知床沖事故 亡き男性の手紙「ずっと大好き」 交際中の女性は不明(2022年5月2日)
北海道・知床沖の観光船事故で、海上保安庁が業務上過失致死の疑いで、観光船の運航会社の事務所などに家宅捜索に入りました。船内の水中カメラによる捜索は、悪天候のため断念され、事故原因の究明は、難航しています。
告別式の一角に飾られた、一通の手紙の写真。
鈴木智也さんの手紙:「ここまで支えてくれて、好きで居てくれてありがとう。そして、ずっとずっと大好きです」
知床半島沖で沈んだ観光船「KAZU1」に交際中の女性と乗っていた鈴木智也さん。
観光船が出た港近くに止められた鈴木さんの車の中から、プロポーズを予定していた女性へのネックレスと手紙が見つかりました。
鈴木智也さんの手紙:「これからも一生一緒についてきてください。生まれてきてありがとう。愛しています。嫁になってくれますか?7月7日に返事待ってます」
鈴木さんの交際相手の女性はいまだ見つかっていません。
鈴木智也さんの父:「本来なら2人で見つかってほしいんですが、先に見つかってしまったので、残念で悔しくて、一緒に連れて帰ってやりたかった気持ちでいっぱいです」
家族や友人、知人に見送られた鈴木さん。
「KAZU1」の乗客乗員26人は、これまで14人が亡くなり、12人が行方不明のままです。
急がれるのは、行方不明者の発見と真相の究明。
出航の判断に誤りはなかったのでしょうか。
第1管区海上保安本部は業務上過失致死の疑いで観光船の運航会社「知床遊覧船」の事務所に家宅捜索に入り、事件としての捜査が本格着手の段階に入りました。
2日午後4時前、社長が自宅裏口から姿を見せましたが・・・。
報道陣の問い掛けには何も答えず、車で立ち去りました。
知床遊覧船のずさんな運航状況も見えてきます。
知床羅臼観光船協議会・長谷川正人さん「コミュニケーションが取れなかった状態が今回の事故を招いているわけで、全国恐らく独行船で行くことはないと思う」
知床半島を挟んでウトロ漁港側とは反対に位置する、知床羅臼観光船協議会の長谷川会長。自身も知床ネイチャークルーズの船長で、ホエールウォッチングや流氷観光などを行っています。
今回の「知床遊覧船」の沈没において当日、一隻で出航したことが大事故となった原因ではないかと話します。
知床羅臼観光船協議会・長谷川正人さん:「(同じ日に)皆で出るっていうのは当たり前。漁船も同じ。サンマ(漁船)にしても、皆集団で行くでしょ。事故があったら海上保安庁よりも先に周りの船が助ける」
特にホエールウォッチングなどは、クジラを見つけるためにも多くの目を必要とし、複数の船が出ることが当たり前となっています。
観光船などの場合も、港の大きさにより同時には出ませんが、30分や1時間間隔で他の船も出航していれば、船同士のコミュニケーションが可能だったといいます。
しかし、先月23日に出港したのは「知床遊覧船」のみ。
斜里町内では4社が小型観光船の協議会に加盟していました。
桂田社長をよく知る人:「4社あるが(知床遊覧船)1社だけでも出て行ってしまう。利益を求め過ぎればそういう結果になる。1人8000円で20人乗せたら16万でしょ。それを求める」
また、去年まで知床遊覧船で「KAZU3」の船長を務めていた男性は「KAZU1」が船の重りの役目を担うバラストを積んでいなかったと話します。
「KAZU3」の元船長:「検査が終わった後に訳の知らない従業員を捕まえて『バラスト全部降ろすぞ』と言って降ろしていた」
バラストを降ろすと当然、船のスピードは上がります。
「早く運航スケジュールをこなす」、それが目当てだったのでしょうか。
一方、新たな行方不明者の捜索は難しい状況が続いています。
さらに船体内部の様子を探る水中カメラでの捜索は、現場周辺の潮の流れが速いため中止となっています。
※「KAZU1(ワン)」「KAZU3(スリー)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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