります。多くの人が市内に残っているなか、攻撃された下水処理施設の問題があります。さらに占領者は2カ月間で2万人以上の民間人を殺しました。戦争犯罪を隠そうとして様々なところに遺体を埋めました。夏になったらばい菌が発生する可能性が高いです」

 こうしたなか、戦禍で心に傷を負った子どもたちの存在も明らかになってきました。

 エフゲニー・ソフノフスキーさん(57):「読むのはとてもつらいです。短い文章ですが、彼に起きたことのすべてです」

 マリウポリから首都キーウに避難したソフノフスキーさん。親戚のイエゴール君(8)が、マリウポリの地下チェルターでつづった“戦争日記”を、自身のSNSで公開しました。

 5ページにわたって書かれた絵日記には、ロシア軍の砲撃で炎上する住宅。ヘリコプターが飛ぶ下で、銃を持って戦う兵士や進軍する戦車。

 道端で、血を流し倒れている人々など、生々しい描写が。

 イエゴール君:「大好きなマリウポリも死んでしまった」

 少年の自宅は、アゾフスタリ製鉄所の近くにありました。

 ロシア軍の砲撃は、近くの住宅地にも直撃。イエゴール君の自宅も崩壊し、家族に悲劇が。

 イエゴール君:「おじいさんが亡くなった。僕は背中に傷があり、皮膚が破れている。お姉ちゃんは頭に傷を負っている。お母さんは腕の肉がはがれていて足に傷がある」

 荒廃した街で、祖父の亡骸を前に、立ち尽くす母親。8歳のイエゴール君も、背中と腕に大けがをし、地下シェルターで過酷な避難生活を送ります。

 イエゴール君:「僕は8歳。お姉ちゃんは15歳。お母さんは38歳。包帯を取り換える必要がある。最初はお母さん。その後は僕。お姉ちゃんは最後」「おばあさんが水くみから無事に帰ってきた。もうすぐ僕の誕生日だ」「2月24日、木曜日からの間でガリアおばあさんと、犬2匹、大好きなマリウポリも死んでしまった」

 その文章の下には、大きなバースデーケーキと、お祝いする家族の姿が。そして、亡くなった祖父母と、愛犬2匹には、天使の輪と羽。笑顔で、誕生日パーティーに参加しているようにも見えます。この4月4日の記録が最後でした。

 日記を書いた少年の親戚・ソフノフスキーさん:「世界中の色々な国の人々から、イエゴール君と家族を自分の家に受け入れたいと言われました。地獄から避難できたら無事に暮らすことができます」

 心に傷を負った子どもたちは、多くの民間人が殺されたブチャの町にも・・・。

 ブチャ人道復興財団のシュマトク氏(49)。「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」を発症した子どもたちが数多くいると涙ながらに訴えます。

 ブチャ人道復興財団、アレクサンドル・シュマトク氏:「ロシア軍がブチャを占領していた時、6歳のイヴァン君(仮名)はロシア兵が母親をレイプする部屋にいました。10時間も。その後、母親は彼の目の前で殺されたそうです。イヴァン君は髪が真っ白になって、その時から何も話せないでいます。ロシア軍が撤退した地域全部で同じような状況があるかもしれません」

 心のケアをするリハビリ施設を、建設する計画だといいます。戦争心理学の専門家は、戦禍で起きたPTSDについて・・・。

 防衛省防衛大学校研究員・同志社大学、余語真夫教授:「特効薬というか、すぐに正常に戻すような方法は存在しない。最悪の場合、一生障害が改善しない方もいる。今は当たり前じゃないことが起こっているわけなので、当たり前である平凡な生活を一日も早く再構築する。再開することが重要になる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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