オミクロン市中感染拡大・・・「病原性弱い」最新研究(2021年12月27日)

オミクロン市中感染拡大・・・「病原性弱い」最新研究(2021年12月27日)

オミクロン市中感染拡大・・・「病原性弱い」最新研究(2021年12月27日)

帰省ラッシュを前に、オミクロン株の感染が広がっています。空港検疫を含むオミクロン株の感染者は、一日で80人、増えました。市中感染とみられる事例は、東京都、愛知県、京都府、大阪府、福岡県に加え、27日、新たに富山県で1人、広島県で1人、確認されています。広島で感染が判明した20代の人は、市中感染が確認されている関西圏への往来歴がありました。
広島県・木下栄作健康福祉局長:「海外からの帰国者ではないため、市中感染と考える。オミクロン株の陽性者が確認された地域への往来は慎重に判断いただきたい」

27日夕方に開かれた全国知事会。帰省や旅行は、慎重に検討するよう呼び掛けました。
全国知事会・平井伸治会長:「国民にもオミクロン株抑制への協力を求めていかなければならない。冬休み、年末年始の移動は、いま一度、考慮していただく」

大阪府豊中市の保健所では、新たに濃厚接触者となった人への連絡から健康観察まで、業務の終わりが見えません。豊中市内には、すでに100人近い濃厚接触者がいます。デルタ株は陰性で、オミクロン株の感染の疑いが持たれている男性(17)。感染経路はわからないといいます。
保健師・武本翔子さん「“みなしオミクロン”みたいな形で、全数入院をしていただくという対象になる。豊中市内でも、あと数名は、対応している」

水際対策と両輪で進めていくのは、至難の業です。
豊中市保健所・松岡太郎所長:「いずれ市中感染が増えていくのであれば、どこかの時点で水際対策は労力を減らす指示を国なりからいただかないと、市中感染が4波、5波のように増えると、水際まで確実にやっていくのは難しい」

政府は27日夜、ようやく濃厚接触者の基準の見直しに動き出しました。
後藤厚生労働大臣:「航空機の同乗者全員を濃厚接触者とする緊急的な取り扱いは本日で終了。28日以降は、従来の株と同様に患者の前後2列の乗客と家族同行者を航空機内の濃厚接触者の範囲とする。“科学的根拠がないのでは”ということで、科学的な知見に基づいて、濃厚接触者の範囲を切り替える」

東京都でも、本格的な備えが始まっています。墨田区では、世界初の移動式検査トラックがお披露目されました。中には、CTや画像診断システムを搭載。そこに臨時PCR装置を組み合わせることで、速やかに重症度の診断が行えるようになるといいます。
墨田区保健所・西塚至所長:「車を止める場所さえあれば、こういった“総合病院”がすぐ来てくれる。介護施設などでクラスターがあったときに、重症診断をできるだけ早くつけないと、入院先が見つからない。コロナの診断、肺炎の重症度が15分くらいの流れのなかでわかる」
墨田区は、移動できる強みを生かし、さまざまな場所でトリアージの拠点になることを期待しています。

27日、東京都内のクリニックフォアには、国内で初めて承認された飲み薬『モルヌピラビル』が、5人分、届きました。
クリニックフォア・奥村雄一郎医師:「陽性になった人の治療方針が一つ増えたことは非常に有効。感染の早期に処方して、開始することが大事なので(PCR)無料事業に参加して、検査から治療まで、同じ医療機関で行えるのは非常に意味がある」

これまで、わからないことだらけだったオミクロン株。最新の研究で、その正体が見えてきました。今回の東京大学と北海道大学らの研究で、改めて明らかになったのは、オミクロン株の伝播力がデルタ株と比べ、非常に強いということです。
東京大学医科学研究所・佐藤佳准教授:「オミクロン株は、南アフリカではデルタ株の3倍、イギリスではデルタ株の5倍くらい流行しやすいという結果が出た。流行しやすいのは間違いない」

さらに「オミクロン株の病原性が、ほかの株と比べて弱い」ということがわかりました。
北海道大学大学院・福原崇介教授:「体重減少、肺機能検査、病理の検査、すべてから言えると結論付けた」

細胞や動物の実験によって、オミクロン株の特徴を調べたそうです。

一つ目は、培養した細胞を使用した実験です。通常、コロナウイルスに感染した細胞は、ほかの細胞にくっつき、融合することで感染を広げます。つまり“細胞の境目”がなくなっていくといいます。デルタ株は、従来株と比較すると、より多くくっつき、境目がなくなっています。一方、オミクロン株を見ますと、従来株と比べても、あまりくっついていません。つまり、症状が悪化しにくいということを示しています。

さらに、それを示すのがハムスターでの実験です。『病原性が強いか、弱いか』を見るのは、一般的に“体重の変化”を調べるといいます。実験には、若い成長期のハムスターを使用しました。そのハムスターに従来株、デルタ株、オミクロン株に、それぞれ6匹ずつ感染させて、体重の変化を見ました。感染していないハムスターは、体重は増加していて、従来株やデルタ株に感染したハムスターは体重が減少。一方、オミクロン株に感染したハムスターの体重は、ほぼ変わりませんでした。

また、ハムスターでの実験で、呼吸機能についても調べました。従来株、デルタ株については、酸素飽和度は急激に減少しています。オミクロン株は、少し下がった程度で、呼吸機能が“ある程度”保たれているということがわかりました。

東京大学医科学研究所・佐藤佳准教授は、今回の実験結果について、「あくまでも従来株やデルタ株に比べて、オミクロン株の病原性が弱いということ。ただ、ハムスターでも肺炎が起きている。だから“風邪と同じ”と考えるのは非常に危険。感染数が増えれば重症化する人も一定数出てくる。オミクロン株は、デルタ株に比べ、感染する確率が高いウイルスなので、個人ができる対策は、しっかり続けていくべき」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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